人間を見下していた天才エルフが、こんなにチョロいはずがない(1900字)
あの……、怪我の方は、もう大丈夫ですか?
なんでそんなに驚いてるんですか?
私がお見舞いに来たことが、そんなに意外でしたか?
そんなに礼儀知らずだと思われてたのは、ちょっとショックなんですけど。
自分のピンチを助けてもらったんですから、お見舞いにぐらい来ますよ。
いえ、あなたに助けてもらわなければ、私の身は危なかったと思います。
たしかに私は魔法の天才ですが、あの時のモンスターの乱入は急でしたから。
あそこまで近くに迫られると魔法で迎え撃ったとしても、爆風で自分が怪我してた可能性が高いと思いますし。
だから、あなたが私のことを守ってくれた事には、本当に感謝しています。
ありがとうございました。
あの、……1つ聞いてもいいですか?
なんであの時、私のことを助けてくれたんですか?
だって、私はヒト族のことを、野蛮な種族と言って見下していたでしょう?
いくら魔族と対抗するためと言っても、私はエルフとヒト族が同盟をする必要はないと思っていました。
同盟で、エルフ側にメリットがあるとは思えませんでしたので。
ヒト族に足を引っ張られるぐらいなら、同盟はしない方が良いと思っていました。
だから、話し合いの場でも、私はヒト族のことを、いっぱい悪く言いました。
なので、私はあなたに嫌われていても、おかしくなかった。
それなのに、なんであなたは私を助けたんですか?
気付いてたら……体が動いていた?
そ、そんなの理由になってません!
訳が分かりません!
今回はたまたま怪我で済みましたけど、
モンスターの攻撃で死ぬ可能性だってあったんですよ。
リスクとリターンが、釣り合っていません。
……ほんと、ヒト族の考えてることは分かりません。
ただ、このままでは助けてもらっただけで、
何もお返しできてなくて申し訳ないです。
だから、何か私にして欲しい事とか、ありませんか?
へ、変なお願いじゃなかったら、何でも聞いてあげますよ。
ああ、同盟のだったら、心配しなくても大丈夫ですよ。
ヒト族とエルフ族との同盟は、そちらの提案通りの内容で合意します。
だから、他に私にお願いしたいことがあれば、言って下さい。
……エルフの女の子を紹介して欲しい?
それは……この私に、他の女の子を紹介しろということでしょうか?
へ、へえ……。
それはつまり、この私は対象外ということでしょうか?
私は、あなたの好みのタイプではないと?
違う? 何が違うんですか!
私は、全部分かっていますよ!
どーせ、チチのデカい女が良いのでしょう!
やっぱり、ヒト族の男は野蛮なのです!
たしかに私の胸は小さいですがね、
エルフ族ではこのような慎ましやかさこそが尊ばれるのですよ!!
まあ、エルフ族の中でも、最近は胸の大きい方がいいと、
悪しき文化が流行り始めていますがね!!
でもですね! エルフの伝統からいうと、
スレンダーなエルフこそが美しいエルフなんです!!
だから、私のこのスレンダーな体形は、
何も恥ずかしくないんです! 美しいんです!
……え?
エルフの女の子を紹介して欲しいというのは、
パーティーメンバーとして紹介して欲しいということ?
こ、こほん。
そうですか。
それは勘違いをしてしまい、申し訳ございませんでした。
ですが、それなら、他のエルフを紹介させるのではなく、
なんで私に頼もうとしないのですか。
たしかに私はエルフの国において、重要な役職を任されていますが、
魔族の討伐のためなら、一時的に国を空けるのも仕方ありません。
なので、あなたのパーティーに入るのは、
天才魔術師である、この私で問題ありませんよね?
遠慮なんてしなくて大丈夫です。
私が仲間になって嬉しいですよね?
ふふ、よろしい。
もちろん、嬉しくて当たり前ですよね。
ちなみに、あなた、今、お付き合いしている女性はいるんですか?
そーですか、そーですか♪
今はいないんですね。
いえいえ、何でもありません。
こちらの話です。お気になさらないで下さい。
では、これから私とあなたは旅の仲間となる訳ですが。
言っておきますが、あくまで旅の仲間ですので、
この私に何かやましい想いを抱いて、野蛮な行為をしてはいけませんよ。
一応言っておきますが、これはフリではありませんからね?
分かりましたか?
……すごくいい返事ですね。
いえ、別に、がっかりなんてしてませんよ。
それでは、これから、どうぞよろしくお願いいたします。




