25 8月10日 デイリーニュース紙 切り抜き
八月十日 デイリーニュース紙 切り抜き
ウェイン氏、犯行を認める。
昨日、当局によって拘束されたガードナー伯爵夫妻殺害事件の最重要容疑者であるウェイン・ベケット氏だが、昨日のうちに伯爵夫妻の殺害を自供したと、当局により公表された。
当局が本人談として発表した内容は以下である。
元々、幾つかの騒乱に係わったとして当局にて追われていたウェイン氏は逃走資金を得ようと実家であるベケット男爵邸に立ち寄ったさい、先代ガードナー伯爵に先祖伝来品と伝わっていたセメレーを描いた絵画が不当に横領されている旨を父親で有るベケット男爵から聞き及び、同伯爵家に対して怨みを抱いたとの事である。
まず、七月三十一日未明、セメレーの絵画を奪い返しにガードナー伯爵邸に忍び込んだが、この時は目的を達成する前に家人に気付かれた為、絵画は奪えずに逃走した。
その時に多少の金品は持ちさっており、伯爵夫妻を殺害したグルカナイフもその時に持ち去った品の一つだという。
そして翌々日の、八月二日未明、再びガードナー伯爵邸に忍び込んだ。
この日を選んだのは、まさかの短期間に二度も忍び込むと思わないだろうという心理と、また当夜は風雨が激しく吹き荒れており、物音がかき消されるだろうとの思惑があったという。
首尾よく同邸宅に再び忍び込んだウェイン氏だったものの、どう言った事情か誤ってガードナー伯爵夫人の寝室へと入り込んでしまい、侵入者に気が付いた同夫人ともみ合いになった挙句に殺害してしまったという。
また、その時、同室内にはガードナー伯爵もいた為、物音に気が付いて逃げようとした同伯爵を追いかけ刺殺した。
同伯爵の遺体を古井戸に投げ込んだのは、とっさに思い付き、夫婦のもつれによる無理心中を演出しようとしたもので、伯爵を古井戸まで持ち運ぶ際に伯爵の義眼がウェイン氏のポケットに入り込んだと見られている。
以上が、当局が発表したガードナー伯爵夫妻殺害事件の真相である。




