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弱そうに見えて本当に弱い俺が魔王を倒すまで  作者: プリン伯爵『虹色魔導師は目立ちたく無い』発売中!


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第20話 お泊り!

伯爵邸での食事を終え俺は与えられた部屋へと戻ってきた。

既にベッドメイキングも完璧にされていて、いつでも寝られる状態だった。

風呂も使わせてもらったしもうやり残したことはない。

そう思って俺がベッドへと飛び込もうとしゃがんだ瞬間、ドアがノックされた。

後少しでダイブできたのに!

誰だ俺の楽しみを妨げるやつは!


「……はい。開いてますよ」

若干俺の声は低くなっていた。

苛立ちが声色に乗っちまったぜ。


「失礼する」

入ってきたのはパジャマ姿のディーナさんだった。

ピンクと白のふわもこパジャマか。

可愛いじゃんと思ったのもほんの一瞬だけだった。


頭には鉄仮面が着いていたから。


「あの……ディーナさんって寝る時もそれ着けてるんですか?」

「バカモノ。そんな訳がないだろう。お前に会いに来たから着けただけだ」

いやもう面倒くさいだろそれ!

外せよ!とは言えなかった俺は何とも言えない表情を浮かべた。


「そ、それで何か用事でもあったんですか?」

「む。それなのだが……そこの椅子を借りるぞ」

俺の返事を待つ前にディーナさんは空いている席に腰掛けた。

……聞く必要あったかな?



とりあえず俺も席に着くとディーナさんが重々しく口を開く。


「最初に出会った時、マルは別世界から来たと言っていたな?」

「ん?ああ、そうでしたっけ?」

言われてみれば思い出した。

そういえば最初に説明したな。

……まあ、信じてもらえなかったけど。


「あれは本当のことだったのか?」

ああやっぱりな。

信じてないだろうとは思っていたけど、やっぱりな。


「本当ですよ。俺この世界の人間じゃないんですから」

「ふむ……その弱さといい常識を知らないことといい……納得できる、か」

弱さで判別してる?

いやいや、この世界の人間がおかしいだけだろ。

あんな化け物みたいなゴブリンとかネトネトしたスライムとか日本にいなかったからな?

もしいれば俺だって多少は……いや無理か。

無理だわ、よく考えたら小学生の頃から雑魚だったわ。


「何だ急に黙り込んで……言い過ぎた、か?」

「ああ、いやいや。ちょっと昔の記憶を思い出してまして」

「ふむ……それだったらいいが」

なんだよ、ディーナさんちょっとしょんぼりしてるじゃないか。

イジってるつもりが俺を傷つけてしまったと勘違いしたらしい。

真面目なところあるよなディーナさん。



「マルのいた世界の事教えてくれないか?」

「俺のいた世界ですか?うーん何から話せばいいのか」

とりあえず魔法という概念は存在しない事を最初に説明して、地球という星があってそこに数百の国が存在していて、俺が住んでいたのは日本で――と割と細かく説明してあげた。

ディーナさんも興味があるのか時たま相槌を打ち、驚いたような声も漏らしていた。


表情は分からないけどな。

鉄仮面のせいで。


「ふむ……馬を使わず走る鉄の車に魔法を使わず空飛ぶ鉄の箱。話を聞けば聞くほど意味が分からんな」

「まあそうでしょうね。この世界とはあまりに違い過ぎますから」

この世界は科学という概念がない。

俺の元いた世界には魔法という概念がない。

お互いの世界で理解できない部分があるのは面白いな。

ディーナさんからしてみれば鉄の箱が空を飛ぶなんて多分ガソリンがどうのとかエンジンが、とか説明しても理解が及ばないはずだ。

俺だって魔法を使う際の魔力の流れを意識して、とか言われたってなんのこっちゃ分からん。


「魔物もいない世界か……そんな平和な世界があるとは。この世界もいつかそうなってくれればいいが」

「それは無理なんじゃないですか?だって魔物の数が膨大でしょ」

「少なくともこの国から魔物を排除できればな」

「それくらいなら国家総動員で何とかなるかもしれないですけど」

「私はこの国さえ安全で平和であればそれでいい」

ディーナさん滅茶苦茶愛国心たけぇ。

やっぱ騎士の格好してる理由って形から入りたいタイプなのかな。


「一説では魔王がこの世界に魔物を生み出しばら撒いていると言われている」

「伝承みたいなもんですか?てことは魔王が死ねば魔物は今後生まれない、可能性もあるってことですよね?」

俺の言葉にディーナさんは頷く。

魔王か……ほんとにおとぎ話を聞いているみたいだ。

まあ俺には関係ねぇけどな。

魔王なんて要は魔物の王だ、俺なんかが敵う相手じゃない。


「魔王を倒せそうな人はいるんですか?」

「いる……といえばいるが実際のところは分からん。魔王と戦うにはまず魔界にいかねばならんからな。魔界は魔族や魔物がわんさかいる。それを容易く屠れる力がなければそもそも魔王の下まで辿り着けん、らしい」

らしいといったのはあくまで、聞いた話だからだそうだ。

魔界に行った者は帰ってこない。

そう言われているが、実際は数人が帰還を果たしている。

俺はその話を聞いてレオンならいけるんじゃないかと考えたが、ディーナさんは首を横に振る。


「レオン殿は確かに強いが、それでも一人では魔王の下に辿り着けん」

「ならパーティー単位、もしくは大人数で行けばたどり着けるんじゃないですか?」

「魔族と対等に戦える冒険者は限られている。少なくとも白銀級の実力がなければならない」

冒険者のランクは上にいくほど人数が少ない。

だから大人数で魔界に攻め込むというのは現実的ではないらしい。


それなら他国と協力すればとも思ったが国同士手を取り合うのはなかなか難しいそうだ。


「国と国が手を取り合う。そうなれば理想だが現実は甘くないぞ。例えば我が国クリステル王国が南にあるバルト共和国と手を結んだとしよう。そうなれば絶対にレザリア帝国が黙っていない」

でたでた、もう覚えられねぇよそんな沢山の国名。

バルト共和国もレザリア帝国も初めて聞いたわ。

でも黙っていないって魔王を倒すのは人類の悲願じゃないか。

何を口出ししてくるというのか。


「レザリア帝国は世界最大の国家だ。我が国もそれなりに大国ではあるが帝国に比べればどうしても見劣りする」

「そんなに巨大国家なんですか?」

「国力も国土も軍備も全てにおいて世界最大だ。だから他国同士が手を取り合うと帝国に仇なすつもりかと確実に横槍をいれてくる」

めんどくせぇなぁおい。

国が絡むと魔界や魔王だなんて言ってられなくなるってわけか。

目先の心配よりも未来の心配しろよと喝を入れてやりたくなる。

それなら帝国と手を組めば万々歳じゃないか。


「それなら帝国と手を組めば、と考えただろう?」

おっと、俺の頭の中を覗いたのかと思えるくらい的確に言い当ててきたな。


「残念だがそう簡単な話ではない。我が国が帝国と手を組めば他国が黙っていない。世界最大の国家と大国である我が国が手を組めばこの世界を支配しようとしているのではないかと勘ぐるバカが出てくる」

「そ、そんなバカな」

「ふふっ、そうだろう?しかしそれが国というものなのだ」

ディーナさん詳しいなぁ。

俺でも理解できるように分かりやすく説明してくれるじゃん。


「だからマルの元いた世界が羨ましく感じられる。平和など夢物語だと思っていたが……実現できるとはな」

「まあ仮初めの平和ですけどね。俺のいた世界でも過去には世界大戦って言って色んな国が入り混じって戦争してましたし」

「人は争いから逃れられないのかもしれないな」

まあそれが人間の良さであって悪いところでもあるんじゃないかな。



「すまないな、こんな時間に邪魔をして。ゆっくり休め。それとゴブリン討伐おめでとう」

「え、ああいや全然構わないですよ。ありがとうございます」

ディーナさんはそれだけ言うと部屋に戻って行った。

ふむ、魔王か……俺でどうにかできるなら何とかしたいところではあるが、如何せん雑魚だからな……。


まあその辺りはおいおい考えるとしよう。


俺はベッドに潜り込むと睡魔に襲われ意識を手放した。

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