No.297:空を見上げながら
西口『明日、雨っぽいな。』
小宮『うん。明日は雨だね。』
西口『ここまでこれるなんて、な。』
小宮『去年は去年で堂金を全く打てずに完敗して準優勝だった。今年も青龍寺を全く打てずに完敗、なんてまっぴらごめんだよ。』
西口『だな。勝とうぜ。』
ピリリリリリ…!
小宮『あ、栗りんだ。もしもし?』
岩栗『おっす。哲都。明日は俺らは練習あるから観れねえけど、勝てよ。』
小宮『うん。ありがとう。気持ちだけで十分だよ。』
岩栗『秀哉も、言ってたぞ。優勝しろよ、って。』
小宮『勾城クンと話したんだ。』
岩栗『あいつもよ、堂金と同じチームになったのも、アイツなりの理由があるっぽいし、他人の俺らがガヤガヤ騒ぎ立てるのはナンセンスだよな。やっぱ。一緒に野球してたやつなら、そいつの野球を応援するってのが、元同僚として当然なんじゃないかなってね。』
小宮『だよね。考え方が違っただけで、裏切り者扱いは、違うよねやっぱ。』
岩栗『近くに拓磨居るんだろ?拓磨にも言っといてくれな。勝てよって。』
小宮『おっけ。』
岩栗『んじゃ、お休みなさい。』
小宮『おやすみ。わざわざありがとう。』
…
慶野『先輩たちと一緒に試合できるのも、明日でラストか…。』
大場『絶対に勝って終わりたいな。』
慶野『新キャプはどっちになるかな。』
大場『え、お前じゃないの?』
慶野『それは先輩たちに聞いてくれよ。お前だろ。たぶん。』
大場『ま、先輩たちが引退したら部員数が足りないんだけどね。』
慶野『それな。』
大場『ま、テキトーに勧誘すりゃいいやろ。』
慶野『明日、だな。』
大場『厳しい場面、たっくさんあるだろうな。』
慶野『楽に優勝できるかよ。それは優勝への試練だよ。』
大場『だな。』
慶野『せっかくなら…晴れて試合やりたいな。』
大場『あぁ。ま、雨でもしゃーないけど。』