まえ 男 と 幼女
YESロリータ!NOタッチ!
そんな心を持つ……ここに幼女を愛しすぎた男がいた。
しかし男には許せない存在がいた、そう、ルールを破る…つまりは幼女へタッチする輩共だ。
ならばなってみせよう、そういった輩から幼女を守る存在へと!
数年後、男は立派なお巡りさんになった。
住民との関係も良好、子供好きでいついかなるときも子供のために走り回る…そんなまっすぐな男として認められていた。
しかしある時事件は起こる、不審者が幼女に襲い掛かったのだ…
最近、変な男がいるのよ…。
そういった噂話ならぬパトロール要望を受け持ちの交番近くの公園にいるママ達から言われていた。
男は夕方の時間帯…幼女をはじめ子供達が遊ぶ公園を必死にパトロールした。
その日ももうすぐカラスが鳴く時間…今日も無事安全を守れたと男が思っていると、最後の巡回予定だった公園に不審な男がいた。
全身黒ずくめ…マスクをして…しきりに服の上から腹をさすっている。
その眼前には一人で遊んでいる幼女がいた。
男は何も幼女だけを守ってきたのではない、幼女を守る…それはその存在だけではない、幼女が快適に過ごせるように、少しでも平和な町を、そう思って必死に駆け回った。
パトロールを必死にして、何人も悪人を捕まえた、ママさん達やジジババ共とも仲良くなり、○○交番に*****あり!と言われるくらい…異動させないで!と警察本部に嘆願書が届くくらい素晴らしい活躍をしていたのだ。
男は、不審者を見た瞬間、駆け出した。
それは警察官としての勘か、それとも幼女を見守る漢としての勘か…それとも…
なにはともあれ、男のいち早い発見のおかげもあって、包丁を突き刺そうとしていた不審者から幼女を守ることには成功した。
しかし自身は致命傷を負う…包丁が、背中から肋骨をすり抜けて心臓へと突き刺さる。
警察官がつけている防弾チョッキは…前からは防げても後ろは無防備だったのだ。
しかし今はそんなことはどうでもいい。
逃げろ!逃げるんだ!!家に帰るんだ!!!!
男は幼女に向かって叫んだ。
間に合った…良かった、男はただそれだけを思った。
自身の命などどうでもいい、もとよりこの命、この職業についた時から誰かを守るためのものと決めたのだ…それを愛する幼女のために散らせれるのだ…本望である。
自分はすぐに死ぬだろう…1分か…いや心臓までいっている30秒ももてばいいほうか…
しかしそれでいいのだ、その30秒で幼女は自宅まで逃げ切るだろう。
男は知っていた、この幼女は公園のすぐ横が家だ、この時間はお母さんが夕飯をつくっているだろう。
よく交番にも遊びに来る親子だ、忘れるわけがない。
不審者を抑えていた男は、ぷつりと動かなくなり、不審者に力任せに吹き飛ばされる。
チッ!という舌打ちとともに、不審者は男の背中にささっていた包丁を抜き取る。
最後まで…不審者から目を離すわけにはいかない、男は必死に顔を向けた……。
そこには、逃げたと思っていた幼女が泣きじゃくって座り込んでいた。
いつも優しかったお巡りさん、幼女はお巡りさんが大好きだった。
朝通学するときにいつも立って挨拶してくれる。
公園で遊んでいても、自転車でパトロールしてくれてる。
買い物の帰りに交番によったときも、優しく話してくれた。
お父さんとは違う…暖かくて優しい人…その人が今、幼い知能でもわかるくらい…死にそうになっているという悲しい現実。
そして不審者が自分を殺そうとしているという恐怖……男が必死に不審者を止めている間も…動くことができなかった幼女を、誰が責められようか。
不審者は、高笑いをして、ゆっくりと幼女に近づく。
そんな光景をボォっと見つめる男…薄れ行く意識の中、男は自問自答する。
装備品についているエマージェンシーボタンは既に押した、間もなく応援の警察官がくるだろう…しかしそれはすぐではない。
いくら日本の警察が優秀だとは言え、数分はかかるだろう。
たとえ40秒で支度してきたとしても遅いのだ、今……今まさに幼女は襲われているのだから!
それなのに自分は何をしているのだ。
男の意識が急速に、しかしゆっくりと引き伸ばされる。
男は自分に問いかける。
心臓を突かれた?だからどうした。
動けない?本当にか?
一体いつどこで誰が人は心臓が止まったら、身体は動かないと決めたのだ。
医者?常識?だからどうした。
俺が俺である限り、俺のことを決めるのは……………俺だ!!!!!!
男の意識は一気に覚醒し、立ち上がった。
今このとき、男の魂は肉体を凌駕したのだ。
そこからのことを男はほとんど覚えていなかった。
気づけば不審者が振り下ろそうとした腕を掴み、制圧していた。
応援の警察官がくるまで、必死に制圧した。
その間も男から流れる血は止まることを知らなかったが、男は制圧し続けた。
応援の警察官が駆け寄って不審者を確保した瞬間、男は糸が切れたかのように倒れた。
生きているのが不思議なくらいの出血である。
いや、なぜ生きているのか?むしろ本当に生きていたのか…その答えは誰にもわからない。
しかし、男は幼女を守ったのだ、その事実だけは、変わりないのない、たった一つの真実だった。
幼女はなぜそうしたのかわからない、ただ、無意識に男に膝枕をしていた。
お巡りさん!お巡りさん!と泣く幼女から涙がポタポタと男の頬に落ちる。
動かないはずの男の右腕があがる。
横で男の同僚が、上司が騒いでいるようだが、男には聞こえていない…いやもう生物としての聴覚は既になくなっている。
震える腕を幼女の頭を撫でる。
幼女はハッとして、笑顔になる。
ああ、いけない…幼女に触れるなんて…。
けれど…けれど…最後くらいは、いいじゃないか。
俺はこの笑顔を守ったのだから。
男の意識は、今度こそそこで途切れた。




