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デスティニーランド失踪事件  作者: さわみずのあん


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3/5

かい 前編

 井手君と飯田君は、永田さんと美作さんと椎名さんと、イーストシー港で合流しました。

「ごめん、本当にごめん、悪かった」

 井手君は頭を下げて謝りました。飯田君にそう、言われたからです。

 誠意はないけれど、誠意は見せられたようで、永田さんと美作さんと椎名さんは、井手君を許してあげました。

 イーストシー港からは、西にあるウィードサンダーマウンテンまでフェリーが出ています。パークの東から西へ、パークを大きく迂回して、ゆっくりと船は進んでいきます。

 永田さんは、

「風が気持ちー」

 美作さんは、

「なんだか眠くなっちゃう」

 椎名さんは、

「こんなところでゆっくりしてていいの? ウィードサンダーマウンテンに乗るんじゃなかったの?」

 井手君が何か言おうとすると、飯田君が脇腹を、ちょん、とつつきました。

「余計なことは、言わないように、よくよく、よく考えてから発言すること」

 電話で謝った後の井手君に、飯田君はそう言いました。ちょん、とつつかれた井手君は、そのことを思い出して。よくよく、よく考えてから言いました。

「急がば回れって、言うだろ。これが、ファストパスなんだよ。パークの西側にあるウィードサンダーマウンテンに直接行かずに、東側のイーストシーフェリーを経由する。降りた港で、このパスを見せれば、ウィードサンダーマウンテンに並ぶのが短く済む、ファストパス・エントランスから入場できるんだ」

「へー知らなかった、飯田君は知ってたの?」

 と椎名さんは飯田君に尋ねます。

 飯田君は、

「いや、知らなかった」

 井手君が、

「いや、みんなに悪いことしたなと思ってさ、お詫びに、みんなが楽しめる何かがないかなって、調べたんだ」

「やるじゃん、井手」

 と永田さんが言いました。その肩に寄りかかって美作さんが眠っています。

「みーちゃん寝ちゃってる」

 と椎名さんが起こそうか迷ってます。

 井手君は、

「起こさなていいよ。これ二十分くらい動いてるから。二十分立って並ばずにすんでんだから。今は座って休む時なんだよ。ちょっと考え、」

 飯田君は井手君を、ちょん、とつつきます。

 井手君は、

「休める時に休んどこう」

 それだけ言いました。

 疲れていたのか、飯田君と永田さんと美作さんと椎名さんは、眠ってしまいました。

 一人、実は一番、デスティニーランドを楽しみにしていた井手君は、興奮で眠れずに、余計なことを考えていました。


 イーストシーフェリーを降り、ウィードサンダーマウンテンのファストパス・エントランスから入場しました。

 ファストパス・エントランスから入場した、他の人たちはどんどんと進んでいきます。

 永田さんは、

「これってさ、最後に並んだら、後ろの人、二十分来ないってこと」

「多分」

 と飯田君は、井手君に目をくばせます。

 井手君は何も言いません。

「じゃあ、列を行ったり来たり、好き放題できるってことじゃん」

 永田さんが言うと、美作さんも気づきました。

「通りすぎちゃって、今のもう一度見たい、っていう仕掛けも何度も見れるってこと?」

 椎名さんも、

「なるほど、すごっ」

 三人は誰も並んでいない、待機列の中を行ったり来たり。

 途中、通るたびに、動物の声がして、ガサゴソする薮の前を行ったり来たり。

「隊長、象です」

「隊長、ライオンです」

「隊長、何だろう、このなき声?」

 永田さんと美作さんと椎名さんがはしゃいでいるのを、「人感センサーに反応して、藪の中のスピーカーとモーターが動いているんだな」と井手君は言うかな、と飯田君は思いましたが、井手君は何も言いません。

 ただ、じっと、井手君は飯田君を見つめます。

「なあ、余計なことかもしれないんだけど。飯田、お前、捨てられたんじゃ、ないんじゃないかな」



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