29、王都へ
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その後どうなったかと言うと当然マリーは晴れて騎士になった、しかし今までの騎士達との関係と、その力が大きく逆転したことも考慮して、伯爵の護衛を主とした側付きの騎士ということに落ち着いた
同じ女性ということも護衛として最良だろう、マリーの騎士昇格祝いに森で討伐してきた素材を伯爵に渡し、マリーの防具を作らせるよう頼んでおいた
騎士達のマリーを見る目は以前と変わらず、いや以前は侮蔑で今は畏怖や恐怖か、しかしマリーはもう気にも止めない様で、ソフィアに稽古を付けて貰うなど、何事なく過ごしていた
俺はと言うと、次に向かう魔物討伐の予定地を、ギルド長のガルバと話すなどし10日程たった頃、伯爵に呼ばれる
「ランギール、なんの用だ? マリーの防具でも出来上がったのか?」
「おお、よく来てくれたなレオン殿、防具は既に完成し渡してあるが、おや?ソフィア殿は?」
「ああ、マリーに稽古をつけにいっている」
「マリーにソフィア殿を取られ寂しいのではないか?」と伯爵がニヤニヤとからかってくるが
「良い傾向だ、常に戦いに身を置いて同世代の同性と話すことなど無かったからな」
「ふむ、詰まらん返しだな、しかしまるで、娘の成長を見守る父親の様だな?」
「ほっておけ、しかし年の話を振るとは良い度胸をしているなランギール?」
「わ、わかった、わかった、それ以上は聞きたくない、降参だ」と両手を上げる伯爵
「で、そんな話をするために俺を呼んだのか?」
「いやそうではない、レオン殿、共に王都に行かないか?」
「王都か、次は帝国国境付近の山脈に魔物を狩りに行く予定だ」
「ふむ、その帝国国境も今回の話に絡んでいてな、前に言った国境付近での帝国の動きに対しての情報交換や検討も兼ねて王都に行くことになったのだ」
「それはこの国の英雄の仕事だ、俺には関係の無い話だな」
「そう言うなレオン殿、魔力回復薬の件もレオン殿が来れば早く進むと思うが?」
「やけに推してくるな? 俺が王都に行って、王都に不幸な事故が起きるとは思わんのか?」
「それは勘弁願いたいが、実はレオン殿達の事を何処で嗅ぎ付けたのか紹介して欲しいと打診が来てな」
「それこそ不幸な事故が起きる案件だろう? 俺は相手が王とて頭は垂れんぞ、いやむしろ必要なら王でも地に伏せさせるが?」
「無論、国王陛下への謁見など予定は無い、グランギール南の都市ジギールを含むジギール領、領主ジギール侯爵の打診でな」
「なぜソイツが俺に?」
「ジギール領も当然、帝国に隣接している、王都にて防衛の連携なども話す予定なのだが、私が凄腕の客人を招いていると知り、帝国防衛の為に私が腕利きを囲っていると思っているのだろう」
「ジギール侯爵は父の古い友人でな、礼にも厚く、いわゆる武人タイプだ」
「当然レオン殿に対する礼は、私から念を押してから会って頂く、どうだろうか?」
さてどうするか、確かに回復薬の件も嘘では無いだろう、ランギール領の魔物を粗方かたしたら、王都ないし南のジギールに行くこともあるかも知れんか、顔を繋いでおくのも有りか
「良いだろう同行しよう、但し、その侯爵に念を押す時に、南の魔物や遺跡などの情報を提供させろ」
「おお、同行して頂けるか! 情報の件は了解した、ジギールも少なからず魔物の驚異はあるのでな」
こうして王都に同行することに決めから4日後、城の中庭にて出立する人員が集まった
まず当然伯爵、護衛と成ったマリーに騎士達は最低限の10人、傭兵から5人と俺とソフィアだ
伯爵、マリー、俺、ソフィアは馬車にて、馬車の御者役の騎士を除き、他は馬での移動となった
中庭にて最終準備が進む中、まず目に付いたのはマリーだ、黒い軽装の服を手甲、脛当、胸当で補強した防具、動きを阻害しないようにか
あの斧にはプロパティが二つ付いている、一つは攻撃力up、もう一つは身体再生だ
斧の攻撃力とマリーの力を生かし、防御はそのタフネスと再生で賄う超攻撃型のスタイルか、悪くない
その胸当てには大きく獅子の紋章が装飾されていた
「中々似合っているぞマリー、その紋章はランギールのか?」
「ありがとうございます、はいランギール家の紋章です、念願の騎士としての証です」
「そういえば、お前の家は王都だったな?」
「はい、胸を張り両親に報告したいと思います!」
「そうか、両親も喜ぶだろう」
そして緑の髪をした女が目に入る
「ソフィア、マリーと話でもしていると良い」
『はい、レオン様』
二人と離れ、緑の髪をした女に近づき
「まだここにいたのか?」
「失礼な事を言う、我は遊びに来ていたのではない、トロールの件を上に報告しなければならないのでな、何度か足を運び調査しておったのだ」
「ほう? それでなんと報告するのか聞かせて欲しいな」
「馬鹿にするでない、当然トロールの拠点など存在しなかった、ハグレトロールが偶々目撃されたようだとな」
「流石賢者だ、賢明な判断だよ、でわ何故調査の必要がある?」
「一様調査はしたという証拠作りをしたのだ」
「本音は?」
「魔力の残響から使用した魔法の推察、魔法への探求じゃ」
「ふっ、それで何か分かったのか?」
「口惜しいが何も分からん、がじゃ、何も分からんことが分かったのは成果よ」
「成る程な、賢しいな」と俺が笑うと拗ねるように、ふんッと面白く無いのか、エルフのリーリエは馬車に乗り込んでいった
「あの! レオン様、今回ギルドから護衛要員として派遣されました!よろしくお願いします」
と頭を下げる灰色の髪をした女
「ライラか、まぁよろしく頼むよ」
「はい、それで、、おい! お前達来て挨拶しな!」
すると後ろから
「今回の護衛要員に志願しました!よろしくお願いしまっす!!」
と威勢の良い声で頭と膝がくっつく程のお辞儀をしている男と後ろの三人
「ああ、あの時の傭兵達か?」
「はい!リーダーのダンっす!後ろはジョン、ベン、アリアっす!」
「そうか、たっぷり絞られた様だな?」
「はい!!師匠に頭が割れるほど殴られました!!」
「バカ野郎! それは言わなくていいんだよ!」とダンの頭をバカーンとライラがはたく
まるでコントの様だな
「一から叩き直しているようだな?」
「はい、初心に帰らせ鍛練を積ませています、この子らを同行させて下さい」
すると後ろの四人組は、ぷっ、クスクスと笑い、小声でなんだ師匠の言葉使い、うけるっ、ダメよダンっ聞こえるって、と笑いを堪えられない様子だ
「でめぇらぁ」と般若の様な顔をするライラ、青ざめるダン達に助け船を出す
「誰を同行させるかはランギールが決めた事だ、それに最早済んだ話だ、気にすることなく傭兵の仕事を全うしろ」
「はい!全力であたります!」と良い返事をするダン達、すると俺の後ろから伯爵の声が掛かる
「随分と甘いなレオン殿? 心境の変化かな?」
「ランギール、俺は鬼でも悪魔でもないぞ?」
そんな中、伯爵は「まるで何処かの宗教家のようだな」と水を差してくる
「お前は少し純粋な心を持てランギール、ふけるぞ?」
なっなっ、と言葉を失う伯爵を無視し、マリーと談笑しているソフィアを伴い馬車の中に入った
すると馬車の中は明らかに外観から目測するより遥かに広い、普通の個室程の広さか
そう驚いていると、追い付いてきた伯爵が
「ほう、レオン殿でも驚くことがあるのだな?」
「これは魔法が付与されているのか?」
「私にも詳しくは分からんが、王家の秘蔵のアイテムだ、帝国との戦の報酬として賜った物だ、まあこんなときにしか使い道はないがな」
「そうか、これなら快適な旅路になりそうだな」
「王都までは5日と言ったところだ、しかも王都は各領地で囲んでいる内側だ、危険もまるでないとは言わんがランギールより遥かに安全だよ」
そして一行は王都へ出立した




