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飴玉

「まぁ…現状説明って言っても、私達もほとんど分からないことだらけなのよね〜…水道電気は全滅、ネット回線も電話も繋がらない。私達がここに来てから2日経ったけど救助のヘリもまだ見当たらないわ」

「…かなり状況は最悪ですね。やはりこれは大地震…なんですかね?津波が来なかっただけまだマシなのかな…」

「分からないわ。ただ一つ言えることは…まだ油断出来ないってこと。地震だとしたら、まだ余震が来るかもしれないしね…あ、そうだ、これ渡すの忘れてたわ」


 そう言って玖実はダンボールからひとつ小袋を取り出した。


「これは…乾パンと水!」

「避難所に指定されてるだけあって、結構な量の備蓄があったのよ〜!澪ちゃん疲れてるでしょ?一息ついた方がいいわ!」

「わー!乾パンとか食べるの久々〜!ウチにも頂戴!」


 1食分の非常食をユメと分け合って食べる。

 目覚めてからずっと空腹だった為、人生で一番を争うほどに美味しく感じた。


「ん〜、微妙じゃないこれ?ウチらこれから毎食これ食べるの?ジャムとか付けたいよ〜」

「…ユメは楽観しすぎ、食事にありつけただけ奇跡みたいなもんなんだから文句言わずに感謝しなよ」

「う、ウチだって感謝してるもん!…あ、そうだ!いい事思いついた!」


 そう言うとユメは立ち上がり、水の入ったペットボトルを口元に当てマイクのように持ち言った。


「初ライブをしよう!ここなら観客もいるし、公民館だから一応壇上(ステージ)もあるし!」

「で、でもいきなり迷惑じゃ…」

「玖実さん!今から三時間後、ゲリラライブを開催してもいい?」

「そうねぇ…いいわよ!…1つ条件を呑んでくれるのなら、だけど」


 先程のダンボールから銀色の包みの飴と、赤色の包みの飴を数個取り出した。


「そのライブまでに、避難所にいる人達を皆ファンにしなさい!この銀色の飴は貴方のファンである証、そして赤色はファンではないという証よ。ステージに立つ時、全員が銀色の飴を持っていなければ申し訳ないけれど諦めてもらうわ」

「玖実姉?!な、なんでこんな奴をみんなの前に立たせるの?!こんな時に…みんな楽しむ余裕なんてないのに…!」

「だからこそ、よ。確かに嫌いな人にとってはものすごく嫌なものに感じるかもしれない。けれどこんな状況だからこそ、娯楽は…幻想は必要でしょう?」

「だ、だからって…」


 澪は銀色の飴を取り、宣言した。


「あたし達は…みんなを虜にして、必ずステージに立ってみせます!」

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