弓は本で覚えた
襲い掛かってきた黒い獣の動きがすごくゆっくりに感じた。
ぼくは自然な流れで足を踏み出し、
重心を定め、
弓を構え、
腕を上げて打起こし、
引き絞る。
なんとなく見えている魔獣までの軌道の上に矢を置き、
放つ。
矢が光りをまとって黒い獣の赤い口に飛び込み、頭蓋骨を突き抜けて止まる。
ふ~
自然に弓が下がり、獣は僕の頬を掠めて、後ろに落ちた。
あとで考えると、12才のぼくに魔獣が、会話が出来るほどの魔獣がやっつけられるなんてとても信じられないことなんだけど、そのときは怖さが限界点からぶっ飛んでいたし、矢が刺されば猪だって死んじゃうんだから、運が良かったんだと思ってた。
その後、ぼくは本に書いてあった作法にしたがって、魔獣を解体し、取り出した光る石を食べた。
大きい黒い宝玉も取れたんだよ、すごいでしょ。
ぼくの胸のあざは少し形を変えて大きくなってた。
ぼくは狩の仕方や、弓の引き方とか全部本で覚えたんだよ。
おじいちゃんも、畑の種をまくのにも、いちいち本で調べてた。
ホント、村に来るまでどうやって生活してたんだろうね、ぜんぜん教えてくれなかったけど。
猪が獲れたら魔獣と一緒にいかだに乗せて川下りで帰ろう。
もうすぐ、お父さんとお母さんが帰ってくるんだ。
おじいちゃん
背が高くってひょろひょろっとした感じ。
ちょっとたれ目の優しいおじいちゃん。
姿勢は良かったけど、あまり力は強くなかったなぁ。
本に書いてあるカレンダーどおりに雨の日に水をやったりとんちんかんな事もしてた。




