No.292:カウントは、フルカウント!!
野中『松坂には長打もあるからな。』
川越『そーだな。甘い球いったら逆転サヨナラ満塁ホームラン。なんて伝説も残っちまいそうだ。』
《北頼高校外野陣はライトの西條、レフトの桑原は二塁ランナーの本塁生還を警戒して前進守備の態勢。センター風岡は俊足強肩も武器なので定位置のまま。打席の松坂は地方大会で4本塁打を放つなど、長打力が魅力でもあります。この甲子園でも打率こそ2割後半ですが得点圏打率は.667と非常に勝負強い打者です。》
松坂『この緊張感…。』
青馬『俺…野球やってて良かったぜ…。』
““最高に楽しいぜ…。””
松坂(初球は必ずと言っていいほどストライクゾーンで勝負してくる。)
ビュゴォォウゥッッッーーッッ!!!!
ズッバァァァーーーーッッーーンッ!!!
『ストライーク!!!』
松坂(さすがのコントロールだな…。)
《初球はアウトローいっぱいいっぱいのストレート!!!!見事な制球力!!!!》
夏井(リードする投手がここまでスゲーやつだとな…正直勝敗は俺のリードにかかってるわけよ。)
“最高に楽しいことだけどな!”
ビュゴォォウゥッッッーーッッ!!!!
ズッバァァァーーーーッッーーンッ!!!
『ボール!!!!』
《今度は少し外してきた!!カウント1‐1!!》
松坂(ストレート2球ね。)
夏井(全球種見せるつもりで…ストライクゾーンも広くつかって…ラストは縦スラで決める。)
ビュゴォォウゥッッッーーッッ!!!!
松坂(インコース!!!)
スッッ…
カキィィーーーッッンッ!!!
《これはいい打球ですがファール。内角へのチェンジアップをファールでカウント1ボール2ストライク。》
夏井(タイミングは外したとはいえ、ちゃんとチェンジアップについてきたか。)
松坂(球種が多すぎて的が絞れねえ…。それでいて全球種がハイレベル。コントロールも抜群。)
(それでも…男なら打たなくちゃいけねえ場面があんだよ。)
青馬(それでも…その眼差しか…。大場といい、コイツといい…邦南はアツい奴ばっかだな。)
松坂(泣き言言ってりゃそれまでさ。腹くくるぜ。)
“オラ!!!俺は負けねぇ!!!ぜってぇ打つ!!!かかってこいや!!!!!”
《松坂が吠える!!!!》
青馬(望むところだよ。こっちだって…いつだって死に物狂いさ。)
“打たせるつもりはさらさらねぇ!!打てるもんなら打ってみろ!!!!”
《青馬も気合を入れる!!!!アツいアツいこの二人の対決!!!舞台は最高の聖地、甲子園!!!!》
ビュゴォォウゥッッッーーッッ!!!!
松坂(またインコース!!でも今度はボール気味か!?)
(いや、違う!!!)
カクゥッッ!
カキィィーーーッッンッ!!!
『『『ウオォォォォォォオオォ!!』』』
『ファール!!ファール!!!』
夏井(今の体近くへのボールゾーンからストライクになるインカッターをためらいなく…。)
《インコースへのボールからストライクになるカットボールを振り抜いたがこれは惜しくもファール!!!!》
余語『今の体に近い軌道からストライクになる球を躊躇なく振り切るのも簡単じゃねーぞ…。』
夏井(やられたかと思ったぜ…。)
ビュゴォォウゥッッッーーッッ!!!!
カクッッッ!!
『ボール!!!』
《今度はワンバウンドのカーブ!!満塁ですがワンバウンドのボールもしっかりと使ってきます。北頼としても1点取られれば同点なだけに捕手としては要求しにくく、投手としては投げにくいボールでもありますがさすがは北頼バッテリー、青馬と夏井のコンビ。互いに信頼しているのでしょう。しっかりと投げ込みます。》
夏井(このカーブを見送るのは想定内。)
ビュゴォォウゥッッッーーッッ!!!!
ズッバァァァーーーーッッーーンッ!!!
『ボール!!!!』
『『『オオォォォオォオオォォ!!!』』』
《インローやや低めのツーシームも見送った!!!!これでなんとなんとフルカウント!!!》
夏井(次で決める…。)
青馬(ふぅ…。)
《フーッと息を吐いたマウンド上、青馬!!》
松坂(次だな…。次…。)
《鋭い眼差しを向けるバッターボックスの松坂!!》
『『ガンバレー!!青馬くん!!』』
『『青馬!!!ファイトや!!』』
『『大輔!!負けんな!!』』
『『松坂!!打て!!』』
『『松坂!!!全部持ってけ!!!!』』
『『頼んだぞ松坂!!!』』
《カウントは、フルカウント!!》
《どちらがこの戦いの勝者になるのか!!》