第六話 凍結トンネル
真夜中の高速道路。
バイクに行く手を遮られ、前に進めない。
前方にはトンネル。
――このまま進むのは危険だ。
そう思っていると、バイクがトンネルへ突っ込んだ。
次の瞬間、みるみる凍っていく。
慌てて急ブレーキを踏んだ。
車を降り、恐る恐る近づく。
落ちていた枝を拾い、トンネルに放り投げた。
――パキン。
一瞬で凍りついた。
「なんだ……このトンネルは……」
ここは高速道路。後戻りはできない。
いや、このまま進むこともできない。
違反なんかどうでもいい。命の方が大事だ。
ハンドルを切り、無理やりUターンする。
元の道を走り出した、その時だった。
「わー、どうなってるんだー!」
フロントガラスの向こうに、あのバイクが突然あらわれた。
さっきと同じ距離。
同じ位置。
そして同じように、俺を煽る。
前を見る。
――トンネル。
バイクが突っ込む。
凍る。
「嘘だろ……なんであそこにいるんだ……!」
逃げられない恐怖に、体が凍りついた。
車を降り、バイクへと近づく。
震える手でナンバーを見る。
――見覚えがある。
「これは……俺のバイク!」
その瞬間、景色が歪んだ。
*
「これは……バイクも遺体も形を留めていませんね」
検視官が言った。
「スピードの出し過ぎで、トンネルの壁に打ち当たっています」
現場には、冷たい空気だけが残っている。
少し離れた場所で、ひとりの男が立っていた。
――真夜中の高速道路。
バイクに行く手を遮られ、前に進めない。
前方にはトンネル。
ナビが無機質に告げる。
「まもなく、凍結トンネルです」




