No.289:力負け
『『『邦南!!!邦南!!!邦南!!!邦南!!!邦南!!!邦南!!!』』』
《カウント2‐2からの5球目!!投げる!!!!》
ビュゴォォウゥッッッーーッッ!!!!
鬼頭(決めに来るならおそらく縦のスライダー!!!)
カァァァクゥゥッ!!!!!
ブンッッッッッ!!!
ズッバァァァーーーーッッーーンッ!!!
鬼頭(くそ…。完全に力負けだ…。)
夏井(ナイスボール。最高の縦スラだ。)
青馬(よし…。)
《空振り三振!!!!最後は左打者の泣き所、インコース低めのボール球の縦のスライダー!!!!まずアウト1つ、4番鬼頭から空振りの三振で奪いました!!!》
鬼頭(青馬に…負けるとはな…。あの頃はこれっぽっちもそんなことあるとは思わなかったぜ…。)
(あとは頼んだ…。みんな…。)
青馬(俺の夢は…まだ達成されてない。鬼頭を打ち取っても試合に負けたら元も子もねえ。)
『5番、キャッチャー、西口くん。』
《打席には1年生ながらキャッチャー、地方大会では4番を務めた西口 拓磨がバッターボックス。ワンナウト一二塁。邦南はまだ同点のチャンスは続きますがダブルプレーならゲームセットの場面。》
『『『邦南!!!邦南!!!邦南!!!』』』
夏井(ここも強気で押していくぞ。青馬。)
青馬(俺はいつでも強気だわ。オールウェイズ強気だわ。)
《西口への初球!!!》
ビュゴォォウゥッッッーーッッ!!!!
《外角!!》
夏井(この球はなんだと思う?西口。今日おまえにはすべての球種を見せて打ち取ってきた。いろんな残像が頭の中を支配してるだろ。)
西口『ヤマ張るしかねぇだろ!!ストレートだろ!!』
夏井(読まれたか!?)
カキィィィーーーッッーッンッッ!!!
青馬『打たせるかよオォ!!!!!!!』
《打ち上がったー!!!!一塁手安西、ファールグラウンドで手をあげる!!!》
パシッ!
『アウト!!!』
西口『くっそ…外角ストレートのヤマ勘は当たったのに…。力で負けた…。』
≪150km/h≫
夏井(まさか読まれたのにストレートで押し勝つなんてな。あの青馬が。)
青馬『自己最速!見たか!?日向!150km/hも投げれるようになったぜ!』
夏井『そーだな。ストレートも150km/h。誰にも打たれない縦のスライダー。お前は両方手にいれたな!』
青馬『ぐはははは!!』
ポンッ
夏井が青馬を右肩を軽く叩く。
夏井『あと1つ。全力で取りに行って、勝とうぜ。』
青馬『当然だ。あ、パスボールだけはすんじゃねーよ?2年夏の兵庫大会決勝、忘れてねーだろーな?』
夏井『成長してんのがお前だけだと思うなよ?』
青馬『そーいえばあの日以来日向のパスボール見てねえな。』
夏井『だからもう一回言うぞ。成長してんのがお前だけだと思うなよ?』
青馬『あーゴメンナサイ!もう言わないから怒んないで!』
夏井『この場面でプンスカプンスカするアホでもないわ!』
青馬『へっ。』
夏井『なんだよ。』
青馬『なんでもねえよ。勝とうぜ。勝って明日、啓稜学院、ぶっ倒してやろーぜ。』
夏井『おう。頼んだぞ。後ろにだけは絶対やらねーから、思い切り腕振って投げてこい。』
青馬『頼りになるねぇ。夏井 日向って男は。』
『6番、ファースト、氷室くん。』
《ノーアウトランナー、一二塁のチャンスで4番鬼頭は空振りの三振。5番西口はファーストファールフライに倒れ一気にツーアウト、一二塁!北頼はあとアウト1つで決勝進出!!邦南も一打同点のチャンス!!打席には1年生氷室!!!今日の試合は守備で好プレーを2つ見せていますが打席では結果を残せていません!》
川越『打て!氷室!』
『プレイ!!』