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弱そうに見えて本当に弱い俺が魔王を倒すまで  作者: プリン伯爵『虹色魔導師は目立ちたく無い』発売中!


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第21話 白金級の本気!

伯爵邸で目を覚ました俺は朝食をいただき、見送りと共に伯爵邸を後にした。

なぜかディーナさんが着いてくるけど、これはどうしたものか。


「今日はどうするのだマル」

「どうするとは?」

「冒険者ギルドも今や魔物襲撃の後処理に追われている事だろう。恐らく掃除の依頼は張り出されていない」

おいおい、俺の日課なのに。

どうしようかな、やることなくなっちまったよ。


「暇なら少し付き合え」

「どこか行くんですか?」

「まあ、な。マルがどれだけ戦えるようになったか私が直々に見てやる」

ディーナさんの申し出を俺は二つ返事で受けた。

鉄仮面と呼ばれている彼女は白金級の冒険者だ。

そんな実力者から手ほどきを受けられるなんて、他の冒険者が羨ましがるだろうな。



ディーナさんに連れられてきたのは、街外れにある廃墟の庭だった。


「ここでやるんですか?」

「ああ。できる限り手の内を他の冒険者に見せたくはない」

俺ならいいのか?

俺も冒険者なのに?


「あのー俺も冒険者ですけど」

「マルならば構わん。どうせ……型など分からんだろうしな」

なんかよく分からんが俺には見せてもいいらしい。

型がどうとか言ってるけど、そもそも剣すら握ったのはこの世界に来てからだ。

型だなんだと言われても分かるはずもない。



「……周りに人はいないな。さて、そのよく分からん武器で打ち込んでこい。殺す気でな」

「本気でやっていいんですね?」

「でなければ意味がない」

俺が黒龍丸を構えるとディーナさんは腰に差した一本の剣を抜く。

お互いにいつも使っている武器だ。

当然ディーナさんの方の剣は刃が入っている。

当たれば大怪我はまのがれないだろう。


「安心しろ。手は抜いてやる」

「なら大丈夫ですね!行きますよ!」

俺は全力で駆け出した。

といっても俺の足ではそこまで速さは出ない。

ディーナさんからすればノロマに見えているだろうが、これが俺の全力だ。


「ウオオオオッッ」

「迫力だけはそれなりの冒険者っぽいぞ!」

俺が繰り出した突きは簡単に避けられてしまった。

今度は俺の足を軸にして身体を捻り黒龍丸の先端をディーナさんの顔面目掛けて振り抜いた。


「ほう?身体全体を使った攻撃か!ふむ、悪くないが……こうすれば隙だらけだ」

「うおっ!」

振り抜いた瞬間俺は浮遊感に襲われた。

すぐに俺の軸足が払われたのだと気づいたが受け身など取れるはずもなく無様に地面に転げた。


「いてて……手加減、してます?」

「している。かなりな」

「いやいや、俺の攻撃全然当たらないんですけど」

こんな会話を繰り広げながらも俺は何度も突きを繰り出す。

しかし面白いほど当たらない。

徐々に俺の体力がなくなっていき、数度目の突きが終わると肩で息をしていた。


「はぁはぁ……避けすぎじゃないですか?」

「お前の攻撃があまりに遅すぎるのでな」

「くそぅ……なんてな!オラッ!」

油断させたフリをしてディーナさんの鉄仮面へと突きを入れたが、首を捻って躱された。


「単純すぎる。そんなものに引っかかるバカはいないぞ」

「グッ……」

だめだ、どう足掻いても一撃入れることすら叶わない。

なんとかディーナさんにぎゃふんと言わせたいんだけどな。


「ふむ……もっとやる気を出させてやろうか?」

「え?なんですか?」

「もし、一撃でも入れられたのなら私の素顔を見せてやってもいい」

なんですと?

おいおい、そりゃあ本気でいくしかないっしょ。

ディーナさんの声からして確実に美女だ。

これはなんとしても素顔を拝まねば。


俺のやる気が入ったと感じ取ったのかディーナさんは鉄仮面の下で鼻で笑う。

単純で悪かったな、でもそんだけアンタの顔を見たいんだよ。


「やってやる!!ウォォォッ!」

「気迫だけでは一撃入れることなど叶わんぞ!」

「分かってますよ!っと!」

俺は突きを入れるフリをして黒龍丸から手を離した。

当然勢いよく飛んでいく黒龍丸。

それを躱した瞬間を狙えばいい。


いくらディーナさんでも不意をついた二重攻撃は躱せない!


俺は全力でディーナさんへと飛び込み片足を軸にして回し蹴りの原理で全体重を乗せた蹴りをいれる。


当たった!と思ったら黒龍丸を片手で掴みもう片方の手で蹴りを受け止めるディーナさん。

俺の渾身の一撃だぞ?

それを片手で受け止められるって自尊心が粉々にされちまったぜ。


「不意を突いたのはいいが、それではまだまだ私に傷一つつけることはできんぞ」

「そうみたいですね……」

ディーナさんが手を離すと俺はバックステップで距離を取る。

運動神経が悪い癖にバックステップができるのかだって?

そんなもん当然できるに決まってる。

スキップができないようなうんちではないからな俺は。


それはさておき、このままだとディーナさんに全然良いところを見せられない。

まあこれが現実ってやつよな。

漫画やアニメみたいにここぞという時に力を発揮するのはフィクションであって現実はそう甘くない。


でもせめてディーナさんの本気を見たいものだ。


「ディーナさん、一度だけ本気を見せてもらえないですか?白金級の本気ってやつを」

「ふむ……まあ経験しておくのもありか。いいだろう、ただしその武器を構えて絶対に動くなよ?少しでも動けば怪我をする」


動くどころか多分俺の目では反応できないだろうけどな。

とりあえず俺は頷いて防御の構えを取った。


ディーナさんが剣を構えて腰を落とす。

おお、見るからに強そうな構えだ。


「行くぞ、動くなよ」

「大丈夫です!」

ドンッと何かを蹴飛ばすような激しい音と共にディーナさんの姿は掻き消えた。

と、思った瞬間には俺の目の前にディーナさんが迫っていた。


「我が剣は至宝……我が名はディーナ。応えよ!宝剣ガランシャール!」

「え?え?ちょ、ちょっとそれヤバそうじゃないっすか!?」

「動くなよ!マル!」

動くなと言われても恐ろしくて動けんわ!


暴風が俺の頬を通り過ぎたかと思うと光を帯びた剣を高々と掲げたディーナさんと目が合った気がした。


星降る瞬きの一閃(スターストライク)!」

眩しくてつい目を瞑ってしまうほどの輝きが俺を包みこんだ。

風が止み恐る恐る目を開くとあの光を帯びた剣はどこへやらと言わんばかりに剣を鞘へと仕舞うディーナさんの姿が目に入った。


「あれ?終わり?」

「終わりだ、後ろを見てみるといい」

ディーナさんに促され振り返ると上半分がズレ落ちる廃墟の姿があった。


「え?」

「我が剣は対象だけを斬り裂く。マルの背後にある廃墟のみを斬った」

「なにそのチート……」

俺の身体を通り過ぎて背後の物体だけを斬るとかどんなチートなんだよ。

ディーナさんめちゃくちゃつえぇじゃねぇか。


「強すぎません?」

「白金級ならこれくらいできて当然だ」

いやいや、白金級でこんだけ強かったら英雄級のレオンはどんだけ強いんだよ。

あれか?目からビームとか出すんか?



「とりあえず今のマルの強さは分かった」

「お、まじすか?どれくらい強くなってました?」

「……スライムは倒せる程度には強くなっている」

よわ。

弱すぎて自分でもびっくり。

せめてゴブリンは倒せるな、くらいは言って欲しかった。

てかゴブリン倒してるしな俺。


「ゴブリンも一応倒したんですけど」

「辛勝だろう?あれならゴブリンを倒せる実力があると言えん」

「そうですか……」

肩を落として俺がガックリ項垂れているのを見てか、ディーナさんは申し訳なさそうな声色で話を続けた。


「し、しかし最初に出会った頃に比べれば幾分かマシにはなっているぞ。成長はしているようだ」


ディーナさんの申し訳程度のフォローが悲しかった。

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