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第二十話酵母菌、参戦!

 注射弾から殺菌剤がバルティアの血液に流れ始める。

 

 殺菌剤は体内に侵入していたペスト菌、細胞等などが破壊され始め、アルマのノルトラの影響はほとんど無くなる。

 

『全てのものを選ぶことなく、差別することのない破壊の恩恵を授けてくれる完全な破壊神が俺の中で顕現した!もう俺を縛るものはない!』

 

 仰々しく長々としたセリフを言い終えたバルティスは、一秒でも早く全力で息を吸い込み、すぐに吐こうとする。


(なんで、私のペストが完全に決まったのに生きているんだ?いや、さっきバルティアに飛んできたあれが原因だ。しかし、なにか針のようなもので体内に抗菌剤でもいれたのだろうか?)


 アルマは必死にモノクルを覗く。


 (………………あれは間違いなく抗菌剤を注射している。だが、あの弾丸に内包できる程度の抗菌剤を体に入れても、効果が出るまでは 5~10分程度の時間がかかるはずだ。あれはただの抗生剤じゃない。おそらくなにか、殺菌作用のある金属の粉末を混ぜているだろう)


 そんなことは、もともと注射して使うものではない抗菌剤を、アルマのノルトラを解除するためだけに、細胞を殺して重大なリスクを被るとしてもこなった人物であれば、何一つとして不思議ではない。


(私の父を殺した時点でわかってはいたが、頭がおかしい!でも、今は恐怖で震えている場合ではない。今私にできる限りのことをするんだ!相手が抗菌剤と金属で無駄な足掻きをするなら私も足掻こう!)


 アルマは能力を使ってピンポイントにバルティスの体内へ、ペスト菌を送り込む。


(バルティスは抗菌剤と金属で殺菌するという自殺行為をおこなっている。だからこのままペスト菌を送り込めれば…………)


 そんなことを考えているアルマとは対照的に分裂体がくさるほどいるミラは、放っておけば自滅しそうなバルティスより、注射弾を撃ち込んだ人物を警戒し、どこにいるのか探っている。


 しかし、それに気を取られてしまってワンテンポ遅れてはしまったが、嚔を止めようとする。

 

『ふん、中二病が。黙ってもらえるかしら?』


 それを分裂体が四方八方から攻め立てて、阻止ししようとする。


 だが、阻止できたのは広範囲にわたっての(くしゃみ)の拡散だけで、肝心のエンテロウイルスは完全には阻止できずに、放出させてしまった。

 

 (まずい!伏せなくては!)


 急いで中枢神経系に司令を飛ばして、回避しようとするが。




 


 体を動かそうとしたときにはもう遅かった。


 エンテロウイルスの侵入を許してしまったのだ。


 エンテロウイルスは体にどんどん注がれるように溜まっていき、アルマの意識を混濁させ、己を覆っていた強固な(探偵の仮面)を剥がさせる。


 そうして、脳にある理性を司る器官である前頭葉前半部の動きが鈍くなって、アルマの本性があらわになる。


(あら〜、ペスト探偵ちゃんはもう無理そうね。よく頑張ってくれたし取り敢えず、ジェームより多めに分裂体で覆っておきましょう)

 

 今バルティスに相対しているミラは全てが分裂体で本物はいない。


 本体はパリ市内で、起こっている騒動を報道しようとしているマスコミの中に、紛れたバルティスの側近か、何かであるウズなる人物を特定せんと動いていた。


 (さて、納豆菌くんはどこにいることやら、正直なところ放っておいても自滅しそうではあるけど、全くの放置だと何かやらかしそうな気がするから、適当にぶつけておきたいのだけど。)


 ミラが走っていると一人の特徴的なもふもふの耳を持ったJK、賢花に遭遇した。


「あら、あの納豆菌の護衛対象じゃない。あなたがいるということは、近くに糸縁がいるのね?」


「いや、多分別のところにいると思います」


「それなら、連絡はできるわよね、それだったらこの地図に示したところに、今回の件の親玉がいて私の分裂体とペスト探偵ちゃんが戦っているから糸縁を、向かわせてもらえる?」


 そう言って、途中で拾った観光用のパリ全体の地図に、印をつけたものを渡してミラは、「私は面倒なやつを対処するので精一杯だから、そういうことで!」と言い、去った。


 残された賢花は逃げ遅れていない人がいないか確認し、いないことが分かるとスマホを取り出して糸縁に電話をかける。


 少しの間だけコール音が賢花の耳元で鳴ったが、すぐに収まり糸縁が出る。


『なんだ、賢花。厄介な敵が現れたか?必要なら今すぐにでも飛んでいくが』


『ううん、ありがとう。でも電話した要件はそうじゃなくて、ミラさんから、犯罪組織バルクの長の位置がわかったらしくって、伝言を頼まれたんだけど、場所は今から送る地図に書いているから。後、アルマが先に行って戦っているらしい。もう避難ができていない人もいなそうだから、私も向かうよ。』

 

『了解。それじゃ、俺も本気をだすか。犯罪組織バルクの長とやらに納豆の素晴らしさをスタディさせてラーニングもさせてやる!』


『分かった、じゃ、示した場所で会おうね』


『ああ』


 糸縁の返事を聞いた後に電話を切る。


 賢花は少し準備運動をしてから飛び出すように、犯罪組織バルクの長がいる場所に向かった。

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