吉田さんは魔女かもしれない
6月最終日の休日の朝、教室に美化環境委員会とボランティアが集まっていた。
実のところこの地域の祭りがつい先日行われた。
学校は創立記念日ということもあり、休みだった。
土日月と3連休の最終日。
地域の祭りが行われた神社や広場のごみを回収するのがこの教室に集まった人たちの仕事だ。
月曜日が休みになってもすることがないので地域貢献と成績稼ぎに参加した。
「よろしく吉田さん」
「あの時の!」
そして偶然にも吉田さんとペアになった。
「じゃあきょうかもがんばっち~」
吉田さんのクラスメイトと思われる人がそんな声とともに移動する。
「私たちもいこっか!えーっと」
「佐藤です」
「おっけい!いこう佐藤君」
神社近くの道の担当になった僕たちはごみを拾うトングと落ち葉や草などを掃くための箒を受け取りにいった。
迷わず吉田さんは箒をとり片手で肩に箒を立てかけて歩いていく。
余りの迷いのない行動にあっけにとられた僕は少しだけ静止していた。
ゴミ袋とトングを受け取り吉田さんの後を追う。
吉田さんはなぜか機嫌が良い感じだった。たぶん竹箒が好きなんだろうな。
しかし先に行かれすぎると困る。
自分はあまり土地勘というものがない。
方向音痴というわけではないんだけどもどうも道がよくわからない。
「待ってよ吉田さん」
そう言って吉田さんを呼び止める。
自分の世界に入っていた吉田さんは、声をかけられて振り返る。
朝日を背に振り返った吉田さんのシルエットはまるでーー
「魔女みたいだ」
気づいたら感想が口から出ていた。
「え?」
吉田さんは異様に慌てていた。
「あ、ごめん気にしないで」
女子になんて変なこと言ってんだ僕は。
その後の清掃活動はどうもぎこちなかった。
吉田さんは、女子は箒をもって歩くのが最近のファッションで~というファッションの話をしてくるし…
僕は何で変な独り言を言ってしまったのか反省している(ファッションは興味がないのでよくわからない)ためうまく会話できなかった気がする
そんなこんなでこの清掃活動で覚えていることはあまりない。
一つだけ言えることは、あの朝日を背にした吉田さんを見て僕は思ったのだ。
ー吉田さんは魔女かもしれないー
ここまでで最初の出会いの話は完結。




