No.285:エースの意地、ここにあり。
木村『ワンナウト三塁。バッターは青馬。ここでの追加点は俺らの首をだいぶ絞めてくる。』
大場『何て言ってたんですか?監督は。』
木村『勝負や。』
西口『…。』
木村『次のイニングを勢いのある良い流れで迎えるには…青馬、安西を打ち取るべきだ。それが監督の意向。』
大場『なるほど…。打たれたら終わりっつーことね…。』
西口『そーゆーことっすね。』
鬼頭(…。)
大場『こんな舞台でそんな勝負ができる。最高じゃないですか。俺…今すげードキドキしてますよ。チョー楽しみです。』
鬼頭(お前ってやつは…。)
木村『お前の球は今日も走ってる。託したぜ。試合に出てない俺らの分まで。』
大場『連続三振。いきますよ。6球で2つ取ってきます。』
青馬『まだ諦めちゃいないんだろ?その様子じゃ。』
西口『残念ながら、そーゆーことですね。』
青馬(嫌だなーっ…ったくもー。大場の球打てる気全くしないんだよ。…でも、そっちがその気ならね…)
“俺も大場に立ち塞がる者として最高のパフォーマンスでおもてなししよう。”
西口(こんな場面で…あんなこと言えるんだからな…。)
“6球で2つ取ってきます。”
《さあ初球!!!》
ビュゴォォウゥッッッーーッッ!!!!
ブンッッッッ!!!!
≪148km/h≫
《初球は空振り!!!外角へのクロスファイヤーは148km/h!!!!》
ビュゴォォウゥッッッーーッッ!!!!
青馬(何球も同じ球通じるかよ!なめんな!!)
カァァクゥゥッッッ!!!!
ブンッッッッ!!!
青馬(くっ…。こいつ…できる…。)
≪138km/h≫
《変化量を落として球速を上げた高速フォークを空振り!!!さすがのフォーク!!変幻自在のフォークボーラー大場の持ち味!!》
青馬(このフォークは意識しないと打てねえ…。するとストレートに反応できなくなる…。こーなったら…フォークは捨てる…。)
西口(次もフォークで…)
大場(いや、今度こそ…俺のストレートで…!)
赤嶋『おっとぉ…?またくるか?』
西口(エースの意地…剥き出しっすね…。さっきは打たれましたけど…)
(今度こそ…やってくださいよ。)
《一度首を振って頷いた!》
青馬(ストレート…ストレート…ストレート…。)
ビュゴォォウゥッッッーーッッ!!!!
《首を振って選んだ球種は今度もストレート!!!!!!》
赤嶋『バカか!!さっきもそれでキャプテンに…!!』
大場『うぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!』
青馬『!!!!!!』
ズッッバァァァァーーーーッッンッッ!!!!!
≪150km/h≫
青馬(反応…出来なかった…だと…?)
『ストライク!!!!』
『『『オオオォォォォォオォ!!!!!』』』
《渾身の150km/hのストレートはなんとど真ん中!!!しかし青馬のバット、ピクリとも動きません!!!!!!三球三振!!!!》
大場『まず1つ。』
鬼頭(繊細かつ大胆。なかなかいないぜ。こんなピッチャー。)
『5番、ファースト、安西くん。』
《ここで4回に大場から先制タイムリーを放っている安西 豪太がバッターボックス!!青馬は三振に倒れましたが尚二死三塁と北頼高校のチャンスは続きます!!!》
ズッッバァァァァーーーーッッンッッ!!!!!
『ストライク!!ワン!!』
安西(なんなんだ…?この球は…)
ビュゴォォウゥッッッーーッッ!!!!
ズッッバァァァァーーーーッッンッッ!!!
『ストライク!!ツー!!』
《これも見逃し!!!ストレート2球で追い込んだ!!!》
大場『うぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!』
ビュゴォォウゥッッッーーッッ!!!!
安西(ボール…は…?)
ズッッバァァァァーーーーッッンッッ!!!
『ストライーク!!!』
大場『おしゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!』
《見逃し三振!!!!5番安西ストレート三球すべて見逃し!!!大場のストレートに手も足も出ません!!!》
西口(有言実行。やっぱかっけえな…。翔真先輩は。)
川越『なんとか首の皮一枚繋がったな。邦南は。』
野中『だな。大場の土壇場で魅せたこの魂の投球。邦南の打線なら何か起こしてくれそうだ。』
“ミラクル邦南。こいつらの異名だ。”
カキィィィーーーッッンッッ!!!!
《先頭の副島が出ました!!!今日2安打目!!!ノーアウトのランナー!!!》