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42、帰還

それから食事と休息を取り、徒歩にて都市に戻る


シアは携帯食料はお気に召さないらしく、「おいしくないの」と漏らしていたが


どうもシアは、リーリエの事は好きではないらしい


シアはソフィアが抱き抱えながら休憩を取りつつ町を目指した


休憩を取ったのは、ソフィアの為でもシアの為でもない、速度は大分落としていてもリーリエが直ぐにへばるからだ



「またへばったのか?」


「こんなペースで移動し続けられるわけがないじゃろ」


と肩で大きく息をするリーリエに


『全くだらしのない、レオン様、薬品を与え走らせ続けますか?』


「いや、良いさ」


「ポンコツエルフなの! ばーばだからしかたないの」



やめろてあげろシア、益々このポンコツエルフのペースが落ちるだろう



そこから更に進み、日も落ちかけた頃、前方に騎士の集団が見えてくる


同行していた騎士達の様だが、このペースで追い付く訳が無い、何かあったのか?


野営の支度を進める騎士達に近付くと、騎士達もこちらに気付き、素早く整列し皆片膝を地に付けて礼をとる


「何かあったのか?」


「いえ、御無事で何よりです、ジギール様から案内を終えた後、一日程戻った地点でレオン様を待ち、出迎える様に指示されていましたので」


余計な詮索はしない上での気遣いか、流石年の功か


「そうか、では合流させて貰おうか」


「ハッ、直ぐに野営の準備も整います、暫し馬車にて御休憩を」


「ああ、そうさせて貰う」


「そうさせて貰うなの! ポンコツエルフよりよっぽどやくにたつの」


シアがまた毒を吐いてるが、それにしてもこの騎士達は徹底されている


シアを見ても聞いてくる事はおろか、表情一つ変えずに用意を進めている、気遣いや統率という面ではランギールの騎士達より上だな


その後、俺達は馬車にて二日程かけ都市に帰還した


町へ入り城の入り口で馬車から降りると、ジギールが騎士を伴い出迎えていた


「わざわざ出迎えとは御苦労な事だな」


「いえいえ、それで迷宮の方は如何でしたかな?」


「ああ、攻略は済ませた、事前に言った通り迷宮の機能は完全に失ったがな」


「こちらとしても助かります、封印していたとはいえ何が起こるか、危険な物に違いないので、それと古い記録によると、攻略され機能を停止した迷宮周辺の地域は、土地が豊かになるとの記載もあるので」


迷宮の力が地に還元され、その影響で周辺地域の土地が活性化されるということか


「それと騎士達には世話になった、気遣いや統制も取れ良い騎士達だ」


「それは幸いです」



「それにしても、騎士達といいジギールといい、ソフィアの連れている子供に一切触れないな?」



俺はソフィアと手を繋ぎ、キョロキョロと城を眺めるシアに目を送りながら問うと、ジギールは軽く頭を下げ


「レオン様がその事に触れず、ソフィア様が連れられている以上、我々に思うところなど御座いません、御二方同様、歓迎するだけです」


「そうか、しかしそこまで聞き分けが良いと見返りの要求が怖くもあるな、あの少女はシアと言う、以後連れて行く事にした」


そんなやり取りを済ませ、俺、ソフィア、シア、リーリエは応接室に通される


部屋で椅子に腰掛けると、直ぐにお茶が出されたが、シアには何かの果物のジュースに焼き菓子が出されていた、本当にこの爺さん見掛けによらず、気遣いが細やかだな


ニコニコと上機嫌で飲み物と菓子を頬張るシアが


「じーじはよいこなの、ほめてあげるの! 」


それを受けジギールは笑みを浮かべ、シアに頭を下げると


「お嬢様にお褒め頂けるとは、この爺め光栄ですな」


その言葉、表情、態度には一切不自然な所は無い、これがプロのサービスなら超一流だろう


そういえばシアは相手の思考を読める、ジギールに対してその力を使用したかは分からんが、御満悦な所を見るに、ジギールは信用に足ると考えてもいいか、それならば、、俺はリーリエを方を向き



「シアはジギールの事を気に入った様だな?」


「じーじはいいこなの、パパとママのやくにたちたいとおもってるの」


笑みを崩さないジギールだが、その言葉に驚いたのか、僅かだが眉が上がる



「そうか、ではシアが嫌うリーリエは良い子では無いということか?」


その俺の言葉にリーリエが、ビクン反応をし、ジギールからは笑みが消え、警護の騎士達にも緊張が走る


張り詰めた空気の中、リーリエが慌てて声を出す


「わ、我は魔法への探求だけじゃ、害する事など!」


それを受け、ソフィアは微笑みながらシアに聞くが、目はまるで笑っていない


『どうなのシア?』


「ママがばーばのこときらいなの、パパにちかよるなって、だからシアもきらいなの!」


それを聞き、みるみるソフィアの顔が赤くなり、シアの頬を摘まむ


「ママ、いひゃいの! ごめんなさいなの! シアのほっぺとれちゃうの!」



この収集のつかなくなった空気の中、ジギールが口を開く


「ハッハッハ、子は親の心を敏感に感じ取れるものですしな、リーリエ殿も誤解を受けぬ様、今後注意されると良いでしょうな」


周りの騎士達の緊張も溶け、一瞬で和やかな空気に変わる


本当にこの爺さん優秀だな


「で、レオン様、今後の御予定は如何なさいますか?」


「そうだな、迷宮の攻略が済んだら、直ぐにランギールに戻ろうかと思っていたが、迷宮で少々疲れたのと、ここに闘技場があるらしいな?」


「はい、ございます、御興味が御有りならばこちらで案内致しますが?」


「そうだな、頼もう、休憩も兼ねてまだ少し厄介になる」


「厄介などと御冗談を、レオン様が宜しければ、何時まででも御滞在下さい、何でしたらランギールにもう戻らんと文を送りましょうか? ハッハッハ」



と話は終わり、食事も終始和やかに進み、俺、ソフィア、シアは客室に通され寛いでいる


シアは疲れたのか、椅子に座るソフィアに抱っこされながら、眠っている


『闘技場は御興味が無かったのでは?』


眠るシアの頭を優しく撫でながらソフィアが聞いてくる



「そうだな、気が変わった、迷宮で俺とリーリエのコピーと戦う事になった訳だが、油断もあるが根本的な所で下手を打った、ステータスの差から本来避ける必要の無い物に反応し手傷を負った、明らかな経験不足だ」



『経験不足を闘技場で補うという事ですか?』


「そうだな、まず見、そして可能なら戦うのもいいだろう」


『レオン様にそのような事等、必要ないでは?』


「今回の様な事はまた起きるかも知れんしな、別に本気でやる訳では無い、特に魔法を受けるという事を経験したくてな」


ソフィアは少し考え込むと


『それでしたらあのエルフに協力させれば宜しいのでは?』



「ママが嫌いな相手に協力させるのは気が引けるからな」


また顔を赤くし、うつ向くソフィアが、目の前のテーブルにある花瓶を手に取る


俺は慌てて言葉を続ける


「じょ、冗談はさて置き、リーリエに協力させると色々面倒臭いだろう、代わりにあれこれ要求されてもかなわんしな、ほら、花瓶を置け、シアが起きてしまうぞ?」


『レオン様、御冗談がすぎます、、』


と依然顔は赤いが、花瓶をテーブルに戻すソフィアに、ホッと胸を撫で下ろす


お前の力で花瓶を投げつけられてみろ、下手すりゃ瀕死だぞ?



魔法か、リーリエコピーに放たれた火球、ステータスを考えればそのまま受けてもダメージは通らなかっただろう


しかし俺の職業柄もあるが、炎の怖さも、どう扱えばどうなるのかも熟知している


結果不要な対処をしてあのざまだ、これまでの相手は魔法の使用はほぼ無かったせいもある


魔法に慣れておく必要がある、改めてステータスは高くとも戦闘では素人と認識できたな



明日の闘技場、魔法に思案しながら眠りにつく、横を見るとソフィアとシアは既にスヤスヤと寝ている


この俺、ソフィア、シア、川の字で寝るという何とも言い難い状況は考えない事にして眠りについた

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