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オンナ好きな王子様系女子に、好きな女の子をNTRされたので復讐する(3300字)

おや? なんだ、キミかぁ♪

ひょっとしてボクに文句でもあるのかい?


どうせ、あの女の子のことだろ?

たしかにキミが彼女にアプローチをかけていたのは知っていたよ。


でも、こういうのは早い者勝ちだろ?

キミもあの子もきっと両思いだったのに、もったいなかったね。


あの子の唇の柔らかさを、キミが味わうチャンスはなくなったわけだ。残念だねえ。


今さら、何をしたって遅すぎるよ。

あの子はもうすっかりボクのものさ。女同士の良さを、ボクが教えてあげちゃったから。


もうキミみたいな普通の男の子じゃ満足できなくなってるだろうね。


普通の男の子なんかじゃない?

へぇ。自分で言うとは、大した自信じゃないか。


それで?キミのどこが特別だって言うんだい?空でも飛べるのかい?前世は実は王様だったとか?


人の心が読める?

へぇ、そいつは驚きだ。

本物だったら、大した能力だな。


で、その大した能力で、キミは何ができたのかな?

心が読めるって言うなら、あの子のことだって、簡単に落とすことができたんじゃないのかい?


まさか、好きな女の子に、能力を使うのは気が引けたなんて言わないよねえ。それとも、超能力に頼らないで、自分の力で仲良くなりたかったとか言っちゃうのかな?


まぁ、どっちにしても、能力を使わなかった理由なんて、いちいち説明してくれなくてもいいよ。


そんなつまらない理由を説明されたところで、ふーん、って感じなんだけど。ようは、本当は特別な力なんてないのに、理由があって使えないって言いたいだけなんだろ?


MPが足りなくて魔法が使えませんって言うのと同じくらい寒いよ、それ。


本当に心が読めるって言うなら、今、ボクの心を読んでみろよ。


どうだい?

ボクが頭の中で何を考えてるか、分かるかな? 分かるっていうなら、ボクの隠し事の1つでも暴いてごらん。



……ボクの正体を知ってる?

へぇ、面白いこと、言い出すじゃないかい。なんだい、実はボクの正体は悪魔とか堕天使とか、素っ頓狂なことは言い出さないでくれよ。


……ボクが敵国のスパイ?


ハハ、…ハハハハハハ。

こいつは傑作だよ。

まさか、嘘つきなだけじゃなくて、ジョークのセンスも皆無だなんてね。


どうして、そんな発想になるのかな。ボクが敵国のスパイで、キミが好きだったあの子に近づいたのも、情報収集のため?


なるほど。なるほど。

自分の失恋にそう言うドラマチックな理由を付けたいわけだ。

キミも哀れな男だね。


まぁ、いいさ。


さて、と。

……当てずっぽうか、誰かの入れ知恵か知らないけど、……本当に正体を当てられるなんてね。


キミには消えてもらおうか。

悪く思わないでくれよ。


……おい。

身体が動かないんだが。

まさか、これもキミの能力かい?


ひどいな。キミの能力は、心が読めることじゃなかったのかい?


スパイである、このボクをあざむくだなんて、キミもなかなかやるようだ。


さて、それで何がお望みかな?

そんな特別な能力を、持っているということは、キミはこの国のエージェントなのかな?


ボクから情報でも引き出すつもりかい?ボクだって、これでもプロだ。拷問されたって情報は吐かない。と言いたいところだか、キミの能力の前には無駄なのかな?


別に抵抗なんかしないから、好きなようにしたまえよ。みっともない真似はしないから、煮るなり焼くなり、ご自由にどうぞ。



はぁ? なんだって?

あの子のことを幸せにして欲しい?

それって、キミが好きなあの子のことかい?


なんてこった。これだけ強烈な能力を持っていて、中身がこんな甘ちゃんだなんて。


そんなの、嫌に決まってるだろ?

ボクがこのスパイの仕事を好きでやってるのは、色んな女の子と無責任に遊べるからなんだよ。


しかも、女の子の心を弄んでるっていうのに、国からは感謝されてお金まで貰えるっていう、ボクにとって最高の仕事なんだ。


相手の子を責任もって幸せにするなんて。そんな面倒くさいことは、死んでもごめんだね。


ほら、殺すなら、さっさと殺せよ。

でも、できないだろうね。


キミはとんだ甘ちゃんだからさ。

すごい能力を持っていても、その持ち主がこれじゃあ、もったいない。


キミはきっと今まで、幸せに生きてきたんだろうね。ボクの国、ボクの生まれた町とは、育ってきた環境が違うんだ。


キミは今まで見たことがあるかい?町の中に行き倒れの死体が転がっているところを。その死体から服や髪を剥ぐ人達を。


食べ物を買う金のために、そうでもしないと生きていけない世界があるなんて、キミは今まで知らなかったよな?


あと、キミは善人と悪人は、きっぱり分かれているとでも思っていただろ? でも、それは違うぜ。


人間なぁ、追い込まれれば、何だってできるんだ。悪事を働くというハードルなんて、キミの考えている以上に簡単に乗り越えられるんだよ。


キミが本当にその子を好きなら、なりふり構わずに、能力を使えば良かったんだ。


あの子のことが大切だったなら、能力を悪用してでも、彼女を自分のものにしちゃえば良かったんだ。


そうしなかったから、ボクみたいなクズに好きな女の子を奪われちゃったわけだ。哀れだねえ。


そして、ボクにここまで言われても、キミはボクに危害を与えることができない。さあ、引き金を引けないボウヤに話すことはもうないよ。


早くボクを解放してくれよ。

ん……頭に手をおいて、何をするつもりだい?


ボクを洗脳でもするつもりかい?

なぜだい?

なぜそんなことする?


ボクが自分の国に帰った後にでも、失恋した彼女を慰めてやればいいじゃないか。そんなに時間のかかる話じゃない。


こうして正体もバレた訳だし、キミがボクを殺さないっていうなら、すぐにでもボクは自分の国に逃げ帰るとも。


なぜ、ボクに彼女を幸せにさせることにこだわる? 彼女が失恋して悲しむ姿を見るのがつらいのかい?


おかしな話だ。キミの能力なら、ボクが彼女を愛していないことなんて、すぐに分かるだろう?


もしキミが能力でボクに言うことを聞かせて、彼女を幸せにしても、それはキミのエゴだよ。


そこに正義はない。偽善でもない。キミは自分を正義だと思っている、ただの邪悪な怪物だ。


自分が正しいと思うなら、何か言い返したら、どうだい?


おい、キミ、聞いているのかい?


え?

『それなら、邪悪な怪物になってやる』だって?


ま、待て。

何を考えてるのか知らないが、その目はやばい。絶対よくないことを考えてる目だ。


おい!待ってって言ってるだろ!


…………ん?

な、何をしてるんだよ……?


頭をなでるなんて、一体何のつもり……いや……な、なんだよ、これは……?


頭をなでられてるだけなのに、どうしてこんなに幸せな気持ちに?


おい、キミ、何をしてるんだ?

キミのこの能力は何なんだ?


や、やめて。

頭を撫でるのをやめてくれ!


ああ、やだ。いやだ。

幸せにしないでくれ。


最悪だ。

最悪に幸せな気持ちだ。

頭をなでられるたびに、幸せな気持ちがあふれてくる。


脳の中に、砂糖でもぶちまけられてるみたいだ。幸福感で頭がおかしくなる。


しかも、キミのことが、まるでとても大切な人のように思えてくる。


感情を好きなように、いじくり回されてるのに、ドキドキしてる……♡


やめてくれ。こんなことされたら、ボクがボクでなくなってしまう。


キミのことを愛しいと思う気持ちで、頭がいっぱいになってしまう。


頼む。頼むから、殺してくれ。

ボクがボクでなくなる前に、死なせてくれ。


あ……ああ……。


なんで……。


なんで……なでなで……やめちゃうんですか♡


ご主人様♡


やめないでくださいよ。

もっとボクの頭、なでて下さい♡


さっきまでのボクは間違ってました。やめて欲しいなんて、これっぽっちも思ってません。


だから、また、なでなでして下さい♡

お願いですよぅ、ご主人様ぁ♡


え?ご主人様のお願いを聞いたら、また、なでなでしてもらえるんですか?


やったー♡何でも言ってくださいね、ご主人様♡

大好きなご主人様のためなら、どんなお願いでも聞いちゃいますからね♡

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