59、反逆者と勇者
それから数日をかけ、都市ランギールへと帰還した
道中は何事も無く、休憩の合間にドロップ品の確認をしたが、目当ての防具になりそうな鱗は、巨大な魚の鱗の様な物で、強度は有りそうだが、力を込めると良くしなり、弾力性も有ったが、これをどう防具に変えるかは分からんし、ランギールとランギールが手配しているだろう職人に任せるとしよう
神龍の衣は、取り出すとシアには随分大きく、可能ならば仕立て直しをさせようと思ったが
シアが衣をストレージに入れ装備する事で、サイズはピタリとシアに合った
こういうところはゲームそのものだな
衣は子龍と同様の美しい空色で、細かな刺繍や、装飾がなされている、シアのエメラルドグリーンの髪に良く合っていた、孫にも衣装という奴だな
シアも気に入った様で何よりだ、名称も神に龍だ、プロパティにも期待出来るだろう
それと今回の戦闘でズタボロになった俺の防具は、街に到着する頃にはあらかた修復されていた
街へと入り、直ぐに城へ行き、ランギールの元へ行く、街も城も以前に増して物々しい空気がある、何か進展があったという事か
何時もの執務室に通されると、部屋にはランギール、リーリエ、久し振りに見るガルバがいる
「よくぞ戻られたレオン殿、随分早かったのだな、、レオン殿の防具の破損が目立つが、、」
「心配するな目当ての物は手に入れてきた、そちらも動きが有った様だが、先に此方の要件を済ます」
「分かった、直ぐにギー殿を呼ぼう」
ギーを執務室に呼び、此方の要件を済まそうとするが、ギーは神龍の衣を着たシアを見て「リーシア様に相応しいお召し物です! まるで後光がさすかの様な輝きです!」と誉めちぎり
対するシアも御満悦で「うむうむ、ギーはわかってるの、あがめるといいの!」「ハハー」と陳腐なコントをしているが、やらしておくか
「では、手に入れて来た素材はこれだ」
俺はストレージにある神龍の鱗×99をテーブルに出す、その鱗をランギール、リーリエ、ガルバは手に取り確認をしている
「これが耐熱性に優れる水龍の素材なのかレオン殿?」
「見た事ねぇな、鱗の様だが、こんなデケーサイズとは、これが龍なのかよ、、」
「龍種で間違いないのぅ、我が里にある秘宝に火龍の鱗があるが酷似しておる、この鱗より遥かに小さい物じゃが」
「腐っても賢者か、そうだ龍の鱗だ、どうだ防具に出来そうか?」
「早急に防具作成に当たらせよう、しかし流石レオン殿だな、こうも容易く伝説の素材を調達出来るとは、、」
「それよりも、一つランギールに頼みがある」
「何であろうか? 私に可能な事であれば無論協力は惜しまんが」
「大したこと事じゃない、道中ペットを拾ってな、飼育するつもりだが構わんか?」
「勿論構わないが、ペットと言うのは外に?」
「実は既にここに連れて来ていてな、外に出すときは姿を消させているが、城内くらいは好きにさせてやろうと思ってな」
俺の言葉にランギール、リーリエ、ガルバは周囲をキョロキョロと確認している
「おい、シア」
「はいなの、ガーちゃんでてくるの!」
「グワァ!」
とシアの肩にしがみつく子龍が姿を現す
「ま、まさか、龍なのか?」
「お、お、おい!?」
「おぉ、龍の子とは、、興味深い、、」
と三者の反応は其々だが
「心配するな、周りに危害を加える事は無い、もし不始末を犯せば、俺が捌き直ぐに調理場に届けよう」
「パパ! ガーちゃんはいいこなの!」
『シア、もしも悪さをしたらの話ですよ』
「でもママ、ガーちゃんがかわいそうなの、ん~、わるいこになったら、はねをとっちゃうの!それでゆるしてもらうの!」
『仕方ありませんね、それでレオン様に御許し頂きましょう』
「グァグワァ」
涙目の子龍が悲鳴を上げているぞ、哀れな神龍だな
「まぁそう言う訳で心配するなランギール」
「あいたっーーー!! 噛みおったぞ! この子龍!!」
「グワァ!!」
と触ろうとしたリーリエに噛み付いている子龍
「まぁそう言う訳で心配するなランギール」
「り、了解したレオン殿、しかしその子龍は一体?」
「簡単に言うと、神殿を守護する為に神の遣わした龍、今回討伐した龍の転生した姿だ」
「神の遣わした、、神龍と言うのか? つまりこの素材も、、?」
「ああそうだ、神龍の鱗だ、事情があり狂った神龍を討伐した、心配するな天罰など降らん、寧ろ感謝される行いをして来た所だ」
「そうなの! パパありがとうなの!」
「神もこう言っているしな」
「聞いてると頭が可笑しくなりそうだぜ」
「我々の考える事では無いという事だ、我々は我々の出来る事を為そう」
「ああ、違いねぇな」
「ではレオン殿、此方も報告がある」
「し、神龍じゃとーー!! いったーーーーー!! こら噛み付くでない! 指が千切れるわ!」
「グワァ!!」
「、、ではレオン殿、此方も報告がある」
「ああ、聞こうか」
「王都から王直々の召喚状が届いた」
「内容は?」
「簡単に言うならば、私が帝国と繋がっている疑いがあり、速やかに王都に来、疑いを晴らせとの事だ」
「その根拠は?」
「私とジギール侯爵が結託し、王に刺客を放った疑いだそうだ、王が襲撃に合い、幸い王は助けられ、実行犯を捕らえたが、実行犯の所持品から、私とジギールからの犯行の指令書と、帝国軍の認識札が出てきたそうだ」
「ハッハッハッ、陳腐な台本もあったものだな、英雄から反逆者か?」
「全く、その通りだ」
「一様、その陳腐な台本に有る、王を助けた勇者様の名を聞こうか」
「言わずもがな、ドラギール公爵閣下様だよ」
手を広げ呆れ果てた様子のランギールに
「で、どうする?」
「書状にて返信は出した、無論出向くつもりは無い」
「召喚に応じて、直接叩くという手もあるぞ?」
「確かに、しかし今叩けば民の聞こえは悪くなる」
「そこで俺達傭兵の出番だ、王都にも傭兵は相当数いる、それを使い民衆に王を襲ったのはドラギール自身で自作自演で、英雄ランギールを妬み、罪を着せようとしているつう噂を流す」
「ジギール侯爵の手の者とも協力し、噂を民に広げる予定だ」
「噂じゃなく真実だろうがな」
「今の王政に対する民の評判は良くない、噂が広がった所で」
「民を思い、悪を討つため、英雄が立ち上がるか?」
「そうだ、民の不満を噴き出させた後、その噂を更に流させる予定だ」
「その後は?」
「恐らく悪評を払う為に、兵を動かすだろう、ジギール侯爵と協力し兵を押さえている内に、私が少数を率いて頭を叩く、奴が兵を率いていれば、王都の王を救い、後方から奴を討ち取り、以後王には退位して頂く、奴が王都に残っているなら、直接叩くだけだ」
「成る程な、まぁ好きにしろ、御膳立ては整えてやった、後はお前次第だよランギール、一様その別動隊には同行するが、基本的に俺達は手を出さん、魔戦兵は無関係では無い、場合によっては処理はしよう」
「重ね重ねの協力感謝する」
「大いに感謝し、便宜を図れよ? それと勇者は、必ず反逆者が討ち取れ、いいな?」
「心得ている、偽勇者は、反逆者の汚名を着せられた英雄の手で、討ち取ると約束しよう」
「そうだ、そうしてこそ英雄は王となる、どちらの台本も陳腐だが、役者の差で勝ってみせろ」
こうして取り敢えずの話し合いは終わり、状況が動き出すまでの間、細やかな休日が俺達に訪れる




