第一話 恋の概念
「淡路くん!おはよー!」
俺は告ってきた女子に色々と不快なことをしてしまっていたのかもしれない。
「おう、おはよう〇〇。」
一瞬彼女がリアクションに困る。
「なんか、淡路くん変わった?」
「ああ、そうかもな。」
〜〜〜〜
恋ってなんなのだろうか。デート?それともキスをする?そんな単純なことなんだろうか。俺はまだこの答えを導くことができていない。そんなことを考えている普段の日常。何気ない日常が幕を開ける。
登場人物
淡路涼平
主人公。高校2年生で成績優秀の男子。恋愛についての概念が分からず恋愛に興味が持てない。
下館柑理
高校2年生。淡路に告白して振られたが、涼平を監視しており、いまだに恋心を抱いている。
芳原龍太
高校2年生で涼平の友人。赤点補修常連でいつも涼平に手伝ってもらっている。彼女がいる。
淡路由寿
高校1年生。涼平の妹。兄同様に頭が良いが、兄とは違い恋人持ちである。恋についてはとても厳しい。
「いってきまーす。」
ドアを閉める。そして学校までの道を歩き出す。本当にいつもと変わらない道だ。
5月。春なのに暑く夏にしてはまだ涼しいというこの時期、人によっては辛くきつい時期だろう。花粉だったり、勉強だったり。まあ、そんな日常も好きになってきた。花粉は嫌いだが…
「おはよう、涼平!今日も一段と真面目くんだなぁ。」
「うるせーな、お前テスト近いのに大丈夫なのかよ。」
俺、淡路涼平は普通の高校2年生。で、こいつがクラスメイトの芳原龍太。中学からの同級生である。
「大丈夫さ、テストなんて前日に徹夜でやればなんとかなるから。」
「お前それで前回赤点だったんだろうが。で、結局俺が教える羽目になるんだぞ。少しは努力しろ。」
「分かってるよ。絶対大丈夫。」
〜〜後日〜〜
「涼平助けてくれ〜。」
「やっぱりお前赤点だったのかよ。あれだけ努力しろって言っただろ。」
「努力はしたぞ?」
「じゃあなんでこんな点数をと…」
こいつは俺の言葉に上から被せてきやがった。
「まず、家帰って机に向かってウォーミングアップとして掃除して、それから見つけたものが懐かしくて、それから…」
「で、結局勉強しなかったんだな。」
「…いえす。」
「なんでそこだけ英語なんだよ。」
見ての通り、こいつは成績が悪すぎて赤点補修。一方の俺は自分で言うなって話だが、学年での成績はトップ。その為こいつに扱き使われるんだよな。
「お前ってやっぱり頭いいよな。」
「まあ、お前に比べたらな。」
「なんか言ったか?」
「なーんにも」
まあ、こいつに唯一負けてる部分がある。そうだ。こいつは彼女がいる。しかもめっちゃ可愛い子が。俺は彼女がいない。影が薄いとかそう言うのではない。毎日のように告白されるが、ただ単に俺は【恋愛に無関心】なのである。
『淡路くん付き合ってください!』
『淡路さんの全てがかっこいいです。』
て感じで毎日告白されてる。
「お前、恋愛ってなんだと思う?」
「なんだよ急に。そうだな、恋愛ってやっぱり新しい物語なんじゃね?」
「なるほど。」
恋愛に興味を持ちたいとは思うんだが、恋愛の概念とは何かという悩みにより興味が持てなくなっている。そういうことだ。
「でも、お前あの子も振ったんだろ?」
「あの子って?」
「【下館柑理】さんだよあの学校でも人気な。」
「あー、そんな子もいたな。」
「お前マジで勿体なさすぎるぞ。なんで振ったんだよ。」
「だ、か、ら、俺は恋愛なんぞに興味はないんだよ。何回も言わせんな。」
いや、それだけが理由ではない。いや、他の女とは違う。
〜〜1ヶ月前〜〜
「淡路くん、私と付き合ってください!あなたのまっすぐな姿勢に感銘を受けたの!」
下館柑理。クラスは違うが俺と同じ高校2年生になったばかり。スタイル抜群で学校でもファンが多い女子ってとこか。告白の仕方は今のところは他の女子と変わりはないか。…ん?
なんか耳元に温もりを…っては?
「淡路くんって肌綺麗だね。」
羞恥心がないのかこいつは。学校だぞ。
「お、お前なにしてる!?」
「顔真っ赤だぁ。照れてるぅ。」
「うるさい。今日の話も無理だ。じゃあな。」
ったく。こういうやつに限ってこんな変な思考があるんだよな。
ってことがあって他の女子とはちがう。思い出したくもない出来事だ。
「あ、噂すれば下館さんいるじゃん。」
タイミング悪し。気まずい他ない。
「じ、じゃあ、俺は先に帰るぞ。」
「お、おう。」
ったく、どんなタイミングで現れるんだよあいつは。
「あーわーじーくん。」
「なんだ!?」
「やっと見つけた!なんで避けるのぉ?」
「お前なぁ!急に耳元で声出すなよ。ビビるだろうが。」
急に現れる下館。どっから来やがったんだよこいつ。
「さて、淡路くん!私の告白の結果を聞こうじゃないか!」
こいつこんなキャラだったか?学校ではあんなに可愛いと思われるくらいの感じなのに。
「だから言ったろ?俺はお前を振ったんだ。それでおしまい。分かったか?」
「そ、そうなんだね…それは仕方ないよね。」
こいつ案外聞き分けいいのか?その考えをあっさりと裏切ってきやがった。
「とでもいうと思った?私の耳にはその言葉聞こえてないからね。私の中では振られてない、の!」
「お、お前なぁ…」
これ以上の言葉は思いつかない。
「勝手にしろ。だけど答えは変わらないぞ。」
「諦めてないからね。」
お前が嫌いなわけではない。それは分かってるんだ。ただ単に恋愛とは何かがわかってない。それだけなんだよ。
「ただいまー」
「おかえりお兄ちゃん。いつも元気ないよねお兄ちゃんって。」
こいつは淡路由寿。ひとつ下で俺の妹。こいつも頭がいい。俺と違うところは恋人持ちってところか。」
「なあ、相談があるんだけどいいか?」
「ん?」
「恋ってなんだろうかって思ってさ。」
「なにその抽象的な質問。急にどうしたの?」
「俺さ、彼女なんていたことないし中学の、あの時も友達なんかいなかったからさ恋愛なんて何も分からなかったんだ。高校から性格も変えて友達もできて、気づけば女子からもたくさん告白されて。俺はどうすればいいんだって思ってな。」
「そんなの人それぞれだよ。恋って単純に付き合ってデートとかキスをしたりすることを思う人もいるし、一生の人生を賭けて恋物語っていう感じに一生愛する人もいたり。自分の思うように恋愛はすればいいと思う。」
「由寿…」
「ゆっくりでもいいからさ、少しずつ歩み寄ってみようよ。」
「分かった。ありがとな。」
俺は、この時初めて恋というものとはなんなのかというあらすじが分かった気がした。しかし、まだ自分が求めている答えには辿り着いてはいない。由寿が言った通り恋が自由とかなんて考えてすらいなかったから、新しい発見にもなった。そしてこれから俺は、新たな一歩を踏み出したいと感じた。
「ところでお兄ちゃん、女の子についてちゃんと見たことはある?」
「ないな。」
「回答はや!」
そう。俺は告られた時はいつも流している。めんどくさいわけではない。なんて答えればいいのか分からないだけ。
「あのね?お兄ちゃん。女性っていうのはちゃんと見てほしいものなんだよ。逆にちゃんと見てあげないとその人の良さなんか分かるはずない。」
「そうなんだな…」
俺は勘違いしてたのかもしれない。ちゃんと見てあげれば良かった。こいつが言ってるのは正しいんだよな。
「て、ことで他の恋人の様子を観察してきて。」
やっぱり正しくなかったみたいだ。
「お前何言ってるんだ。冗談はよせって…」
「…」
こいつの目は本気だった。まっすぐな眼差しで俺を見てるから本気だ。俺は呆れて…
「それはどういうことだ?」
「そのままの意味だよ。お兄ちゃんって周りに女の子と付き合ってる人いる?」
俺は真っ先に芳原のことが思い浮かんだ。
「まあ、いるにはいるな。」
「なら良かった。明日でもいいからその人がどのように女の子と過ごしてるか観察してきて。それで、どこが気になったか教えて。」
「それ見つかったらやばいんじゃないか?」
「見つからないようにやるんだよそこは。」
ハードル高すぎるだろと感じつつも、こいつの言ってることをなんとなく理解した俺は次の日これを実行すると決めた。
「分かった。やる。」
「うん。報告楽しみにしてるよ。」
こっちは楽しくないんだわ。むしろ緊張で冷や汗出てるわ。観察は果たしてどうなるのか心配である…
2話へ続く
旭野です!約2、3年ぶりくらいの新作恋愛系でございます!恋愛ストリーミングを非公開にした理由は内容が内容だったのもあり少し手直ししようと思ったからです…
まあ、気分転換がてらこの作品を投稿しています!今までの自分の書いた恋愛系はどれも展開が早すぎて読みづらい方もいたかもしれません。その反省点も活かしつつかなり時間軸を遅くしております。話の中身はめちゃくちゃかもですが、読んでいただけると嬉しいです!
新作の『無関心だけど恋に興味がある。』をよろしくお願いします!!




