第10話 塔の扉
死ぬことでしか強くなれない力。
それは本当に“スキル”と呼べるものなのか。
それとも――この世界が用意した“何かへの導き”なのか。
これは、『異世界来たけど俺の能力は死なないと強化されない件』
塔の奥で語られる真実が、少年の存在に“違和感”の影を落とし始める物語。
塔は、風の音さえ飲み込むほど、静かだった。
村から数キロ離れた岩地の奥。
灰色の石でできた、巨大な円柱の建造物。
どこまで続いているのかも分からないほど高くそびえ、空の端を切っていた。
蓮「……本当に、誰も近づかないんだな」
アイリス「前に来たのは、十年以上前の探索隊。その時は、扉すら開かなかったらしい」
蓮「じゃあ、なんで今になって――」
その言葉を遮るように、塔の表面が、ふっと“呼吸”したように揺れた。
そして、重厚な扉がきしむ音とともに、わずかに開いた。
蓮「……俺が来たから、開いた?」
アイリス「転移者にしか反応しないのかも。あるいは、死を纏った存在にだけ」
その一言が、蓮の胸を刺した。
“死を纏った存在”――
それはもう、自分が“生きているだけの人間”ではなくなったことを意味する言葉だった。
蓮「……行こう」
塔の中は、異様に静かだった。
石の床。空間に浮遊する光の粒子。
魔力の残り香が、まるで“何百年も人が入っていない神殿”のようだった。
そして――
蓮が一歩、足を踏み入れた瞬間。
声が、響いた。
???「ようこそ、観測対象No.72」
蓮「……誰だ?」
???「この塔は、“死と成長の変異因子”を追うために設けられた監視施設。
君のような異常進化体のデータを観測・記録・比較するための場所だ」
アイリス「……データ?」
???「そう。転移者の中でも、“死ぬことでしか強くなれない個体”は、極めて稀。
通常、2回目の死を超えると精神崩壊が起きる。
君は、それをすでに3回超えて、なお自己を保っている」
蓮「……じゃあ俺は、他と違うってことか?」
???「“死”に適応しすぎている。それは祝福か、呪いか。
だが一つ、確かなことがある」
蓮「……何だよ」
???「君は、まだ“進化の途中”だ」
塔の中心に、赤い球体が浮かび上がる。
脈動しながら、かすかに“蓮の呼吸”と同調しているように見えた。
蓮「これ……何かに似てる」
アイリス「“魂”に近い波動……?」
???「これは、“進化の核”――死と引き換えに、君が積み上げてきた記録の一部」
蓮の脳裏に、過去の“死”が走馬灯のように蘇る。
焼ける皮膚、砕ける骨、切り裂かれる喉、遠ざかる視界――
蓮「……これが、俺のスキルの正体なのか?」
???「いずれ君は、自ら“その力の意味”を問う日が来る」
蓮「問いって、なんだよ……!」
???「死ななければ強くなれない。けれど、強くなればなるほど、君は“死に近づいていく”」
蓮「……っ」
その言葉が脳裏に刺さった瞬間――
塔の空間が、ぐらりと揺れた。
蓮の足元が崩れ、強制的に空間から“排出”されるような感覚に襲われた。
???「これはプロローグにすぎない。蓮――お前の“異常性”は、もはや観測の域を超えている」
その声が最後に響いたあと、蓮の身体は、真っ暗な空間に飲まれた。
――目を覚ましたとき、彼は元の森に倒れていた。
アイリスも近くにいた。共に吐き出されたようだった。
アイリス「……蓮。さっき、塔で聞いたこと……」
蓮「……わかってる。
たぶん、俺のスキルは、“ただの成長”じゃない。
死をくぐるたびに、“何か別のものに近づいてる”気がする」
アイリスは静かにうなずいた。
その表情には、不安と――ほんのわずかな恐れがあった。
そして蓮は、空を見上げた。
どこまでも高く、冷たく広がる蒼の中に――
“死”の匂いが、確かに漂っていた。
第10話を読んでくれてありがとう。
今回は、いよいよ物語の“核心に触れる入口”として、塔という存在と、蓮の“スキルの異常性”が語られました。
「死ねば強くなる」――その言葉の裏に、想像もつかない代償が隠れているかもしれない。
次回、第11話。
蓮に迫る“選択”と、塔で目覚めた力の“代償”が、現実の世界に影響を及ぼし始めます。
いよいよ、物語は“第1章”の終盤戦へ――
どうか、次回も見届けてください。
※この作品はAIの協力の元作成されています




