表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黒狼の航路(ブラックルート) ― 魔王戦記  作者: 一場れい
第1部勇者動乱編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
17/100

11 蒼の影

 黒都アトラエ外縁。


 黒の巡回隊が押されていた。


 蒼の偵察兵。


 数は少ない。だが速い。


 黒兵の一人が弾き飛ばされる。


「くっ……!」


 蒼の刃が、喉元へ落ちる。


 その間に――


 割って入った影。


「下がって!」


 セレンだった。


 まだ荒い呼吸。

 それでも剣を構える。


 蒼の兵が一瞬、目を細める。


「……角がない?」


 次の瞬間、刃が走る。


 速い。


 セレンは受けた。


 受けきれない。


 脇腹に熱が走る。


「っ……!」


 赤い線が滲む。


 息が乱れる。


 足が、止まる。


 蒼の兵が踏み込む。


 終わる。


 そう思った瞬間。


 地面が、震えた。


 風が裂ける音。


 ──轟。


 何かが空を穿った。


 蒼の兵の身体が、地面から消える。


 数十歩先。


 石壁に突き刺さった。


 丈八蛇矛。


 壁を貫通して、なお震えている。


 一拍遅れて、衝撃波が来た。


「……間に合わなかったかと思った」


 低い声。


 ヴァイレンが歩いてくる。


 金の瞳が、蒼の残党を射抜く。


 誰も動けない。


 ただ、蛇矛の残響だけが空気を裂いている。


 セレンは膝をついた。


 脇腹を押さえる。


 熱い。


 息が荒い。


「……ごめ……」


 言い切る前に、視界が揺れる。


 ヴァイレンが視線を落とす。


 血。


 深いが、致命ではない。


「前に出るな」


 怒鳴らない。


 だが低い。


「弱ぇなら、後ろにいろ」


 セレンは悔しそうに歯を噛む。


 でも──


 その目は、折れていない。


 蒼の兵はすでに退いていた。


 偵察。


 様子見。


 だが。


 ヴァイレンは壁から蛇矛を引き抜く。


 石が崩れ落ちる。


「……蒼、動きやがったな」


 胸の奥が、静かに波打つ。


 共感、兄の気配。


 盤面が動いた。


 セレンの呼吸はまだ荒い。


 それでも、立とうとする。


 ヴァイレンは一瞬だけ、手を伸ばしかけて――


 やめた。


「歩けるか」


 短い問い。


 セレンは頷く。


「……はい」


 ヴァイレンは振り向く。


「次は、間に合わせる」


 それが誰への言葉かは、言わなかった。


最後まで読んでくださりありがとうございます。

面白い、続きが気になると思われた方は、ぜひ下にある【☆☆☆☆☆】評価&ブックマークで応援をしていただけると嬉しいです。


感想もお待ちしております!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ