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Episode17-1.どうやらあの子には好きな人がいるらしい。

 おはようございます!


 昨日はブックマークの新規ご登録、誠にありがとうございます!

 いつもは1日1本ペースで執筆してるんですけど、昨日は嬉しくて、4本ほど書いちゃいました。笑


 さて、それでは第17話、スタートです♪

 体育祭の開催された週の週末。

 いつものように勉強会を開く事になった俺は、待ち合わせ場所の駅のベンチでみんなを待っている。

 今回からマユミが初参加。

 そうでなければ駅に来る事も無く、俺の家に直接集合にしてたところだ。


 マユミは意外と遠くから通っていて、俺達の住んでいる市の隣、世界的に有名なレース場のある市に住んでいる。

 その市の市役所の近くの駅から支線に乗り、そして本線に乗り換えて電車で30分足らず。そこからは歩きで学校まで来てるって事だ。

 つまりタマとレオとは駅と学校の間の通学路で言うと、全く一緒のコースって事だな。

 俺も毎日タマと一緒に帰ってるから、途中で会いそうなもんなんだけど、一度も通学路で会った事は無い。

 まあ俺も最近までマユミのような女の子がいるなんて知らなかったし、もしかして普通にすれ違ってたりしたのかもしれないな。


「おはよう、アルくん!」


 やはり最初に来たのは美咲だった。

 美咲は直接我が家に来た方が早いのに、それでも駅まで来てくれる。


「美咲にとっては、俺んちに直接来る方が楽なんじゃないか?」


 俺が隣に腰掛けた美咲にそう尋ねる。

 すると美咲は背もたれに体を預ける素振りを見せて、少し上を向く。


「まあ、結構ご近所さんだもんねぇ。でもさ、私にとってのこの時間は、誰にも邪魔をされない、アルくんとの大切なお喋りタイムなんだよね」


 そう言って美咲は俺に笑顔を見せる。

 うーん、そんなもんなのか?


「別に家近いんだし、暇な時は用が無くてもいつでも来て良いんだぞ?アンやチコなんて暇な時はいつも部屋に来るからな」


 すると美咲は驚いたような表情をしたかと思うと、少し照れたのか俯き気味で小さく微笑む。


「そっか……。うん、わかった。私、アルくんと話したくなったらいつでも行くね!」


「おう。まあでも常識的な時間に限るぞ?」


「うん!」


 そう言って美咲は笑顔を見せる。

 でもちょっとマズッたかもしれないな。

 美咲は俺のストーカーを自称してる事だし、前みたいな無茶な事をしなけりゃ良いけど……。

 そんな不安を感じつつ、美咲と話していたら、マユミが改札から出てきた。


「おはよう、マユミ!」


「おう、マユミ」


「うん、おはよう、美咲!」


 マユミに思いっきり無視されてしまった。

 それにしてもマユミの服装だけど、かなり徹底されたギャルファッションだ。

 黒の上下の所々に豹柄のあしらわれた服を着て、薄い色のウェーブのかかった長い髪の毛は、左側でサイドポニーテールにしている。

 そして今日もメイクがケバい。

 うちの学校でこんなギャルっぽい恰好をしているのって、あまり見ない……って言うか、おそらくマユミだけだろう。

 なんだかんだでうちは結構真面目な学校なんだ。


 美咲とマユミ、2人の会話に疎外感を感じつつ、タマとレオの到着を待っていると程なく2人が現れた。


「おはようございます」


「おはよう、みんな」


 するとマユミはまた妙に乙女のような仕草でレオに近寄る。


「おはよう、レオくん♪今日は良い天気だよね!中庭の花も水をもらえたら喜びそう!」


 ふむ、恰好こそギャルだけど、決して言動はギャルではない。やっぱりこれって……。


「あのさ、美咲、俺、ちょっと気付いた事があるんだけどさ……」


「偶然だね、アルくん、私もだよ」


 やはり察しのよい美咲は気付いたようだ。

 そしてそんな俺と美咲の様子を見て、タマは挨拶をしたときの笑顔のまま、頭に『?マーク』が見えるかのような表情になったのだった。





「久々のアルくんちだぁ。相変わらずおっきいね!」


 そうか。考えてみればレオがうちを訪ねて来たのって、チコの誕生パーティー以来だ。


「スッゴく素敵な家だよね、レオくん♪」


 もうあからさま過ぎるだろう。

 おそらくレオさえいなければ、「うわっ、だっせー家!」とか言ってたんだろうな。


「ただいまぁ」


「おかえりぃ、お兄……」


 あ、何だか久々の反応だ。

 奈緒は見慣れたメンバーの中に1人、ミユキの存在に気付く。


「お、お兄が派手な女の人連れてきたぁ───!!あ、あ、アンちゃ───ん!!チコちゃ───ん!!」


 いつも通り奈緒が鉄板ネタを披露してくれた。


「ま、上がってくれよ」


「はーい、お邪魔しまぁす!」


 もうみんなは慣れたもので、マユミだけが呆気にとられている。


「えっと、山田くん?そのままにしといて良いの?」


 って怖っ!『山田くん』なんてここ最近先生にしか呼ばれた事ないぞ?何だよマユミのこの猫かぶりは?


「うん。奈緒ちゃんも平常運転だね!」


「あ、あははー……そうなんだぁ!こんなに慣れてるなんて、やっぱりレオくんと山田くんって仲良いんだねぇ♪」


 だからその『山田くん』ってのやめてくれよ。

 そのマユミの二面性と相まって、呼ばれた瞬間ゾワッとするんだよ。

 まあ良いか……。取り敢えず勉強を始めよう。


「じゃあ美咲はタマを、マユミはレオの勉強を見てやってくれよ。俺はもうちょいしたら昼の準備始めるわ」


 担当の割り当てをすると、マユミの目が一瞬だけ輝くけど、本当にそれも一瞬で、俺がマユミの表情を窺うとまた睨まれてしまった。

 忙しいやつだな。


 体育祭でマユミと一緒に食事をした時は、俺が嫌われている理由は全くわからなかった。出来たらこの勉強会で判明すれば良いけど……上手くいくかな?

 マユミの今までの言動から見るに、まず以前から俺の存在は知っていたっぽい。

 そしてタマと俺が付き合ってる事は体育祭で初めて知ったみたいだけど、マユミは俺とタマが偽の恋人だと思ってるみたいだ。

 まあ今年の4月辺りだったら、そう言われても仕方のない付き合い方だったけどな。

 でも今はそんな事を言われるような関係ではないと思っている。

 そしておそらくレオは全然気付いて無いんだろうけど、マユミはレオの事が好きなんだろうな。

 レオの前では美咲もドン引きするほど乙女になる。

 それでも『山田くん』はやめて欲しいんだけどな。


 総合して考えると……訳がわからん。

 まあもうちょい観察するか。




「え?なんで生徒会長がこの家に?」


 マユミに我が家の家庭事情の説明をする。


「へぇ……山田くんもうちと同じなんだね」


 だから山田くんはやめてくれ。

 うちと同じって……もしかしてマユミも家庭事情が複雑なのかな?


「よろしくね、えーっと、マユミちゃんで良い?」


 いつものように奈緒がアンとチコを連れてきたので挨拶をしてもらう。

 ちなみにアンとチコには事前に今日の事は伝えてあったので、以前みたいにチコが色々と聞いてくる事もない。


「よろしくね、ギャル先輩!」


 またチコが妙な名前をつけてるし。

 まあ良いや。取りあえず俺は食事を作ろう。





 今日の昼食はマユミの好みを知らないから、取りあえず万人受けしそうなトマトソース系のパスタとサラダにしておく。


「うん、相変わらずアルくんの料理って最高に美味しい!ね、マユミちゃん!」


「そうだね!山田くんってこんなに料理が上手かったんだね!」


 好きな人と一緒に食べると嫌いな人の料理も美味しく感じるらしい。

 レオの隣で食事をするマユミはとても幸せそうに見えた。

 告白とかはしようと思わないんだろうか?




 昼食後は俺も参加して勉強の続きをする。

 マユミも美咲同様に教えるのが上手いような気がする。

 まあマユミもレオが相手だからやる気を出してるんだろうけどな。

 次回のテストではタマもレオも成果が上がる事だろう。



 16時になり、取りあえず勉強会はお開きとなった。

 タマとレオだけでなく、俺にも、おそらく美咲やマユミにも成果があった良い勉強会にはなったんだけど、結局マユミが俺を嫌っている理由などはいまいちよくわからなかったな。

 うーん解決の糸口さえも見えない。



 そうこうしているうちに俺達は駅に到着する。


「あっ、そうだ。もし良かったらさ、みんなでrineのグループチャット作らない?勉強とかでわからない事とかも気軽に話せるよね?」


「あ、そうだね!じゃあ僕、今晩にでもチャットルーム作っとくよ!」


 美咲、ナイスアイデア!

 そしてレオもそのアイデアにのってくる。

 さすがのマユミもレオの提案なら無下に出来ないだろう。

 これなら自然とマユミに事情とか聞けるんじゃないかな?


「じゃあみんな、後で招待しとくね!」


 レオ、結構ノリノリだな。

 こうして俺達はチャットグループを作る事となり、そして駅で別れたのだった。


「アルくん、私もちょっとは役に立てた?」


 美咲が俺に尋ねてくる。

 美咲ってやっぱり鋭い。


「ああ、ありがとう、美咲。本当に助かった」


 俺が美咲に礼を言うと、美咲はとても嬉しそうに微笑んだのだった。

 ここまで読んでくれてありがとうございます!


 ブックマークやご感想などはお気軽にどうぞ。


 それではまた次回♪

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