死闘
丁度決着がついた時、バルビダ達と再会出来た、やはり苦戦したらしい。相当な傷跡が残っている。
「あいつ、金級の俺らでも苦戦したぜ、盗賊団とかやらずに組合に来れば良かったのに。いてて。」
「ほら動くな、傷が開くだろう」
ルーシュがお母さんのように見えた、そう見えてしまった。俺が子供の頃に死んでしまったが、悲しいという感情は一切湧かなかった、仕方がない事だと思っていたからだ。
ただ母性を感じ、恋しくなっていたのは確かだ。
「ルーシュさん、お母さんみたいですね」
口に出してしまった、バルビダとルーシュは大笑いしていた。
「確かにお母さんだな、うるさいけど飯は美味いし」
「それは褒めてるのか貶してるのかどっちなんだい?」
お互いの喧嘩で場が和らいだ、これからリーダーと対峙するというのに。
「サーニャ、俺にも回復魔法をお願いしてもいいか?サーニャの方が上位だから回復が早いんだ」
「分かりました、やってみます。上位魔法:天使の施し」
全体を優しい光が包み込むような感じがした、聖者の回復魔法は優しい感じで、とても気持ち良かった。
「ありがとう、ある程度は動けるようになったよ。」
彼女は深くお辞儀をした。
「そろそろリーダーとの決着だ、念入りに武器防具のチェックをしてくれ、防御魔法を皆にかけるから幾分か楽になるはずだ。」
宝石級がそう言うと、呪文を唱えてくれた。
「上位魔法:鋼鉄壁 上位魔法:回復の衣 上位魔法:攻撃向上 上位魔法:俊敏向上」
様々なバフをかけてくれた。
「相変わらずこのバフの多さは有り難いぜ。」
バルビダが笑いながら宝石級に話し掛けていた。
「俺はサポート寄りの大魔法使いだからな、サポート寄りとはいえある程度の攻撃呪文も使えるぞ。」
大魔法使いになると呪文を覚えられる量が増え、更にはサポート系も攻撃系も使えるようになる言わば上位職業だ。
「さて、リーダーのお出ましだ。」
そう言われ、前を見るとそこにはリーダーと思われし人が居た。
「うちのアジトで暴れ回り、更には可愛い副リーダー二人を殺した冒険者はお前らでいいのか?」
殺意に満ちた顔、だがあの女ヴァンパイアの方より数倍マシだった。
「ああ、俺らだ」
「ならば生かしておく訳にもいかねえって事だな」
次の瞬間殺意の波動が部屋全体に行き渡り、そこにはただ怨と怒りしか満ちてない部屋となった。
「相当キレてるなこりゃ」
バルビダも構え始め、お互い戦闘状態に入った。
「ルーシュ!サーニャ!お前らは援護に回れ!俺とバルビダとザウリスで詰める!」
「了解!」
意思疎通が出来ていた、ギルドを立ち上げてもいいレベルだ。気が付くとバルビダが飛ばされていた、攻撃をしてきたのを見えなかった、いや正確に言うと"見れなかった"。
「速さだけだと思っているな?俺の場合は速さと幻術を合わせて使っている。」
先ほどの見えなかった攻撃は幻術のせいであった、あの攻撃を食らうとまずいと判断し、盾を張った。
「魔法の盾<マジックシールド>」
「甘いな!小僧!戦技:盾破り」
盾を一瞬で砕かれ、自分も吹き飛ばされた。スールーと似た戦技を持っていると判断を出来なかった。
「上位魔法:氷の槍<フロストランス>」
宝石級の魔法は相手に目がけ飛んで行ったが、全て壊されてしまった。
「これで終わりか?」
「いやいや、まだまだだよ。これもほんと一握りさ。」
宝石級が言った時、ルーシュが魔法を唱えていた。
「上位魔法:龍の息吹<ドラゴンブレス>」
1000℃は超えるであろう広範囲魔法だが、ことごとく避けられてしまった。
「避けやすい魔法だな!」
リーダーの投げたナイフがルーシュの腹部に直撃した。
「自己紹介がまだだな、俺の名前はルーツだ。盗賊だが色々な技を習得している、言わばオールマイティーだな。」
「こいつっ、中々やるね」
ルーシュは回復しながら言った。
「ああ、相当手慣れだ。」
「こんなんでバテてもらっては困るぞ」
ルーツが構えた。
「俺の投げた投げナイフは防御魔法を貫通する特性を持っている、お前らの防御魔法はほぼ無意味だ!」
そう言い放ち、更に投げナイフを投げた。
「そうはさせん」
そう言うと宝石級が皆の前に立った
「魔法:武器生成」
槍を出し、投げナイフを全て弾いた。激しい攻防戦は凄まじい光景になっていた、全てを弾き返し後ろに一回も攻撃を通さずに弾き返したのだ。
「お前が面倒なのはよく分かった、これで終わらせてやる。」
「上位魔法:重力操作」ルーツがひざまづいた。
「ぐおお…」
「上位魔法:氷の槍<フロストスピア>」
今度は上からではなく、ルーツの下に呪文を唱え、ルーツに直撃させた。
「宝石級は多彩な才能の持ち主が集まるんだ、舐めるなよ雑魚が」
全てを終わらせてしまった、呆気なく。
「バルビダ、こいつを縛って組合に持ち帰るぞ」
「おう。皆よく頑張った!」
この五人で盗賊団を壊滅させたのだ。
ルーシュの怪我を治し帰る途中、ルーツが叫び出した。
「なんでお前が!止めろ!殺すな!」
皆がルーツの方に目を向けていた。次の瞬間、ルーツの首が飛んでいたのだ。
「これだから盗賊団は雑魚ばかりなのです。」
前を見るとそこには美形の男性がいた。
「私の名前はアルフィーネ・アンダーソン、そこの雑魚を仕留めに来た者です。」
ニッコリと笑いお辞儀をしながら続けて話した。
「本来なら貴方達も殺す所ですが、命令ではルーツだけを殺せと命じられましたので、私はこれで」
アルフィーネが転移しようとした瞬間、俺は切りかかっていた。攻撃を当てた、と思っていたがそこには糸のような何がが俺の剣をガードしていた。
「おや、私の糸はそんなやわな攻撃じゃ切れませんよ?」
そう言い糸を束ね、剣を持ち自分ごと投げ飛ばした。
「がはっ…」
地面に叩きつけられ、骨が折れた音が聞こえた。
「私は人形使いですが、人形を使わなくとも勝てそうですね」
ニッコリとし、転移していった。




