23、遺跡と愛しきボス
数日休息を取り、俺とソフィアは遺跡に向かった
薦められた遺跡は近場にも関わらず、ほぼ手付かずであるらしい
遺跡の中でも相当に古いらしく、中に眠る宝は期待できそうなのだが
発見は僅か数年前で、大規模な地盤沈下の影響で、遺跡の入り口が発見されたらしい
当初、かなりの数の傭兵が遺跡に挑んだのだが、遺跡の浅い部分ですら現れる魔物は強力で、相当数命を落としたとのことだ
現状は1級以上しか、その遺跡探索の許可は降りず、1級以上は、わざわざ危険な遺跡を探索せずとも稼げるので、現在は誰も行かなくなったとのことだ
一流の傭兵なら3日で到着する場所にあり、俺達は急ぎ向かうことににした
森では木々や泥濘、柔らかい土などで走るということ自体していなし、出来なかったが、力を込め地を蹴ると景色は、驚く程早く流れる
結果、休憩などを含みその日の夜に遺跡前の入り口に到着した
その日は、そこで夜を明かすことにし、夜営は準備したおかげもあり快適だった
何事もなく、朝になり遺跡に挑む
ランギールで得た情報や、これまでを考えると、間違いなく我々は絶対的な強者なのは、間違いないだろう
ただし、トロールの件と、ステータスの限界が見えていないことから、油断は出来ないだろうが
地面が大きくズレ、断層が見えている壁面に、古い遺跡、というより神殿の様な入り口がある
俺達が中に入ると、所々壊れ崩れた柱があり壁には大きく亀裂がある
中は高さ20メートル、道幅も20メートル程度の相当な広さの通路になっている
それに遺跡の中には迷宮のようになっているものも多いと聞いたが、一本道で先が見えぬほど奥に続いていた
ソフィアを先頭に、その一本道を警戒しながら進む
しかしおかしい、ガルバから聞いていた遺跡の内部とは、明らかに違う
ガルバが嘘を教えるメリットは無いだろう、入り口は聞いた詳細の物で間違いない
遺跡内部が変化したということか?などと考えていると、ソフィアは立ち止まり剣を抜いた
『レオン様、上から来ます』
見上げると、天井から滑空してくる無数の影が見える
念のため、遺跡の外で人に見られぬ様に、掛けていなかったアブソルトウイナーを、急ぎ使用する
ソフィアは素早く、その光の剣を取り剣が消える、背に翼が発現すると同時に、滑空してきた影を剣で切り伏せて行く
そのときの音は、シャコーという無機物を切断する音だ
その両断した影の姿が露になる、いわゆるガーゴイルだ、背に羽があり悪魔を模したような石像が影の正体だった
こちらにも襲って来たガーゴイルを、滑空してきている普段と違う感覚に苦戦しながらもステータスの差があり無傷であるため、余裕をもって数匹かたす
その間にソフィアは流れる動作に神槍も使い次々と倒していき、殲滅を完了する
無数のガーゴイルの残骸が、飛散するのを見つめつつ
「ソフィア、これが何か分かるか?」
『はい、ガーゴイルかと』
「そうだ、ガーゴイルだ、俺達の良く知るな」
『はい、サブデューの地、ダンジョンにて、良く現れる魔物かと』
「ここにきて我々のよく知る魔物か、警戒を強めておけ」
只々真っ直ぐ続く、その道を、いや回廊と言うべきか、進んで行くと、高さ5メートル程の扉が見えてくる
警戒しながら、扉に近づくが敵はいない、扉を開けると同じように回廊が真っ直ぐ続いている
ただし、その回廊の両脇には黒のフルプレートに剥き身の大剣の柄を両手に掴み、その切っ先を地に付けている体長2メートル程の甲冑が、回廊の先の先まで、等間隔に永遠と設置されていた
「次はリビングアーマーナイトか、益々サブデューそのままの敵だな」
『レオン様、全て破壊しながら進むで、よろしいですか?』
「ああ、一つ残らず全てだ、やれ!ソフィア」
ソフィアは神槍を権限させ、それを掴むと、甲冑の片側一列に向け、槍を投擲する
見える限りの、片側一列の甲冑が、光に飲まれ消滅していくと、もう片側の甲冑達のフルプレートの頭から覗く目の部分が、赤くライトをつけたように光り出し、一斉に襲いかかってくる
ソフィアは、それを紙を払い除けるように剣で切り裂き、神槍を使い消滅させ、あるいは、その甲冑の頭を拳で粉砕していく
例によって、俺は抜けてくる少数の甲冑を剣で両断していく、俺もソフィアの模倣で拳を振るうが、ソフィアの様に、炸裂した瞬間に粉微塵になるそれとは違い、甲冑の頭部が吹き飛ぶか、大きく砕けるかだった
そして、その永遠に続くのでは?という回廊を甲冑を破壊しつつ、ひたすら進むと、そこには高さ15メートル程の巨大な扉が、姿を現す、慎重に扉を開けると、中は巨大な50メートル四方はあろうかという部屋だった
その中央に、これまた巨大な体長20メートルはある蛇のような体に、翼の生えた魔物がいた
「ふふふ、はははは、アッハハハハ!ソフィア!見えるか!?あれが?」
『はい、見えております、レオン様』
「そうか、見えているか!あのヴリトラが!」
『はい、レオン様、ヴリトラです』
このヴリトラはサブデュー戦記の開始時からいる、最古のボスキャラだ、製作者がアホなのか、その異常に高いステータス、再生力、しかもダメージを与えることで、その鱗が落ち、その鱗は眷属となって、本体を仕留めぬ限り無限に産まれ落ち、襲い来る
しかも、このヴリトラ、ドロップアイテムが課金ガチャ券1枚という、もっともプレイヤーから嫌われたボスだ
なら何故、俺が笑いを堪えられなかったか?糞ボスが現れて呆れて?違う、単純に喜びからだ
こいつの分裂ともいえる能力はプレイヤーへの嫌がらせとも取れるが、俺に取っては、経験値量産機なのだ
俺が、サブデュー戦記で、もっとも好み、もっとも撃破したボスモンスターなのだ
「ソフィア、以前交わした約を、破りたいのだがいいか?」
『心得ております、レオン様に思うままに』
「そうか、そうか!では以前、昼夜問わず戦わせぬと言ったのは、この場は破棄だ!!狩って狩って狩りまくるぞ!」
『はっ』とソフィアが神槍を、ヴリトラに投擲すると、槍は貫通するが、即再生し案の定、愛しい経験値を周囲にばら蒔く
「いけ!ソフィア!」
そう聞くとソフィアは爆発的な速度で距離を詰め、眷属の蛇を縦横無尽に蹂躙を始める
こんな高揚感は久し振りだ、俺もソフィアに合わし、眷属をほふり、フォローする
只々そこからは、ヴリトラの悲鳴が響き渡り、何時間?何日?眷属を狩り続けただろうか?
ほふりながら食事をし、只ひたすら時も忘れ没頭していると、ヴリトラの目から光が消えかけ、眷属も湧かず、ぐったりと、その身を地に伏せた
「おい!?しっかりしろ!ヴリトラ!全然足らんぞ!」
俺の叫ぶ声にも反応せずに、身を縮め丸くなる
「クソが!もう終いか!経験値提供だけが、お前の価値だろう!」
さらに煽るが、ぐあぁと小さな声を上げるのみ、ダメだ、こいつ折れやがった
「チッ、もう用無しだ、その出がらしを処分しろソフィア」
そして、ソフィアの強化された神炎によって、ヴリトラは滅却された、その顔は何処か安堵した表情にも見えた
すると奥から、扉の開く音が聞こえる、まだなにかあるのか
取り敢えず軽くステータスを見ると、レベル30到達、詳細は後でと言うことで奥へ進む
するとそこは、やはり長い回廊だが、壁には壁画ともいえる物が無数にあった
最初の壁画は、村らしき所が魔物に襲われている物、次が少女が、うつむき涙する絵
次はその少女が神台で祈る様子、そして次は、光を纏った男が降臨する絵
「ソフィア?この壁画、何処かで見た光景だな?」
『はい、まさしくこれは、サブデューでの一連の物かと、しかし素晴らしいですね、レオン様の勇姿を壁画で、見れるとは』
うっとりしているソフィアを放置し、壁画を見ていくと、少女と英雄が神とおぼしきものを撃つ絵、これは戦神を撃ち破った物だ、そして、その少女と英雄が神台で儀式をしてる絵、更には、その二人が光に飲まれる壁画、よし次からだ
「おい!」と思わず突っ込んでしまったが、その次が無い、ここからだろ?見たいのは!
本当にクソすぎるわっ!これだけ期待されて今までの事で終わりか?
すると奥に小さな扉があり、ここか!?と気が逸り、足早に扉を開け中に入る
ソフィアも慌てて俺の後に続くと、眩い光が俺達を包み込んだ




