2人目
(何この世界、仲間に飢えてる人多すぎでしょ。俺は珍獣保護者丸になんのかよ――)
「――あぁ、いいぜ」
カズヤは込み上げる様々な思いを飲み込み、笑みを失った目で応えた。
その回答にミカーヤは潤む瞳でカズヤを見た、ミカーヤも色々な思いが込み上げカズヤにぶちまけたかったが、命がかかっている為飲み込みウンコを見た。
助けてくれる恩人に加え後先考えずに受け入れると約束したせいで、断るわけにはいかず受け入れたが、ぶっちゃけるとカズヤはウンコにあまり魅力を感じず、ミカーヤ同様仲間に入るのが乗り気ではなかった。
確かにこの短い間に感じた親近感や友情は嘘ではなかった、たがその親近感や友情があってしても余りあるデメリットが存在していた。
臭いと見た目である。
助けてもらう立場上触れられなかったが、とにかく臭かった。臭いを形容するとしたら下痢、それぐらい臭かった。
見た目もやはりウンコなため気持ちが悪い、よく見ると草なども張り付いている。
一応メリットがなかったわけではない、カズヤより早く転生した事により生まれた知識の差、大木すらも消し炭にする破壊力、生まれて初めて感じる友情、メリットは確かにあったのだ。
だがその僅かなメリットすら、ミカーヤに殆ど負けていた。そのせいでウンコのメリットは今や友情だけとなっていた。
つまり今のカズヤにとってウンコのメリットは友情、デメリットは悪臭と見た目、プラマイで考えると完全マイナス、その為あまり乗り気ではなかったのだ。
この先思いやられる悪臭と見た目にカズヤが悩む横で、一方ウンコは意外にも喜んではいなかった。
それどころかカズヤとミカーヤを交互に見続け、後悔の念に苛まれていた。
「いや、でもやっぱり悪いしいいよ」
惜しむ気持ちを押し殺してウンコが答えた。
自分の発言に後悔をしながらも、続けた。
「流石に、恋仲の邪魔するのは悪いしさ」
「――?……! 俺とミカーヤそんなんじゃねえよ、出会ってまだ4時間ぐらいだぞ」
一瞬何を言っているのか一瞬理解できなかったが、すぐに気づく。
そして気づいたと同時に笑い混じりに、ミカーヤを指刺しながら否定した。
「はっ、えっ、4時間!? お前……4時間の相手に、命懸けてんのかよ」
驚愕していたが喜びが隠しきれない声色で、ウンコが返す。
先程までのお通夜状態とは打って変わって、ウンコに活気が戻ってきた。
「まあ、そこは色々あるんですけども、可哀想だったもんで、助けてあげたくて」
叫ぶウンコに対して、カズヤは何かに懐かしむようにミカーヤに手のひらを向けた。
「そうです、可哀想なんです」
「そう、か。じゃあ、また1人にならなくていいのか。」
ウンコは2人に聞こえないような小声で呟いた。
ミカーヤは超人的な聴力でその言葉を聞き、1人自責の念にかられた。
ウンコは地面に顔を擦る事で潤む瞳から涙を拭き取り、元気よく顔を上げるとカズヤの服を指差した。
「――じゃあ、カズヤのそれなんだよ!」
突然ウンコの体の一部が伸び、カズヤの体を指差す。突然の変形に2人は驚く様子もなく――ウンコの摩訶不思議さに慣れたようだ――指差されたカズヤの体を見た。
「その服なんだよ! パンイチでさ!」
「あ! 確かに、私も気になってました」
カズヤはたった今自分の服装を思い出し、片方の手のひらに握り拳をポンと置いた。
「神様に服もらったんだけどさ、ダサすぎて脱いできた」
カズヤの素っ頓狂な回答にウンコは「アホくさ」と一言添え、しばらく笑った後安堵の息を吐いた。
「――そうか。じゃあ仲間になっても、いいのか」
「うん」
「はい」
――見た目と臭い。唯一のデメリットに目を瞑り、2人は応えた。
だが今度は嫌々ではなかった。
たった数分、この会話で2人は当初とは真逆の考えを持っていた。
ミカーヤとカズヤは一喜一憂するウンコに過去の自分を重ね、叶えてあげたいという思いを抱いたのだ。
「こんな俺を、受け入れてくれてありがとう。よろしく」
ウンコは体を変形させて手を作り出し、カズヤの前に差し出した。
「よろしくな」
「よろしくお願いします」
カズヤは差し出された手には応えず、親指を立てた。
摩訶不思議珍獣が仲間に加わった。
――それから1時間半はガンラガンラに襲われる事もなく、平和に過ごしていた。
暇な時間3人は仲を深める為、お互いの身の上話を話し合っていた。
話し合っていると3人はお互いの色々な事がわかっていった。
ウンコが転生した目的は世界最強になる為、そのために世界中を回りたかった。
カズヤとウンコの年齢。
ミカーヤはかれこれ20年以上は閉じ込められていた。
カズヤの性癖。
カズヤとウンコの生まれや育ち。
3人総じて、人と関わるのが苦手な極度のコミュ障など。
とにかく色々な事を話し合った。
話し合いの中3人は沢山笑い、沢山驚き、沢山同情し、お互いを曝け出し赤裸々に語り合った3人は、出会って1〜3時間の関係とは思えないほど仲睦まじくなっていた。
まさにマブダチのように。
その後も色々な事を語らい、コミュ障3人の話が盛り上がり佳境に差し掛かろうとしていたその時、
ガササッ
――その穏やかな空気を、草を掻き分ける音が破った。
その音にウンコはすぐさま近くの木の枝まで飛び上がり、カズヤも続くように木をよじ登った。
ウンコとカズヤは辺りを見渡し、音の出どころを探る。
しかし時既に遅くミカーヤの眼前2m先、異音の正体が草根を掻き分け現れた。
作品備考
キャラクタープロフィール
ウンコ
身長13cm 体重5kg
ザバン282年 1月6日転生
魂の形 人間 肉体の形 ウンコ
好きな物 ???
嫌いな物 1人 神様 死肉 ???
趣味 魔法の修行
魔法
フェゴナイテッド
???
スキル
???
スキル魔法
???
絶技
???
備考
ミカーヤを見て固まっていた理由は一目惚れではないらしい




