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7 勇者Lv1−2

 午後。


 ようやく剣が渡された。


 だが――重い。


「持てない……」


「持て」


 短い。


 振り上げた瞬間、剣は床に落ちた。


 乾いた音。


 兵舎が、静まる。


 ヴァイレンが剣を拾い、彼女の前に突き立てた。


「勇者」


 初めて、そう呼んだ。


「ここじゃ、強い奴だけが生きる」


「性別も出自も、神も関係ねぇ」


 一歩、近づく。


「泣くなら夜に一人で泣け」


 それだけ。


 彼女は唇を噛んだ。


 悔しい。

 怖い。


 でも――


 もう一度、剣を掴む。


 腕が震える。

 指が白くなる。


 それでも、立つ。


「……まだ……」


 息が荒い。


「……まだ、やれる……」


 ヴァイレンは、ほんのわずかに目を細めた。


(折れねぇな)


 それだけ思う。




 夜。


 兵舎の隅。


 膝を抱え、座り込む。


 勇者と呼ばれても、何もできない。


「……私……」


 小さな声。


「……何なんだ……」


 その背に、毛皮がかけられた。


 振り向くと、ヴァイレン。


「寝ろ」


 ぶっきらぼうに言う。


「明日もきつい」


 それだけ残して、去っていく。


 毛皮を握りしめる。


(……でも)


(……死にたくは、ない)


 その夜。


 魔界で初めて、


 “生きたい”と思った。

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