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おまけの俺、この国がおかしいと気づく

数日が経った。


朝と晩に食事を運んでくるのは、あのおばちゃんだけ。

他に顔を出すのは、美琴たちくらいだ。


(……これ、完全に軟禁じゃないか?)


異世界に来てまで、引きこもり生活とは思わなかった。


ある朝。

食事を運んできたおばちゃんに、思い切って声をかける。


「ここにいるだけだと気が滅入りそうだ。外に出てもいいか?」

「ご自由にどうぞ」


あっさり返ってきた。


「晩御飯はテーブルに置いておきます。明日の朝、回収しますので」


(……ゆるいな)


もっと厳重に監視されているかと思ったが、拍子抜けだ。

朝食を済ませ、外に出る。

廊下を抜け、城門へ向かう。


その途中、門の隅で兵士たちが雑談していた。

《遮断の外套》を発動する。

気配を消し、そっと近づく。


「また獣人の村を一つ落としたらしいぞ」

「へえ、また奴隷が増えるな」

「今度は可愛いのが来るといいな」

「勇者が戦力になれば、一気に押し切れるだろ」

「楽に勝てるのはいいことだ」


(……ん?)


違和感が走る。


(攻め込まれてるんじゃないのか?)

(むしろ……こっちが攻めてる?)


しかも、捕まえた相手を奴隷にしている。


城を出る。

目の前に広がるのは、活気ある城下町。


だが――


耳に入る話は、どれも穏やかじゃない。


「亜人の村をまた焼いたってよ」

「獣人どもをやっつけて、いい気味だ」

「でも奴隷が増えると臭いのよね」


(……やっぱりおかしい)

(亜人排斥……か?)


少なくとも――


(ダルガスの話の方が、筋が通ってる気がする)


街を歩く。

色とりどりの露店が並んでいる。

焼きたてのパン。

見たこともない果物。

生活雑貨――そして武器屋。


「……剣まで売ってるのか」


思わず足を止める。

いかにも“異世界”な光景だ。

だが、ふとポケットを探る。


(……ない)


財布も現金も、当然この世界の通貨もない。


(やっちまったな……)


食べ物は目の前にあるのに、手が出せない。


(これじゃ散策どころじゃない)

(まずは金か)


そうしなければ、ここから先に進めない。

そんなことを考えながら歩いていると――


遠くから怒号が響いた。


「奴隷のくせに逆らうな!」

「邪神の手先め!」


(……なんだ?)


足を止め、声の方へ向かう。

そこにいたのは――


柱に縛り付けられた、小さな少女だった。


泣きながら、震えている。

美琴よりも、さらに幼い。

頭には、二本の角。

明らかに人間ではない。


兵士らしき男が、酒臭い息を吐きながら剣を抜く。


「おいおい……まさか……」


(まずい!)


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