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避難所

「アイドルって…何するの?」


 瓦礫の山の上を歩きながら、澪はユメに問いかけた。


「んー、普段はレッスンして〜、たまにステージに立って〜…週一ぐらいで握手会する!」

「すっごいざっくり…あんま予定立ててないんだ」

「む〜、別にいいじゃん!そんな目で見ないでよ〜!」


 澪は学校があったはずの足元を見ながら、少し考える。


「……ねぇ、あたしたち以外の人って、居ないのかな?」

「いるよ。近くならあっちの方に数人」

「…え?」


 ユメは南西の方角を指さした。よく見てみると、今立っている場所よりも被害が比較的少なく、特に公民館は確かに避難所として機能しそうな程形を保っていた。


「人の居る場所分かるの?!早く言ってよ!」

「あはは、ファン見つけれたって思うとついテンション上がっちゃって〜!でも、ウチの力じゃそれ以上は探知できないんだよね〜」

「早く行こっ、何かこんなになった手がかりとかあるかもしれないし!」


 ユメの手をひき瓦礫の上を飛びながら公民館へ向かう。


ーーー


 公民館に着き、ドアから入ろうと思ったが流石に傾いているのかびくりともしなかった。


「開かない…違う所から入ったのかな?」

「……君……生存者…だよね?!」


 ドアの前で悩んでいると、反対側から声が聞こえた。振り向くと、両手に空のペットボトルを抱えた女性が立っていた。

 澪の顔を見るなりペットボトルをその場に落とし、顔を掴んできた。


「あぁ、幻覚じゃない…ちゃんと人だ…!私は玖実!よろしくね!君の名前は?!」

「ちょっと…その子困惑してるじゃん。生存者見つけて嬉しいのはわかるけど、距離近すぎるよ」


 後ろの公民館の割れた窓から少年が顔を出した。


「あ、あら、ごめんなさい…ついうっかり。疲れてるでしょう?とりあえず中に入りましょうか」

「は、はい。……よろしくお願いします…?」

「……とりあえず、ウチらのファンが増えるチャンスが来たね!」


 相変わらず楽観的なユメと共に、窓から公民館へ入っていった。


 中の損傷はそんなに酷くはなかった。

 20畳程の和室に様々な毛布が敷かれ、数人が各々作業している。


「とりあえず、こっちでお話しましょうか」


 並べられたパイプ椅子にバスタオルが被せられた物(恐らく簡易的なソファを作りたかったのだろう)に案内された。玖実はメモ帳を取り出し、先程の少年と共に澪へ質問を始める。


「とりあえず…自己紹介からしましょうか。改めまして…私は玖実。一応この避難所で最年長だからまとめ役をしてるわ。何かあったらいつでも相談してちょうだいね」

「僕は燐叶、中学生。玖実姉の弟で手伝いとかしてる。」

「あ、あたしは澪です。高校生で、気が付いたら周りがこんなになってて訳分からない事ばかりで…えっと、とりあえずよろしくお願いします」

「ウチはユメ!激カワ最強アイドルで──」

「それじゃあよろしくね、澪ちゃん!」

「ウチの紹介フル無視?!」


 一人で騒がしいユメを尻目に、澪はとりあえず周りの状況を聞くことにした。

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