No.295:啓稜学院とは
副島『1番ショートの氷。右投げ左打ち。走攻守三拍子揃った啓稜学院のリードオフマン。甲子園では5試合で25打数18安打。そんで驚異の打率.720だ。選球眼もいい。盗塁数は今大会は7個と足もある。ちなみに夏の甲子園の安打記録は19本だからあと1本でこいつは甲子園記録に載る。』
『2番は正直いろんなバッターが打ってる。今日の試合で2番だった秋葉が3試合2番で、2年生ながら万能選手の中川が1試合、今日は迫田の先発だったからベンチだったが背番号5の護も1試合出ている。とりあえずこの3人について。』
『秋葉は左翼手。右投げ右打ち。今大会21打数9安打。打率.429。バントなど小技もしてくる。ちなみに今大会ホームラン1本、二塁打5、三塁打1、単打2。この数値からしてもわかるように長打は多い。当然ながら足も速い。小技の可能性も多い中距離打者。レベルは高い。』
『次は中川。セカンドだ。右投げ左打ち。来年のドラフト上位候補。1位候補としてリストアップしているプロ球団もある。しかし啓稜学院の上位打線の層が厚すぎるため甲子園では1試合2番だったが他の試合では7番。ただし前述した通り、来年のドラフト上位候補だ。能力は非常に高く決して7番レベルではない。現に大阪大会では5本塁打の大活躍。この甲子園でも2本塁打、21打数15安打の打率.714。氷と同等の成績だ。』
『そんで次が今日は出てなかった正三塁手の護。右投げ左打ち。1試合2番で出て他は9番だ。出てくるなら恐らく9番だろう。長打は少なく今大会18打数5安打、打率.278。正直啓稜学院で打力は1番劣る。とはいっても3割近くは打ってるから油断するなよ。』
『で、ここからが本番だよ。』
『3番キャッチャー、キャプテンの棟方和徳。今日の試合舞野からサヨナラホームランを打ったやつだ。右投げ右打ち。今大会24打数17安打、3本塁打、16打点。打率.708。16打点は既に夏の甲子園タイ記録。チャンスに滅法強く、クリーンナップの前にランナーを置くことは大量失点を意味する。』
『4番エース、青龍寺。S・9だ。右投げ右打ち。今大会24打数14安打。打率.583。本塁打6本。16打点。6本塁打は去年桜沢が2年生のとき記録した甲子園タイ記録。投手としても今大会夏の甲子園史上初の完全試合達成。ノーヒットノーランも1度達成。正直…笑うしかない。』
『青龍寺との勝負は避けたいと思うだろ?でもそーゆー訳にもいかない。なぜなら次の打者が打撃絶好調、ドラフト上位候補の南條だからだ。今日はサードだったが普通はファースト。右投げ右打ち。今大会屈指のスラッガーだ。青龍寺の6本塁打に比毛をとらない5本塁打を記録。23打数10安打の打率.435。典型的な長距離打者だが今日の試合で、9回裏の土壇場の同点タイムリーでは長打を捨ててシャープに野手の間を狙ってきていた。柔軟さも兼ね備えているようだ。』
『ほんで6番センターの寺原。中川と同じ2年生。左投げ左打ち。南條とも勝負せざるをえないのがこいつがいるからだ。今大会24打数11安打。打率.458。本塁打4本。積極的に初球から振ってくる。特に上位打線がイケイケのときのこいつがほんとにヤバイ。今大会、青龍寺、南條、寺原の三者連続本塁打をなんと啓稜は2回も記録している。』
『7番は秋葉か、中川。そして次の8番がなかなか要注意。8番ライト、我妻 憲明。右投げ左打ち。こいつも今大会好調。不動の8番ながら25打数14安打の打率.640。本塁打はなし。シングルヒットが多く、初球打ちが多い。監督からの信頼も厚いようでバントのサインが出ることはほぼない。全部打ちに来る。もちろん並の8番ではない。』
『ふぅーっ。とりあえずスタメンはこんな感じ。控えも聞きたい?結構啓稜は大差ついたりすると控えも出してきたりするから控え選手の情報もあるんだけど。』
松坂『いいえ。結構です(笑)』
副島『びびった?』
大場『そりゃどのチームもこてんぱんですよ。』
木村『みんなすげー成績だな。』
島谷倫『みとれちまったよ。』
副島『ほんで次は投手陣について。エースは当然、青龍寺。右投げね。で、2番手は1年生の迫田 憲。背番号は18。こいつも右。ちなみにこいつは去年の夏、啓稜が優勝したときの3年でキャプテンの迫田 進の弟。あと左で背番号10の大竹、背番号11の変則サウスポー長瀬もいるがこの左二人は甲子園では投げてない。』
鬼頭『ドラゴンの投手能力は、俺から説明しよう。』
『ストレートは最速156km/h。決め球は高速スライダー。青馬のは縦スラだったがドラゴンのは横スラ。キレは正直青馬の縦スラの比にならない。』
松坂『それって、曲がらないってこと?』
鬼頭『バカか。ドラゴンのスライダーが半端ないことぐらい知っとけ。青馬の縦スラは消えるって言われてるよな。実際打席でも消えるように思えたやつもいると思う。あの縦スラも凄かった。が、』
『ドラゴンのスライダーは…テレビ画面からでさえ消えると評されてる。』
大場『はい?』
鬼頭『だからね、無理。たぶん(笑)』
『他の球種はフォーク。シンカー、シュート、縦のパワーカーブ。どれもぬるい球じゃない。どれをとっても一級品だ。コントロールも青馬ほどではないが高校生としては十分すぎるレベル。スタミナは抜群。』
島谷倫『ははは…。』
藤武『なんなんすか…。青龍寺…。』
大場『へたすりゃS・9で1番スゴいんじゃないですか?』
鬼頭『は?今さら?ドラゴンが1番南阪のやつらで上手いに決まってんじゃん。』
副島『いや…でも青龍寺って南阪では5番ファーストなんじゃ…』
鬼頭『いやあいつは打力はサクよりあるし守備もめちゃうまいし足も速いよ。ただ4番とか3番にするとチームの和が乱れるから。ほら、悪童コンビも水仙、霞の1、2番コンビより実力はあるけど8番、9番だろ?あれもそーゆー意図だよ。』