【第1話 アラフォー異世界に立つ!】
投稿テストを兼ねてとりあえず投下します。
初投稿なのでよくわかっていませんがお許しを。
気温15度ぐらいだろうか?
暑くもなく寒くもない気持ちの良い朝だ。
昨晩の同僚達との呑み会では二日酔いレベルの酒を呑んだ覚えがあるんだが、このスッキリ感はなんだろう?
今日は日曜日なので会社も休みだ。
嫁も子供も彼女もいない俺。
もちろんバツも予定も無い。
シャワーでも浴びるかとベッドから身を起こして大欠伸。
嫌がる瞼を根性で開けてみると驚愕で目が点になる。
「なっ!?」
よく空いた口が塞がらないって言うが、まさか自分がそうなるとは…
一般的な長さで軽く茶色に染めていたはずの髪。
なぜか真っ白になっていて腰のあたりまで伸びている。
病衣のような白いワンピース。
そこから覗く手足もまるで病人のように細く、白い。
目の前には見たこともない部屋。
病室というわけでもなさそうだ。
20畳ぐらいの広い個室で簡素なベッドと木造りのデスク。
本棚に衣装ケースの様なもの。
部屋の中央には怪しい魔法陣。
「なんだこれは!?」
声高っ!?
立ち上がってみると異様なまでに視点が低い。
身長180近くあったはずなのだが感覚的には140cmぐらいだろうか?
しかも、アレが無いのだ。
声といい体といい、12歳前後で中性体という感じである。
「……痛い! 夢じゃ無さそうだな?」
整理しよう。
昨日19:00まで残業、その後4人で居酒屋へ呑みに行って23:00頃に解散した。
で、タクシー拾って高木を送ってから帰って来たのが24時前。
運転手に金払ってエレベーターに乗ったのも覚えている。
後はいつも通り、怠いから服だけ着替えてそのままベッドへダウンしたはずだ。
だが、何故か玄関のドア開けた記憶が無い。
何がどうなっているんだ?
っていうか何処だ、ココ?
[Íoslódáil]
「はあっ?」
頭の中に突然声が響く。
自分と同じ声質なのだが、どこか無機質な感じの声だ。
[言語、ライブラリ、ダウンロード、完了]
[今、生体、動、何?]
「ま、待ってくれ、俺にも何が何だか…」
テレパシーというのだろうか?
思考が直接流れ込んでくる感じである。
[記憶、検索、許可、要求]
なんだとっ!!
「待てっ! それは不許可だ!」
記憶検索ってヤバすぎるだろう!
もしも恥ずかしい記憶など見られたら…
[恥ずかしい、記憶?]
「あ、いや。
そこは空気読んでスルーして欲しかったんだが…
あと、心の声を聞くのも不許可だ! 不許可!」
[……]
「と、ともかく、先ずはお互い自己紹介といこう。
俺の名前は片桐 仁、君の名は?」
[ホムンクルス、擬似人格、コード、エイリス]
「ホムンクルス!?
この体はホムンクルスなのか?」
[Iúpatar、管理、ホムンクルス、生体]
待て待て待て。
話しの流れについていけないんだが!?
だいたい現実にホムンクルスなんてものがあるはずが無い。
でもコイツはホムンクルスだと言う。
仮にだ、もしこの体が本当にホムンクルスだとするならば…
「エイリス…でいいのか?
なんで俺がホムンクルスの中の人になっている?」
[10時間前、開始、旧生体、老朽化、新生体、コア移植、エイリス、インストール、実施。
プロセス、外部、不明、アクセス、確認]
「すまない、途切れすぎてわからん」
[エイリス、データ、インストール中、割り込み、体、奪う]
「……」
[……]
なんだとおおおおおおおおおお!?
単語だけ聞くと俺が美少女を襲うロリコンみたいになってるじゃないかっ!
断じて認めん!
認めんぞ!
だがしかし!
美少女なのは認めよう!
[現在、新生体人格、片桐 仁、エイリス、ダブル]
「ん?」
[片桐 仁、エイリス、同一、管理者、義務、発生]
「フルネームでなくてジンと呼んでくれ、背筋が痒い」
[ジン、Iúpatar管理者魔法、与]
管理者魔法ってなんだ?
[Iúpatar管理者魔法、受。Yes or Yes]
「おいっ!
選択肢がYesしか無いんだが!?」
[拒否権はありません]
言い切ったぞこいつ。
カタコトじゃなくはっきり言いきったぞ。
とりあえず話しを進めたいのでYesだ。
[Iúpatar管理者魔法のコピーを開始します。
……終了致しました。
続いて魔法の解凍を行いますので、魔法陣の中央で上を向いて寝てください。
準備はよろしいでしょうか?]
さっきまでのカタコトはなんだったんだ?
「準備OKだ」
[はい、解凍を開始します]
「ぐうわあああああああああああっ!!」
視界が真っ赤になり、頭に激痛が走る。
ヤバい!
こいつはマジで脳が焼き切れる!
[負荷過剰、解凍速度を低下します]
飛びかけた意識が戻ってくると同時にいくつかの単語が頭を過ぎる。
頭痛の方は少しマシになったが、それでも唇を噛み切って堪えるのがギリギリだ。
こんなレベルの痛みが30分程続く。
…………
[解凍終了致しました]
床に這い蹲り噛み切った唇からは血混じりの涎が垂れる。
目からは赤い涙が溢れ何があったかさえ理解できない。
[容量不足の為処理能力が足らず高負荷になってしまいました。
生きていますか?]
「ぐ…あ…」
声にならない声で辛うじて答える。
[少し生体再生が必要ですね。
ゆっくりとお休みください。
こちら側の記憶領域の整理が終わる頃には目が覚めるでしょう]
沈んで行く意識の中で、様々な現実の記憶が浮かんでは消え、浮かんでは消えていった。
忘れてしまっていた記憶、蓋をして思い出さないようにしていた記憶、忘れたいのに忘れられない記憶。
ああ、こんなこともあったなと走馬灯の様に浮かんでは消えてゆく。
これはかなりヤバくないか、俺…
どれくらい時間が経ったのだろう。
何故か美味そうな匂いがする。
どうやら生きてはいるようだ。
体にも痛みは無く服も新しい物に着替えてある。
[目が覚めましたか?]
俺自身と言ってもいいのだろうか?
ホムンクルスの体はベッドに腰かけた状態だった。
見渡せばデスクの上に鉄製の鍋の様な物が置いてある。
おそらくはソレが匂いの元だろう。
[ずいぶん時間が経ちましたのでお腹が空いているでしょう?
ジンの記憶にあった雑炊という物を作ってみたので食べてください]
ちょっと待て。
今聞き捨てならないセリフをサラっと言わなかったか?
[人間とは食事によりストレスの回復が早まるという記憶が有りましたので、それを…]
「待て待て待て!
記憶の検索は許可していないぞ?
何故俺の記憶の中身を知っている?」
[管理者魔法インストール時に記憶の容量が足りませんでしたので、記憶の圧縮並びにソート、不必要と思われる断片化した記憶の消去を行いました。
今後の生活に支障をきたすものではありませんのでご安心ください]
「ってことは?」
[はい、あんな記憶やこんな記憶も全て整理させていただきました]
…終わったな。
我ながら短い人生だったと思う。
こんな美少女にアレを見られたとあっては切腹モノだ。
[この生体は未分化形態ですのでああいった行為はできま…]
「ああああーーーーーっ!
とっ、とりあえずご飯食べても良いだろうか?」
[噛み切られた唇は魔法で治しておきましたので痛みは無いと思われます]
死にかけた事といい色々聞きたい事が山程ある訳だが、今は先ず食べさせてくれ。
タイ米のような細長い米っぽい物をベースに、見た事が無い小ぶりのキノコと色鮮やかな山菜がトッピングされている。
その上から何かの卵を溶いて入れてある感じだ。
味付けは塩と…なんだろう?
醤油では無いのだがとても似た味がする。
とてもシンプル味付けでさほど違和感も無く美味しく頂くことができた。
欲を言うなら、これであとお漬物があれば完璧だったのだが。
「ふーーーっ!
おかげでお腹も気分も落ち着いた。
ご馳走さまエイリス」
[味の記憶データから近い材料で作っただけですので]
「で、とりあえず説明してくれるな?」
[何からご説明致しましょうか?]
順に聞くことにしよう。
「ココは何処だ?」
1番の疑問である。
[Iúpatarの管理者用ルームです]
「いや、そういったことは今までの話しの流れでわかっている。
俺が知りたいのはこの世界のことだ」
[魔導暦4222年、太陽系地球と呼ばれる惑星上です。
Iúpatarの現在地は太平洋赤道上空といったところでしょうか]
そうそう、俺的にはこういう回答が欲しかったのだ。
「魔導暦ってことは西暦だった現代より過去か未来なのか?」
[記憶から察するにジンの世界とこの世界に連続した関連性はありえません]
どういうことだ?
[この世界とジンの世界、始まりは一緒だと思われますが違う時間を進んでるということです]
なるほど、要するに世界線が全く違う世界だということか。
「次の質問だ。
とりあえず俺が自分の世界からこの世界に飛ばされたことは理解した。
で、どうやって飛ばされたのか?
戻れる可能性はあるのか?
わかる範囲でいい教えてくれ」
帰れるか?
帰れないか?
切実な問題である。
まあ、帰ったところでつまらない日常が待っているだけなんだがね…
[ジンは意識がアルコールにより混濁していた様ですが、乗っていたエレベーターの中でこちらの世界へのパスが繋がって飛ばされたようです]
それで自宅のドアを開けた記憶が無いのか。
[帰還方法については記憶データからでは具体的な方法が発見できません。
パスを繋げる事ができれば戻れそうですが]
「了解だ。
パスを繋げる方法を探すしかないってことだな」
[そうなりますね]
「ちょっと脱線になってすまないが、俺の世界とこの世界では違う時間を進んでいると言ったな?」
[はい、言いましたね]
「何故わかった?」
[ジンの記憶を見ましたが、そちらの世界では時間に干渉することはできないのでしょう?
こちらの世界では魔法で時間に干渉することができます。
難しければあまり深くは考えない方がいいでしょう]
「そういうものなのか?」
[そういうものです]
「ってことは俺の頭が足りないってことか?」
[正解ですね、正直驚きました]
コノヤロウ。
「ココ、怒るとこだな?」
[チガイマス]
ヌケヌケと言いやがる。
[続いて管理者魔法についての説明に入りますがよろしいでしょうか?]
全然よろしくないんだが!?
[管理者魔法には三つの基本コードがあります。
γ系は重力操作を主とした基本コードで、飛行や重力場作成などができます。
ε系は時間加速の基本コードですが、θでの範囲指定が必須です。
θ系は空間操作の基本コードで、他のコードと組み合わせて使用する機会の多い汎用コードです。
また、空間移動やそういった施設のコントロールにも使用します。
他にも多種多様な基本コードがありますが、ジンが使用できるコードはこの3つです。
組み合わせ例として、θ系コードで空間範囲指定を行い、範囲指定された空間をγ系で超重力化するなどがあります]
「な、なるほど…」
[難しいでしょうか?]
は、半分くらいしか理解できん。
「魔法ってのは?」
[魔法というのは先程の基本コードの組み合わせで作ります。
先程魔法で唇の傷を治したと言いましたね]
「言ったな」
[傷の部分のみを範囲指定してその範囲を96時間加速させました。
結果は見ての通りです]
「時間が進んだことで自然に治癒したワケだな?」
[正解です♪]
嬉しそうに聞こえるのは気のせいなのだろうか?
なんだか随分と人間らしくなっているような気がするんだが。
[問題です。
1人の人間を範囲指定して1000年程加速させた場合どうなるでしょうか?]
「考えたくも無いが死ぬんだろう」
[骨も残さず消滅します♪]
それは可愛く言うセリフではないっ!
サラッと言うセリフでもないわっ!
エイリス、怖すぎだぞっ!
[ちなみにγ・ε系はアルティメットコードになります。
アルティメットマジックGETおめでとうございます♪]
「ありがとうって言いたいところだけど、その言い回しはまさか…」
[はい、ジンの記憶を参考に会話しております]
「…お前がヤバいやつだってのはよーくわかったっ!」
[……]
「なんか言えよっ!」
[ご飯作るのやめますよ?]
「ごめんなさい。
申し訳ございません。
今後ともよろしくお願い致します」
いや、飢え死にとかありえないだろ?
食材だって何が食べれるかわからない。
毒キノコ食ってあの世行きとかマジで笑えん!
「そう言えばここに居るのってエイリスだけか?
他には誰も居ないのか?」
[管理区域には私しか居ませんが、城塞遺跡に翼人達の小さな街があります]
何故ソレを早く言わん!
翼人だと!?
街だと!?
「エイリス! 案内してくれ!」
[構いませんが、おそらく洗礼を浴びる事になると思いますよ?]
「殴られたり蹴られたりするのか?」
[そう言った事では無いですが…
論より証拠ですね。
体験するのが早いでしょう]
後になってからわかったのだがエイリスは絶対Sだ。
間違いなくSだ。
賢明な皆さんならおわかりであろう。
ここは天空である。
大空の彼方である。
ならばやることなんて一つしか無い。
お読みいただきありがとうございました。




