心からのツッコミ
ここは清廉たる神殿の、祭壇がある大広間。そこで女神から役目を与えられた精霊エレノアが、永い眠りから目を覚ました。
(ようやくこのときがきたのですね。女神さまから遣わされた勇者の到来。今ここから世界の命運をかけた戦いの幕が上がる……)
エレノアの役目。それはこの勇者の回廊の試練を乗り越えた勇者の資格がある者に、女神が用意した力を与え導いていくというもの。永い眠りから覚め、いよいよ自身の役目を果たすときだと、内心わくわくしながら口を開く。
「よくここまでたどりつきました。私は女神さまに遣わされた、精霊エレノア。勇者の資格がある者に今力を授け……」
そしてエレノアは目を開け、たどり着いた未来の勇者の姿を見ようと。
「え?」
しかし目を見開いた瞬間、信じられない光景が。そのせいで思わず言葉も途切れてしまう。なぜならエレノアの目の前には一人の少年と、三人の少女がいたのだから。一瞬勇者が一人で残り三人は付き添いなのではと淡い期待をしたが、現実は違った。この場にいる四人全員から、同等の女神の力を感じたのだから。それはつまり女神がこの四人に力を与え、勇者としての使命を託したのだ。問題は与える力は一つだけしかないということ。これよりエレノアはこの四人の中から一人、選ばないといけなくなってしまったのである。その今後の未来に大きく関わる、責任重大な役目を負わされたエレノアは。
(え~~~!? 女神さま!? 四人も未来の勇者がくるなんて、聞いてないんですけど~~~!?)
目の前の現実に対し、心の中で盛大にツッコミを入れるエレノアなのであった。




