プロローグ~俺と麗奈~
朝霧雅。それが俺の名前。
そして俺には、6歳年下の妻がいる。
彼女は朝霧麗奈。旧名、漆崎麗奈。
俺たちは半年前に結婚したばかりで、まだまだ新婚。
そして俺たちは、同じ職を持っていた。
歌い手。
それが仕事。名曲、あまり売れてない曲などなど、幅広く歌をカバーする職務。まぁ、だいたい趣味の範疇に入ってしまうのだが、俺の場合は立派にCDも出している。そして妻の麗奈も歌い手だが、麗奈は歌うことよりも、他の歌い手のCDをプロデュースすることをメインに仕事をしている。もちろん、俺のもすべて麗奈がやってくれる。
まだ結婚したばかりということだし、俺たちの夫婦中はどこからみてもなかむつまじいもの。
近所でも有名なほどのおしどり夫婦だった。
だからこそ、よく言われる。
--きっと素敵なであいから、始まった恋なのね。健全に、幸せなお付き合いをしてきたのね
と。
だが、勘違いしてはならないのだ。
俺と麗奈の出会いは確かに突飛なことから始まった。
そして、麗奈と育んできた恋そのものが、決して悪いのもだったなんて言わない。
だが、俺たちは、数々の困難を乗り越えて夫婦になった。
普通の人が想像することができないくらい----。
俺の妻、麗奈は苦しみを抱えて生きてきた。
心がズタボロになって、絶対に立ち上がることのときない状況で、麗奈は這いつくばってでも前に進み続けた。
それが故に、俺が麗奈に惚れた理由なのだろうと、改めて思う。
麗奈は強い。だが同時に、たった一人で過酷な運命をたどってきた。
そして、俺は、麗奈を支えてきた。
麗奈の苦しみを一緒に分かち合ってきた。
それが故に、互いの心を引き寄せた。
俺と麗奈の共に歩んできた道は、決して楽しいことだけではなかった。
ことの発端は、麗奈。
あの日起こった大事故が、麗奈と俺の関係を大きく変えた--------。
そう。すべてはあの日。
俺と麗奈が出会った日から、始まっていたのだ。




