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祝福されなかった王子
フェアネス皇国立魔法学院の学院長ユリシア・デ・フライシスカは困っていた。
いくら親友であるマーリンの頼みでも、魔法が使えなくては入学させることが出来ない。
クリスが産まれた時に立ち会った彼女は、クリスに聖痕、王家のものに有ってしかるべき魔力の証が無いことを誰よりも良く知っていた。
同時に生まれたマレリウス王子には、風と炎の二つもの証があったというのに。
有り得ないことなのだが、ユリシアには神がお間違えになったとしか思えなかった。
もしクリスが双子で無かったなら、そしてもう一人に聖痕が無かったならば、不義の子として王妃ともども処刑されていたところだ。
王家にとって神々の祝福はそれほど大きい。
あの日、宮廷筆頭魔術士マーリンは神への呪いの言葉を吐いて、雷にうたれ全ての魔力を失しない、若さまで奪われた。
老人となったマーリンはクリス王子を抱いて宮廷を去った。
全てを拒絶したマーリンの背中をユリシアは今も夢に見る。
ユリシアは血で一言だけ書かれた手紙を見てため息をついた。
”クリス・デ・マーリンに入学試験を受けさせてやってくれ。”
何も知らないクリスがやってくる。
ヨシュア・デ・マーリン
宮廷筆頭魔術士、王子誕生当時28才
ユリシア・デ・フライシスカ
フェアネス皇国立魔法学院の学院長
現在35歳




