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誰にも懐かない飛び級天才幼女が、俺にだけ甘えてくる理由  作者: 八神鏡@ようあま2巻&霜月さんはモブが好き1~5巻


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エピローグ 誰にも懐かない飛び級天才幼女が、『女の子』になった時――

 俺はどうやら、ひめに『お兄ちゃん』とは認識されていないらしい。


「陽平くんは、陽平くんです」


「まぁ、それはそうか……」


 俺は、俺だということだろうか。

 納得できるような、少しモヤモヤするような……?


 そんなニュアンスを俺から感じたのかもしれない。

 ひめは補足するように、もう一言付け足した。






「陽平くんは――男の子ですから。とても、素敵な男の子です」






 ……あ。

 そういう、意味か。


 その一言で、すべて理解した。

 ひめが俺に対してどんな感情を抱いているのかも……すぐに、分かった。


 同時に、俺が彼女の『お兄ちゃん』になれなかった理由も、把握した。

 いや、なれなかったわけじゃない。ひめは俺が『お兄ちゃん』であることを、望まなかったのである。


 最初からずっと、この子は俺のことを『素敵な男の子』だと見ていたのだろう。

 年上とか、立場とか、能力とか、そういうことは関係なく……ただただ単純に、一人の異性として高く評価してくれていた、というわけだ。


(……本人は、自覚しているのか?)


 あまりにも無邪気な返答に、なんだかこっちが動揺しそうになった。

 だってその言葉は――まるで『告白』みたいだったから。


(い、いや。たぶん、無自覚だよな……?)


 まだ、恋愛という意味はよく分かっていないように感じる。

 でも、彼女が最初から俺のことをそうやって意識していたのだとしたら……今、手を繋いでいる行動の意味も、分かりやすいものだった。


 たぶん、この子なりの愛情表現なのだろう。


 それを拒むつもりはもちろんない。

 むしろ、その気持ちは嬉しい。


 でも、俺がこうやって気付かないふりをできるのは……もしかしたら、あまり長く持たないかもしれないと、少し緊張した。


 近い未来にはもう、覚悟を決めないといけないかもしれない。

 もう少し長く、ひめとこの穏やかな関係のまま過ごせると思っていたが……その時間は、想像していたよりも短い気がする。


 何せ、子供の成長は早いのだから。


「えへへ。今日は肌寒かったのですが、陽平くんの手が温かいので、なんだかぽかぽかしてきました」


 そう言いながら、顔を赤くするひめ。

 愛らしい表情だった。無邪気で、純粋で……だからこそ、強く愛しいと思えるような、そんな笑顔である。


 こんなに、分かりやすい言動で示してくれているのだ。

 俺が、臆する必要はないか。


(――その時が来たら、覚悟を決めればいいだけだな)


 そう決意すると同時に、緊張が一気に緩んだ。

 握る手のぬくもりを感じつつ、俺も笑いかけて……ゆっくりと、学校に向かって歩みを進める。


 この小さな幸せを、今はしっかりと噛みしめよう。

 焦らず、ひめが子供でいてくれる内は、その愛らしさを目に焼き付けておこう。


 きっとすぐに、彼女は大きくなる。

 いつまでも子供扱いはできない。そのことは、もう覚悟が決まった。


 いつか、その時が来たら。

 ひめが子供から『女の子』に成長した時には、きっと。


 俺から、思いを伝えよう。

 そんなことを、強く思うのだった。







 ――これからも、誰にも懐かなかった飛び級天才幼女との日常は、しばらく続く。

 少なくとも、あと数年……いや、もしかしたら一年か二年くらいだろうか。


 とにかく、彼女が女の子として成長するまでは、甘えてもらって、たくさん甘やかしてあげよう。

 いつものようにお菓子を食べさせてあげて、膝の上に座らせてあげて、だっこして……そうやって、俺なりにたくさん愛情を与えよう。


 そして、その後はまた……飛び級天才幼女という括りを卒業した彼女――『星宮ひめ』という少女との物語が、始まるのかもしれない。


 その物語を幸せにすることを、心の中で誓いつつ。

 俺は、ひめと一緒に通学路を歩くのだった――。






【完】

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― 新着の感想 ―
 今はまだ……「恋愛? そいつは我等感情四天王の中で最弱ぅー!」な状態ですが、いずれ情動が成熟してきたら……ひめちゃん凄い手強く、かつ素晴らしき女性になりそうですね。  彼も、それに見合う行動と心を持…
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