1、重課金者
俺はソシャゲーの重課金者だ、それも生半可な課金ではない
こうなった経緯から簡単に説明したいと思う
初めてハマったゲームは大型MMOで14歳の時である、夢中になってプレイし仲間とギルドを作り1年が過ぎた頃には60人を率いるトッププレイヤーでありトップギルドになっていた
ギルドで最高装備のドロップする敵は独占しPVPでも負けなし最高最強のギルドを率いてまさに王様になったかのようだったわけだが
仲間から「やり過ぎだ俺らはついていけない」とギルドを抜け新たにギルドを作ると言うのでギルドマスターを明け渡し俺だけギルドを抜けそのままゲームも引退した
そこからはゲームに触ることも無く高校を卒業後、調理の世界に進み海外で経験を積み帰国後トントン拍子に自分の店を持った、この時23歳である
そこから店が評判になりTV出演を皮切りに各メディアにも取り上げられ店舗も増え名ばかりのコラボ商品の大ヒットなどもあり26歳の時には若くして大成功を収め現場を退き経営を主に部下の育成などをしつつ悠々自適の生活を送っていた
そんなとき出会ったのがソシャゲーの「サブデュー戦記」である
このゲームは何処にでもあるような物でガチャで使役する戦士やモンスターを増やし自キャラと共に敵を倒すといったありふれた物だった
前述のMMOの件もありゲームを避けて来たのだが、ふと目にした広告にサブデュー戦記の文字と赤い髪の女性キャラが剣を構える姿に目が止まり軽い気持ちで始めてみることにした
軽い気持ちで始めたので自キャラの名前容姿はデフォルトのまま金髪の西洋風の男で名前はレオン、ベタである
目当ての赤い髪の女キャラは広告にも乗せるくらいだし、どうせガチャだろうと思い進めると直ぐにそのキャラは出てきた、いわゆるナビゲーターキャラのようである
そのキャラの名前はソフィアと言い開始から使えるキャラでナビ的な役目が主でチュートリアルが終わるとソフィアを解雇いわゆる売却すると無課金の救済としてガチャ十連チケットが手に入る仕様になっていた
ソフィアの強さもガチャに表記されているハズレキャラよりさらに低いステータスだったのだが、俺はソフィアに目が止まり始めたのもありこのソフィアを育成していこうと決めていた
このサブデュー戦記は自キャラを含めて5人PTまで組めるのだがソフィアと自キャラの二人では序盤直ぐに勝てなくなった、ガチャを引いて使役するユニットを増やし進めようかと思ったのだが、せっかくまた始めたゲームである、尖ったプレイをしようと決めた
まず武具ガチャを回し装備から変えた、大当たり1%の一回300円のガチャである、ソシャゲーの相場なんてものは知らないが高いし悪どい商売だなと思いつつ、仕事一筋できて趣味も無くきたわけだしパッと使ってやるかと思い回しに回してみた
ソフィアと自キャラの剣2本に防具2つ大当たりで揃えたわけだが気付けば15万かかっていた、そこからその装備を使いガンガン進めて行った、しかしある程度行くと幾ら強武具を着けようとも所詮弱キャラとのペアでありまた詰まることになった
そこで改めて強化ポイントを探すと、このサブデュー戦記ではスキルを好きにカスタマイズ出来るようになっており本来は5人PTでスキルによって役割分担をしつつ進めていくものになっている
このスキルも戦闘での報酬などで手に入れるほか当然のように課金スキルガチャなる物があり例によってガチャで手に入れることとした
ここで問題はソフィアと自キャラの二人でどう役割を振り分けるかである
MMOの知識から言うと盾役、近接攻撃役、遠距離攻撃役、回復役、補助役こんな感じで構成するのが基本的なところだが、MMO時代に俺は盾役で支持を飛ばしつつギルドを率いていた
苦い思い出があるのと、この目に止まったソフィアを全面に押し出す形を取るようなスキル構成を思案する
そこで決めたのがソフィアを盾役兼、攻撃役、自キャラを補助兼、回復役である
方針を決めてスキルガチャを回し目当てのスキルを手に入れセットしようとすると、ここで面白い要素があった
このスキルは3つまでセット出来るのだが物によってスキルから得る魔法などの効果を指定出来るのである
例えば回復魔法や補助ならPT全体、単体指定、さらに登録したキャラのみ指定と絞って行くことで効果を高められる仕様だったのだ
そこでソフィアのスキルはデフォルトの剣術に加え火魔法、聖魔法、自キャラはデフォルトの剣術、補助魔法、自己回復にきめセットする
指定した内訳と説明は、火魔法は炎による攻撃が主で敵単体、聖魔法の幅が広く攻撃や防御、スキルレベルが上がると回復も使える万能の物でPT全体に指定
自キャラの方は補助魔法は味方強化が主でスキルレベルが上がると味方のHP、MPを徐々に回復といったもので指定をソフィアのみ登録をした
要は自キャラはソフィアをひたすら強化して、ソフィアに無双させようということである
装備、スキルを整えて次に用意したのは課金回復薬である10個500円の序盤では破格の回復効果をもつ物を上限一杯まで買い、他に経験値、スキル熟練度アップの1ヵ月パスを購入し再び戦闘を進めて行く
このあと遅れてスマフォにきた請求額はおよそ50万で乾いた笑いが出たのだが例えソシャゲーとはいえ久々のゲームということで高揚感が勝り続きを進めることにした
そこからは俺はドンドンのめり込んでいった、後で知ったのだがこのゲームの開発元はマイナーで弱小会社だったのだが、俺の課金額と比例してゲームの規模も大きくなりCMなども良く見かけるようになる
前述の通り、金はあるのである、運良く成功してもてはやされ金や名誉らしき物もあるがどこか若い時にしたMMOでの立場に重なる物をリアルに感じそのなんともしがたい鬱憤をこのサブデュー戦記に突っ込みまくった
ゲームが成功を納めて行くなかで様々なアップデートがされ転生システムやPVP、武具強化など課金要素も爆発的に増えていった
その中で俺は得ている収入の中で慎ましく生活出来る費用を除き、全てをこの課金に費やしていった
そして4年の月日がたったころ最弱キャラのソフィアと自キャラのみで圧倒的な強さを手に入れ討伐系やPVでもランキング1位を維持する有名プレイヤーになっていた
この頃になるとソシャゲーから始まったこのサブデュー戦記はマルチプラットホーム展開をしており、PC版や家庭用CS、果てはアミューズメントパークでの展開などしており、ついに自己のデータでアミューズメントパークにてVRに対応が開始されていた
俺はというと、それらには手を付けずひたすらスマフォにてプレイをしていた、本来PVなどを始め操作性の増えた他プラットホームでの方が優位に進めるのだが、俺には関係ない
圧倒的な課金によって産み出されたその強さは他を一切寄せ付けない物であった
まさに札束で殴るゲームを満喫し他者とも協力プレイはせずにソロを満喫していた
そして「終わったな」慎ましい部屋の中で独り言をもらす
最高レアリティー武具アクセサリー強化+99、転生レベル99+99、あらゆる課金の手を尽くし時にはドロップ報告が上がったプレイヤーにゲーム内課金アイテムとのトレード、いわゆる公式公認RMTなど手を尽くし、ゲーム内初のストーリー上の凶悪極まりないラスボスの単独撃破を成した
最弱だったソフィアはステータスもフルカンスト、装備効果もフルカンスト、自キャラの補助も加わりまるで嘘のようなダメージを叩きだし他のトッププレイヤーとの与ダメージ差は文字通り数桁違い、被ダメージはトッププレイヤー相手でも9999あるHPの100も減らずそのダメージも補助により一瞬で回復する有り様である
ここまでかかった金額は○億円である
他プレイヤーはドラゴンなどのキャラをはじめ、天使や悪魔など様々な種族など駆使するなかで、ナビキャラのただのヒューマンのソフィアがこのゲームの正に頂きに到達した充実感で一杯だった
そして一週間、日課になっている課金もすることなく、ある種の燃え尽きた感のなかサブデュー戦記をプレイすることなく日々を送っていると一通のメールが開発元から届いた
内容は日々のお礼に加え新規に覚醒転生機能を追加予定なのでつきましては当社経営のVRアミューズメントパークにて覚醒転生を先行して御試し頂きたいとのことであった
それを見て俺は声を出して笑ってしまった、まだ運営は俺から金をむしりとりたいのかと
覚醒転生の条件はまさに鬼畜、キャラフルカンスト、武具フルカンスト、その他掛かる費用ゲーム内通貨やら様々な触媒などあらゆる面で無理ゲー、この俺しか到達出来ない内容だった
しばし笑ったあと「よしっいくか」と独り言をもらし指定のアミューズメントパークに向かったのだった




