対吸血鬼対策部隊
また川で遊ぶ夢を見た、今回はしっかりと質問をしてみた。
「君って、何処から来たの?」
「向こうからだよ。」
指差す方向には何も無く、ただ草原が広がっているだけだった。
「え?そっちには何も無いよ?」
振り返ると誰も居なかった、俺自身が作った空想の友達なのだろうか?村へ戻ると、村人がヒソヒソとこちらを見て話していた。
—俺は呪われている子だと昔からそう言われていた、言われ続けているのに何故村の為に復讐を誓ったのだろうか?仇を恩で返す為でもただ自分が殺されかけたからでも無い、では何故なんだろうか?分からない。
「貴方は恐怖を復讐として変えただけで、中身は変わっていないのよ。」
何者かがこちらへ近付き話してきた。
「復讐した後の事も考えずにいる癖に、そういう時だけ分からないと言うんだね、貴方は。」
「まずお前は誰だ?何者だ?俺の事を知った口で言えるのだ?目の前で人々が殺されるのを見て復讐しようと思えない奴はただの臆病者だ。」
「口だけは達者なのも昔から"見ている"よ、元々臆病だったのにね。」
昔から見ている?俺には幼馴染も居ないし知り合いもいない。
「味方に救われて頑張っているけど、貴方が毎回暴走して味方にも迷惑かけているのに気付けてないの?今回の暴走だって、アイテム無しじゃ魔族と同類な事をしてたよ。」
「味方無しではここまで来れていないのは百も承知だし、暴走したら手を付けられなくなるのも分かっている。だが、目の前で味方が殺され大人しく居られると思ってるのか?無理に決まっているだろ。」
「それを分かってるなら良いよ、その味方も呼んでいるしね。」
目を覚ますと、そこにはサーニャが居た。
「良かった…!三日も起きなくて、血も吐き続けて傷も開いちゃって…私…もう…」
彼女は泣き崩れてしまった、三日も寝ていたのか。
「すまないサーニャ、生きているから泣かないでくれ。」
ザウリスはサーニャの涙を拭いた。
「皆は何処に行ったんだ?」
「他の方々は作戦会議中です、ザウリスさんも行きますか?」
「そりゃ行かないとな。」
重たい体を起き上がらせ立つと立ち眩み、倒れてそうになったが、サーニャが支えてくれた。
「すまないサーニャ、このまま支えてもらっても構わないか?」
「はい、大丈夫です。」
肩を借り、作戦会議をしている所へと向かった。「重たいか?重たかったらすまない。」
「平気ですよ、重いのは慣れてますから」
場所へ辿り着くと見覚えのある方々が沢山いた。
「ヒーローが遅れてやってきたようですね。」
"黒殺"のリーダー、クルベルティアが笑っていた。
「やっぱりザウリス君は面白い、ますます気に入ったよ。」
「あの深手を負っても尚来るのか、馬鹿を通り越して天才だな。」
チルスも笑っていた。
「からかうのはやめて下さい、恥ずかしいし悔しいです。」
ザウリスも笑いながら話した。
「さて、主役が来た所で問題に入ろう。あの時俺が来れなかった理由だが、転移しようとしたらあのヴァンパイアに止められて動けなかったんだ。」
皆驚愕していた。
「あのヴァンパイアってまさか…!」
「そのまさかだ、ロードと共に行動しているフロールという女ヴァンパイアだ。」
復讐相手の名前を初めて聞いたが聞いた事がある名前だった、が思い出せずにいた。
「次は水都でロード単体で侵攻するらしい。一応水都の方にも連絡し、警備を厳重にしたそうだ、そこで俺たちは対ロード部隊を作る。俺とザウリスのチームで部隊を作る、異論は無いな?」
ザウリス含め皆驚愕していたが、異論は無かった。いや、寧ろ勝てるのでは無いか?という信頼で誰も異論を唱える者は居なかった。
「自分達で良いならやりますよ、チルスさん。」
「ああ、期待しているぞ。これ以上被害を防ぐ為にな。」
硬い握手を結び、作戦会議が終了した。
「ザウリス、ついて来てくれ。」
チルスに連れられ向かった先は墓地で、そこにはマールが居た。
「なんだ、チルス達か。すまない、また泣いてしまって。」
涙を急いで拭ったその姿は、最愛の者を亡くした者そのものだった。
「マール、お前には渡す物があってな。」
チルスが渡した物は、手紙だった。マールがそれを読むと泣き崩れてしまった。
「デオルからの手紙だ、もし自分が死んだ時渡してくれと俺が偵察に向かう前に渡されてな。」
「ありがとう…。チルス…。」
「俺達は戻る、…涙をもう流すな、デオルもそう願ってるだろう。」
チルスの後ろ姿は何処か寂しげな、そんな気がした。
水都へ向かう用意をし、早速出発した。
拝啓:マールへ
自分が死んでも悲しまないで下さい、私は貴女の為に死ねて幸せです。
一生懸命な貴女が好きでした。
弟子らしく、最後まで貴女を死ぬ気で守らせて下さい。
デオルより




