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ドラゴン食べちゃった  作者: よもぎだんごろう
12才 竜の帝王
13/43

失われたもの

ユリシア学院長目線です。

シェリーと二人で訓練をしているクリスたちを見ています。

ほんのり桜色に上気した頬、少し潤んだものうげな瞳、

にくったらしいことに、どこから見ても恋する乙女。

これがもとクラッシュキッドと呼ばれていた、悪童と同一人物なんだろうか?

わたしは十数年前の同級生にしていたのと同じように彼女の肩に手を置いて言った。

「ねぇキッド、大人になってそれ?」

彼女は眼下の訓練場で戦っている二人から眼を離さないまま、

「その名前を使わないで下さるかしら。」

以前とのギャップでどうも気持ちが悪い。

「クリスにあわせて変化したから、6年もしないうちにボンキュッボンさ。」

ぁ、やっぱり変わっていない。かなり無理をしてますね。

下では、ザガードの火の出るような猛攻をクリスが必死にしのいでいる。

「あのザガードってのやるね、クリスに力負けして無い。技で勝てるってのは当たり前だけど、真正面からあの馬鹿力を受け止めるなんて俺にはちょっと無理。ところで、俺もユリシアクラスに入りたいんだがいいよな。」

ポコンと頭を叩いて、

「口調、地が出てるわよ。入れてあげるけど、1年はクリスと別メニューよ、他の子達は魔獣の森で実習中。」

「他の人たちって王家のご子息達でしたわね。」

普通に会話が出来ないのかしらね、この娘って。

「ロビン・アームストロングって知っているでしょ?彼に引率してもらってるの、サポートにあの子達のガードがついてるから全く問題は無いわ。」

「へ~、じゃぁいっしょになるときにお願いします。」

クリスが吹っ飛ぶたびにビクッとしてる。かわいいわねこの子。

「話が変わるけど、エルフの森の結界が無くなったって大騒ぎしてるみたいだけど、あなた帰らなくていいの?」

「帰っても出来ることが無いしね~。サンクチュアリも使えなくなったし。」

今ぽろっとすごいことを言いましたよね。

「あなたサンクチュアリの聖域魔法なんて使えたの?」

「一瞬だけね、いまも術式だけは覚えているけど使えない。長老も使えなくなったんじゃないかな?」

「それってなに?」

「原始の魔道書って知ってるでしょ?あれで三つの魔法を覚えたんだけど、クリスが魔法書を真っ二つにしちゃったから使えなくなったの。」

わたしは自分の血が引いていく音を聞いたような気がした。

「それってもしかして。」

「真っ青になったから解ってるんだと思うけど、不死王ゼムとか見者ロアンに大神官ゼクリス、あと一人くらい死んじゃったのかもしれないね。」

原始の魔法書の力が消えた。どんな恐ろしいことになるのかさっぱり解らない。

「消えたのは不死の魔法とか継続的な魔法だけで、使いきった魔法は消えないみたいね、ほら。」

彼女の胸には、昔あった精霊王の加護の代わりに精霊王の証があった。

「この世界のトップ10の顔ぶれがかなり変わっちゃったけど、影響が出るまでたぶん10年くらいかかると思うわ。」

おそらく、その世界のトップ10に入ったであろう精霊王の笑みを見て、わたしはクリスがものすごく遠いところに行ってしまったような気がした。

ロビン・アームストロング

エルフ1番の弓の名手。弓を使うクリスが加わることを想定して、院長が選んだ。


見者

運命を見る人。過去を見る人。未来を見る人。賢者ではありません。

見てるだけの人


人間そう変わるものではありません。クリスはクリス

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