ー8ー
「本っっっ当に申し訳ありませんでしたっ!!。」
大助は土下座をしながら謝罪した……亀に。
「全くじゃ!!命の恩亀に何て事をするんじゃ!!。」
亀は大きい石の上から大助を見ながら叱咤した。
何故こんな状況になっているかというと……。
ー30分前
「ビックリしたぁ……亀、喋るとか有り得ないし。」
大助はパニック状態から立ち直って、すぐ側にあった木に寄りかかりながら呟い。
今までの人生の中で、喋る亀に遭ったのも、亀に助けられたのも初めてだった。
(だけど……あの亀が助けてくれたんだよな)
実際、あの亀がいなかったら、大助はスライム(仮)に喰われていただろう。
今、自分が何処にいるのかもわからない状況で、初めて遭った会話の出来る生物……亀だけど。
(……悪いことしたな)
大助はゆっくり立ち上がると、亀をぶん投げた方へ向かった。
(ちゃんとお礼言わないと)
草むらを掻き分けて亀を探す。
しかし、明かりになるものもないので判り辛い。
亀を探しながら草むらを進んでいくと、拓けた場所に着いた。
小さな池と大きい石があるだけ。他は特に目立つものはない。
(少しあの石の所で休もう)
そう思って足を1歩踏み出した……瞬間。
ーイタタタタタッ!何するんじゃ!!
足の下から声が……
(え?)
大助はゆっくりと足を持ち上げる……と、そこには石が……。
(え??)
よく見ると石が動いている……。
大助はその石を掌に……。
「お主……喧嘩売っとるんか!!。」
……喋る亀だ。
「えっと……先程の亀さんで?。」
大助は恐る恐る聞いてみた。
「……違う。」
亀は大助を睨み付けながら言った。
「わしは、さっきお主の命を助けてやったのに、お礼もなくいきなり投げられて、挙げ句足で踏まれた亀じゃ。」
その瞬間、大助はフリーズした……。
ー現在
その後、大助は亀を丁重に扱って、池の近くにあった大きな石の上に乗せ、心を込めて土下座していた。
「本っっっ当に申し訳ありませんでした!!。」