召喚師
街を歩いていると知らない女性に話し掛けられた。
「お前はザウリスだな!勝負しろ!」
うーん、なんでこういう流れになったのだろうか?人気者になると決闘を挑まれるのか?そういう礼義みたいなのがあるのだろうか?
「ま、まあいいが、まず名前を教えてくれないか?」
「私の名前はサフォイアだ!さあ勝負しろ!」
「そう急かさないでくれ、サーニャ達は見ててくれないか?」
そう言いサーニャ達を後ろに引かせた。
「私の職業は召喚師<サモナー>だ!いくぞ!-冥府から出でよ底無しの沼ケルベロス-」
構えていると、そこには何も居なかった。下を見てみると
—明らかに子犬だった。
無言で自分のバッグから骨を取り出し振ってみた。ケルベロスも反応し尻尾を振っている。遠くへ投げてみるとそれを追いかけて行った。その隙を見てサフォイアへ近付き、手刀で軽く頭を叩いた。
「お前さん、まだ新米だろ?決闘だが何だか知らないが、これで結果が分かったろ?」
軽く諭すとサフォイアは泣いてしまった、凄く困る、自分が泣かせたみたいな雰囲気になってしまった。ルーダにからかわれ、サーニャはあたふたし、ウールスは慰めてるという変な状況になっていた。
—あれ…決闘は何処へ?
サフォイアが泣き止み、話してくれた。
「召喚師の道を進んだのはいいけど、子供しか出てくれないし成長もしてくれなくて…私向いてませんよね…大人しく実家に帰って農家してた方がいいですよね…?」
ザウリスは否定をし、話した。
「いいや、君はまだ成長する、着実に成長するなら修行に励むしかないんだ。誰も必ずは失敗する、それでも諦めない心がある限り、それをバネにして成長するんだ。」
何とも熱血的でかつテンプレートな事を語ると、サフォイアは納得し、家へと帰って行った。これで良いのだろうか?ザウリス達も宿へ戻った。
宿へ戻り、暫くするとチルスが帰ってきた。
「ザウリスとサーニャ、お前達に話がある。」
何が変だと思った、自分とサーニャというこのペアに違和感は無いが、不穏な空気なのは分かる。自分自身何かがあったんだと思った、いや、思わざるを得なかった。ベランダに出るとチルスは話した。
「お前らには教えとかないといけない事がある—バルビダが死んだ。」
唖然としてしまった。俺に戦技を教えてくれたあの方が死ぬ筈がない、そう思った。
「魔軍の襲撃で死んだそうだ、現場に居た人の証言では人間の形をした化け物だったらしい、俺の見解ではザウリスの村を襲撃した女ヴァンパイア以上の強さを持つ、魔軍のトップ指揮官だろう。」
サーニャが口を開いた。
「ルーシュさんはどうなったんですか?」
「生きてはいるが、精神が安定せずマトモに魔法も唱えられない状態に陥っている。じきに回復するだろうが、時間が掛かるだろう。」
サーニャと似た状態になっているとは思いもしなかった。
「あのバカ、相手を見違えやがって…」
チルスは涙ぐんでいた。
「報告はそれだけだ、また何か分かり次第報告する。」
チルスは宿から立ち去った。魔軍指揮官のリーダーが女ヴァンパイアじゃなかった事に驚いた。あれ以上に強い奴が存在しているという事実に震えた。覚醒しても勝てるのだろうか?
—泣いてるサーニャを連れ、部屋へと戻った。




