82 チーム
入学式のあの日行われたサバイバルゲームを圧倒的な力で勝ち抜いた俺は、全校生徒の注目の的となっていた。
しかし、五組以外の生徒との交流はあまりない。
あるにはあるが、どれも四組の変人と呼ばれる者たちだ。
さて、今まで触れていなかったが、入学式当日に行われたあの模擬戦だが、あれには当然意味がある。
それは、チーム決めだ。
この学校は期末試験の代わりに、学年トーナメントがある。
このトーナメントは、別に勝てば成績が上がるわけではない。たとえ負けたとしても、技術を見せることができれば好成績を出すこともできる。
そして俺だが、そのチームメイトがまだ決まっていない。
五組の生徒たちは俺と組まずにほかの生徒たちと組み、四組の生徒たちももう他に組む者がいると言う。
それも当然で、普通ならたとえ一般人の血が混じっていようと魔術師たちには、魔術師たちとの繋がりを持っている。
しかし、俺の場合魔術師との繋がりなど、咲や咲夜たちの里としかない。それも、彼女らが神だと言うことを考えると、魔術師とのつながりとは言えないかもしれない。
と、言うわけで俺は教師に、チームメイトをあてがってもらうことになった。
俺は教師に言われた部屋へと赴く。
チームには部屋が与えられており、俺が今向かっているのは、チーム五十一のに与えられた教室だ。
「失礼します。」
俺は一応挨拶をして、部屋の中に入る。
「あ、あなたが新しいチームメイトさんですか?」
俺が部屋に入ると、おとなしそうな女の子が寄ってきた。
顔には優しさがにじみ出ており、母性を感じさせる。
髪は綺麗な黒髪を後ろでまとめてポニーテールにしている。
「私の名前は、佐村紫音。使用流派は、雑賀流。これからよろしく!」
「ああ、こちらこそよろしく頼む。」
「へえ、まさかあなたと同じチームになるとはね。」
紫音の自己紹介が終わると、眼鏡をかけたいわゆるクールビューティーが話しかけてきた。
こちらは先程の少女と反対で、とげとげとした雰囲気を醸し出している。
髪は若干茶髪が混じっており、それを短く切りそろえている。
「俺のことを知っているのか?」
「知らないわけないじゃない。あなたは今、この学園一の有名人よ。」
「そうか。俺、そんなに有名になっていたのか。」
俺は、自分が今日まで学園でやったことを思い出す。
一組をぶちのめしたり、自身の魔法理論を授業で教えたり、魔法で練習場を破壊して、それを治したり。
うん。
「俺、そんなに有名になるようなことやったか?」
「はぁ、自覚がないのね。」
少女は大きなため息をついて、自己紹介をする。
「私は、神藤楓。よろしく。」
「ああ、よろしく。」
楓が自己紹介を終えると、その後ろからまた、女の子が出てきた。
「楓ちゃんの自己紹介が終わったから、次は私だね!私は夢宮スミレ!流派は陰陽道だよ!」
楓と名乗った少女はとにかく元気で、笑みを絶やさない。
顔は先程の二人とは違い、美しいと言うより可愛らしいと言ったほうがしっくりくる。
全員が自己紹介を終えたところで、
俺も自己紹介をする。
「俺の名前は、繭澄椎名。流派は特にない。しいて言うなら神流だ。何か質問はあるか?」
すると、楓が手を上げる。
「シンリュウって何?」
「ああ、神の流派だ。俺は、魔法の基礎は神に教わったからな。ほかは自分で作ったけど。」
「「「は?」」」
俺が自分の流派を告げると、部屋にいた全員が口をポカンと開け、放心状態になる。
先程楓にはクールビューティー認定したが、これでは取り消さないといけないな。
「ちょっと待って、あなた神に魔法を教えてもらったの?」
「まあ、本当に基礎の基礎だけだけどな。」
俺があっけらかんと返すと、楓は何かを考え始める。
「あなた、本当に神にあったの?」
「ああ、あったぞ。」
何か考えがまとまったらしく、楓がそう聞いてきた。
「だからあんなに強かったのね。」
楓は何かに納得したように頷く。
「そうだ。模擬戦をしないか?」
自己紹介が終わり、皆はそれぞれやりたいことをやりだした。
そんなときに俺はふと思いついたことを提案してみた。
「模擬戦ですか?」
紫音が首をかしげながら聞いてくる。
「ああ。これから一緒に戦うんだから、ある程度お互いの力を知っておくべきだと思うんだ。」
「確かにそうですが…。」
紫音は少し歯切れが悪い。
「どうした?」
「い、いえ。」
「じゃ、お前ら行くぞ。」
俺は若干渋る紫音、嫌そうにする楓、露骨に落ち込んでいるスミレを伴って、演習場に行くのだった。




