5人組
----8年前----
「あちぃ......」
真夏の太陽が照りつけるアスファルトの上と言うのは、まさに地獄と言うに相応しいだろう。
炎天下の中、2人の女子と3人の男子が歩いていた。
「なぁー。まだなのかよー、真一」
「俺に聞くなよ。澪に聞け」
「あたしもわかんないー!ねぇ、唯夏ー」
「もーそろそろなんじゃないの?ねぇ、拓斗?」
「だろーなー。つーか。ウダウダすんのやめろ。特に雅!」
「なんで俺?」
ぐだぐだともの申している者もいれば、冷静な判断をしている者もいる。
唐突だが、彼ら5人は歌い手である。
高校に入った直後から全員が初め、まさかの全員が同じ高校出身。
この春に高校を卒業した5人は、本格的に歌い手として活動することとなっていた。
そんな5人は、ある場所へと向かっている最中だ。
もしも、この5人の中の誰かが売れっ子になった場合、CDなどのプロデュースをしてもらう人が必要になってくるのは当たり前。
そのもしも、のための契約をしに、彼らは契約者の家へ向かっていた。
自分が出世した時のことを考えると、期待に胸が踊る。
「そーいえば、聞いた話。私たちと契約してくれる人ってかなり若いらしいわよ?」
「まじ!?同世代とかだったらうけるー!」
「これ以上年相応はかんべんしてほしいわ」
5人は、契約してくれる人の名も顔も性別も知らない。すべて行ってからのお楽しみとなっている。
「ワクワクするぜ」
「だねー!」
炎天下であろうと、テンションはグングンあがってくる。唯夏は、手元にある地図に目を落としていた。
「.........あ」
が、突如、声をあげて止まった。
「としたの?唯夏」
「..........ここなんだけど」
『え?』
5人は、ふと唯夏が仰ぎ見た自分達の右側にある家を見る。
『......でけぇ......』
同じ感想が出てきた。
5人の目の前にある家は、この辺り一帯にあるどの家よりも、大きかった。家の前には綺麗なちんまりとした門があり、その隣の壁に『漆崎』と書かれた表札があった。
「俺たちと契約する人って...」
「この人なのかしら...」
「でも地図はここなんでしょー?だったら...ここなんじゃない?」
「確かめてみるか?」
真一の言葉に、残った4人はうなずいた。
真一を先頭にして、小さな門を押し開ける。
少し歩いてすぐに、玄関にたどり着く。
真一が一呼吸おいて、その呼び鈴を押す。
5人がドキドキしながら待っていると、中から軽快な足音が近づいてくる。そして----。
「やぁ、いらっしゃい」
中から、優しげな顔が覗いた。
「君たちかい?今度うちと契約する歌い手たちって」
「あ、はい!そーです!!」
「待っていたよ!さぁ、中へおいで」
話が完璧に通じていることで、5人に安心感が生まれる。5人は促されるままに、家のドアをくくった。




