<プロローグ>世界が歴史が大地が怒り振動している
時は西暦2100年、人類は反映の極みに達していた。かつての栄華を誇った欧州、日本などの国々は没落し時代の覇権はとある国々が握ろうとしていた。その一つが中華連邦である。中華連邦は第二次世界大戦後約150年以上の歳月をかけてその国土から溢れんばかりに繁栄の粋を極めていた。彼らは大昔の世界の中心だった姿を取り戻した。資本の力を使って他国の経済に深く融合し、諜報機関である人民義勇軍を各国に大量に潜り込ませ世界のあらゆる国を内側から外側から切り崩していった。世界の半数の国は国としての形を保っているもののその実態は中華連邦の傀儡国家である。連邦の竜の牙は北はモンゴル高原、東は朝鮮半島、南はインドネシアを含むスンダ列島、西は中東まで及んでいた。
科学技術の発展は人類の生活レベルを向上させたが、その反面人間の精神を退行させた。人々は目の前の快楽を追い求め、努力を忘れ、他人を社会的ステータスや外見のみで判断するようになった。
2090年副作用の一切無い快楽薬「楽園」が公式に発売され人々はこぞってそれを買い求め、政府が2097年に慌てて禁止令を出すときには日本人労働者の過半数が「楽園」中毒者になっていた。楽園は当初科学的な副作用が無いとされていたが、5,6年服用すると体内で変質し、強力な中毒性をもたらすことが判明した。しかし時はすでに遅い。日本人の労働人口の約半数が中毒者になり、経済は停滞し、社会保障制度は崩壊した。政府は労働人口の確保、経済再生のために移民の受け入れ、日本国籍取得条件の大幅緩和を行った。多くの外国人が日本に定住し日本はその固有の形を急速に失いつつあった。日本はついに中国語、英語も公用語化し多国籍国家としての形をなした。かつて世界で一番英語が苦手と言われた日本人が今では当たり前のように英語を話している。しかし当然のことながら移民の中には人民義勇軍の諜報員が数多く紛れ込んでいた。マスメディアは完全に中華連邦の諜報機関になり、政府も色濃く影響を受けていた。そして日本は経済再生のためにどこかの国に頼るしかなかった。志ある人たちが盛んに反対したが、結局政府は中華連邦から大規模融資を受け入れることを決めた。この時点で日本は自由主義の国から外れた。
この話は日本を中華連邦から取り戻すため世界を飛び回った一人の日本人の話である。
いま世界が歴史が大地が、そして一人の青年の魂が怒り振動している




