道中
セラエノとタツヤが旅を始めて7日が過ぎた。
道中ドラゴンに興奮したタツヤが話しかけて殺されかけたり、亀甲縛りのセラエノを見た承認が奇異な視線を向けてきたり、食文化の違いに圧倒されながらも美味しくいただいたりとタツヤにとっては波乱の日々だったがセラエノはどこ吹く風だった。
またセラエノの声はタツヤにしか聞こえないらしく、下手に喋る事はできないなと思ったタツヤだったが、ふとセラエノが心を読めることを思い出して考えを改めた。
「そんで、実際一週間たったけど朝廷の仕事って何よ」
「何もないですよ。
強いて言うなら警察官ですか。
事件が起こるまでは見回りだのなんだのくらいで」
「警察はあれで結構仕事抱えてるんだぞ。
どっちかというと工場の品質管理とかじゃねえの」
タツヤのいた工場では品質管理課という部署があり、不具合の対応や非常時の対応に専念する部署があった。
余談ではあるがタツヤの事故死によりその品質管理課が総動員されて機器の整備や検査に当たることになった。
「まあなんにせよ、事件が起これば忙しくなりますが基本暇だと思ってください。
いっそ私の中にでもひきこもりますか?
一応司書になるというのは神様達から許可されましたし」
一週間の間にタツヤの罪状が増えたこと、その贖罪のためにセラエノの司書になる事の双方が神々の間では承諾された。
もとより現在二人のいる世界がほぼ見捨てられている事、セラエノがもてあまされていることに加えてタツヤも要注意人物に成り上がったため、世界もろとも空間を断絶させて廃棄するという案もあったが危険物と危険人物を管理の外へ投げ捨てる事を拒んだ神々によって否決された。
「あんな冒涜的な図書館に引きこもったら何かに引き込まれそうで怖いんだが。
というか最近毎晩のように悪夢見るんだがこれってお前の知識のせいか」
「あー……否定はできないです」
「人の安眠妨害しやがって、こんど火あぶりな」
「私悪くないですよ!
本を読んだのはタツヤさんだし、知識は必要だったから得ただけなのに! 」
「事故というのは得てして原因となった人物が裁かれるものだ」
「当たり屋ってご存知ですか」
現在道中で出会った商人の馬車の中で会話を続けている二人だが、護衛を引き受ける事で同行させてもらっていた。
食事に関しては適当に見つけた果実や動物を、セラエノの知識と書籍に基づいて毒の有無や食べられる部位、捌き方などを学びながら実践していた。
「当たり屋といえば……結構護衛というのは暇なもんだな」
「まあ不足に備えた仕事ですからね。
結局何もなければ護衛なんてのは不要ですから」
「……セラエノ、いやな予感がしたのは俺だけか」
「フラグというものが世の中には存在します」
「敵襲! 」
残念なことに、タツヤの予感とセラエノの言うフラグは当たってしまったのだろう。
他の馬車から声が上がった。




