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リゲイン・ロスト・タレント ―才能を奪われた天才たちの異世界再生バトル譚―  作者: 綜目月 梶才
転生の意味

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14/58

1日に二度死ぬ男

「私がアホな事をしたから……、カズヤさんごめんなさい。やっと、やっと、出会えたのに」


 喋るたびにミカーヤの口にカズヤの血液が入り込む。

 だがそんな事もお構いなしにミカーヤはただただ、咽び泣きながら後悔を叫ぶだけだった。


「そもそも、呼びかけなきゃ振り返らなかったのに……。全部私のせいだ」


 こんな状態でもガンラガンラを警戒しているのか、大粒の涙には似合わない押し殺した声で泣いている。


 ミカーヤは無理だと頭でわかっていながらも、同じ転生者なら……とウンコの方を向き助けを求めた。

 カズヤの死に放心していたウンコはミカーヤと目が合い正気を取り戻し、そして泣きじゃくるミカーヤの元へ即座に駆け寄った。


「大丈夫だ、落ち着け。いや、大丈夫じゃないんだけど、何とかなると、思う」


 ウンコは慌てふためきながら自分にも言い聞かせるように宥めた。

 ミカーヤは大丈夫という言葉に一筋の光を期待して涙を気合いで引っ込め、また溢れぬよう噛み締めながらウンコの言葉を待った。


「俺達転生者は、何度か生き返れる人がいるんだよ。だから、もしかしたらカズヤもそうかもしれん」


「……本当ですか」


「うん、ガチ」


 ミカーヤは横たわるカズヤの下半身を一瞥し、再びウンコの方へ向いた。


「どれくらいで、蘇るんですか」


「――わからん、死んだ事がないから。多分…‥1時間とか?」


 ミカーヤは僅かに生成されたエネルギーを使い、這うようにカズヤの下半身まで近寄りゆっくりと抱きしめた。

 そして先ほどまで自分が凭れていた木まで向かい、同じような体制に凭れつき、静かに目を瞑った。


「大丈夫か?」


 ウンコにはミカーヤがこの一瞬でやつれた様に見えた、精神的にではなく肉体的に。

 錯覚でやつれている様に見える程に、意気消沈していた。

 ウンコの心配の言葉にミカーヤは一瞬目を開き、ウンコに向かって頷くと再度目を閉じた――







(ん、あれ? 何で俺あの世にいるんだ……?)


 一方カズヤはあの世で目を覚まし、突如目の前に現れた見覚えのある景色に困惑していた。

 カズヤはとりあえず数時間前の様に生前の記憶を思い浮かべて、直近の行動を振り返った。


(んー、あのうさぎがダメだったのかな。確かに今思い返してみたら、ミカーヤの大声にビビる様子もなかったし、危機感が足りなさすぎたかな。――失敗失敗。次は気をつけなきゃだな、何かあったらとりあえず即逃げて、ミカーヤに聞く。)


 カズヤは結果は違えどミカーヤの策略通り、自分の危険に対する認識の甘さを自覚し修正を心がけた。


(ところで、ミカーヤは何で早く助けてくれなかったんだ……? ――人のせいにしても仕方ないか。……さて)


 カズヤは幻体術で足をできるだけ長く生やし、高所から魂の行列を探した。


(あった、あっちか。)


 魂の行列を見るや否や、幻体術で生やした足を馬の様な走る事に特化した姿に変え、駆けた。

 馬の形態の速度は凄まじく前回3時間かかった距離を、今回は20分でついてしまった。


「えっと、君達は……カモノハ――」


「神、体欲しい」


「うわっ、ビックリした! 何! え、かっくん?」


突然の声かけに神は驚き、飛び上がった。

 そして声の正体がカズヤだと気づくと、これまた驚愕した。


「もう死んだの、早いなあ。今忙しいから、おっくんに頼んで」


 神はカズヤに呆れを含んだ嘲笑をした後、机を強く叩いた。

 机が叩かれた途端空から稲妻が降り、稲光と共に鏖殺確約丸が降ってきた。


「お呼ばれ! なんしょう」


 鏖殺確約丸の呼びかけに神は見向きもせずカズヤを指差した。


「君もう死んだの、早すぎない? まだ3時間ぐらいでしょ、自殺除いたら新記録だよ」


「面目ないです、危機感のなさが招いた結果です」


「仕方ない、切り替えてこう」


鏖殺確約丸はカズヤの魂を撫で元気つけた。

 カズヤを撫で終わると少しカズヤと神から離れて、カズヤの肉体の生成を始めた。

 今度の服は昔の農民の様な見窄らしい、マシな服だった。


「よし、入りな」


 カズヤは言われた通りすぐさま口の中に飛び込み、肉体を取り戻した


「いやー、ありがと」


「ん、どいたま」


「それにしても、マジでやらかした。頭では気をつけてたんだけど、やっぱりまだテンション上がったままで浮かれてた。1回目の死は実験とか、有意義に使いたかったんだけどな」


カズヤは片手で目を覆い自分の過ちを悩んだ。

 そして一度目の転生において、自分の行動を振り返り始めた。

 振り返り始めてすぐに、カズヤは一度目の転生での疑問を、鏖殺確約丸に聞こうとしていた事を思い出した。


「――なあ、おっくん。」


「はい、なんしょう」


「おっくんってさ、俺の魂が変幻自在の魂、って言ってたよな」


 カズヤの問いに鏖殺確約丸は手を後ろで組みながら頷いた。

事実確認ができたカズヤはそのまま続けた。


「つい1時間前さ、仲間の能力を使おうとしたら使えなかったんだけど、何でかわかる?」


 鏖殺確約丸は首を傾げながら顎に手を当て上を向きながら考え始めた。

 しばらく考えるとカズヤに近づき、カズヤの手を握った。

 何をしているのかと困惑していると、鏖殺確約丸の手が突然金色に光り始め、それに続く様目も光り始めた。


「何これ」


突然の行動にカズヤは理解ができず首を傾げる。

 鏖殺確約丸はそんなカズヤを無視して、光続けた。

 それから2分ほど光っていると突如手を離し、カズヤから一歩離れて背中を向けた。

 カズヤが戸惑っていると「今のやってみて」と、鏖殺確約丸が背を向けたまま言った。


「え、どうやってやんの」


「目の瞳孔を開く様に力を入れながら、僕の背中じゃなくて背中の先に焦点を合わせる感じ。僕の魂が見えたら成功、やってみて」


 言われた通りの事を実践する、しかし何も変わらない。

 目が乾くのを堪えて痛くなるほど瞳孔を開く、しかし見えるのは背中だけだった。

 とにかく言われた事を実践する事3分、鏖殺確約丸がカズヤの方は巻き直し近づいた。


「次は魂でやろう」


 そう言いながら鏖殺確約丸はカズヤの頭に光る手のひらを翳し、5指を曲げながら後方へ腕を動かした。

 するとカズヤの魂が体から引き剥がされ出てきた。

 飛び出たカズヤの魂に手を差し出す、それに応えてカズヤも幻体術で手を差し出した。

 カズヤの手を握ると、鏖殺確約丸は先ほどの様に手と目を光らせ、2分ほど待った。


その後もう一度一歩離れて背中を向けた。


「やってみて」


 言われた通り先程の行動を頭で反復しながら実行する。

 すると今度は背中が透け始め、何か白いものが見え始めた。

 そのまましばらく続けると、陽炎のように揺らめいていた輪郭は次第に綺麗な形を持ち始め、はっきりと魂の形を持ち始めた。


「みえた」


「うん、わかった」

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