赤い旗の使者
クリスが入学してほぼ1年たちました。
夏至祭りが近い
「マリス殿下も13才になられた。今年は赤い旗の使者で賑わいそうじゃの。」
「どこのお使者が白い旗をお立てになるのでしょうか?」
「さぁ買った買った、今の一番人気は帝国のエリザベート殿下3.5倍、1枚100ガメルだよ~。」
各国間の紛争も無い平和なこの時代、王家の婚姻は、他の国々の疑惑を招かぬように、公式に旗を立てた使者によって交渉が行われる。姫を持つ国は赤い旗を立て、意中の王子の国へ使者を送り、まとまれば白い旗を並べて帰国する。申し込みは王子が13才になったその年の夏至祭りの10日前の日に行われ、白い旗は神の前で夏至祭りの日にわたされる。王子に定まった相手がいる場合には、夏至祭りの半年前から王宮の門に赤い旗が白い旗とともに掲げられる。
そして、皇太子マレリウス・ヴァン・ノルトが13才になった今年、王宮の門には赤い旗は無い。
庶民の婚約もこのころ行われることが多い。
「クリス夏至祭りは村に帰るのよね?」
「そうだよ、お父さん達が帰ってくるからね。」
「わたしも行っていい?ご挨拶したいから。」
「いいよ、びっくりすると思うけど。」
「エルフの長老にも報告したいんだけど、手紙に一言添えてくれる?」
「いいよそのくらい。」
そして王宮には大国小国あわせて17の国々からの使者が赤い旗を立てて到着していた。
「后よ機嫌を直してくれぬか。17カ国も使者を送ってくれたではないか。」
「陛下、マリスは自分で旗を立てたいって言ってたんですよ。それなのに断られるなんて。」
「そう言ってやるな、誰もが王宮に受け入れられるわけではない。その娘が恐れたとしても当然であろう。」
「でも陛下。」
「そう言ってやるな。」
マリスはクリスの「僕、男だよ。」の一言ですでに轟沈していた。
赤い旗の式典は、滑っての使者が集まって行われ、小国から順に口上が述べられる。
異変は最期から3番目のドルマン帝国の使者の使者の口上からおきた。
「我が、エカテリーナ姫をぜひ、【クリス・ヴェン・ノルト】殿下の后に・・」
さらに、小国ながらその格式で最期から2番目となるフェアネス皇国も続いた。
「我が皇女殿下の婿にぜひ【クリス・ヴェン・ノルト】殿下を・・」
最後の異民族の使者はいつものように黙って文箱をささげた。
閉鎖的な彼らは、儀礼として人の国に使者を送っている。
王族は赤い旗を出していない限り、使者の誰かに白旗を渡す義務がある。クリスもね。
貴族のなまえは 名・爵位名・氏 です。
クリス・デ・マーリン 男爵位をもつマーリン家のクリス
ヴァン:皇太子
ヴェン:王子




