No.281:…。鬼頭…?
ズッッバァァァァーーーーッッンッ!!
《ここも直球2つで追い込んだ!!青馬の強気の攻め!!!》
副島(ここで3球続けてまっすぐ。だけは絶対にない。なぜなら普通ならこの場面でそんな雑な投球は命取りだから。この回を0でいくのは当然、三人で抑えることで主導権は北頼なんだ。だからストレートはない。)
“って思ってるのを読んでるんだよね。この夏井ってキャッチャーは。”
夏井(誤魔化しはいらない。相手は悩んでくれてる。だったら正攻法で無難に打ち取れる。)
ビュュゥゥゥッッッゥッッ!!!!!
《インコース直球!!!!》
夏井(この場面で3球勝負は頭になかっただろ?見逃しの三振…)
カキィィィーーーッッンッッ!!!!
青馬(なに!?)
夏井(振り抜いた!?)
《打球はライト前!!!ツーアウトからキャプテン副島、クリーンヒット!!!久々の快音!!》
副島(やっと読みが当たったよ…。マジでよかったぁ…。)
『3番、ファースト、大場くん。』
《そして打席には前の試合、準々決勝の楽秦工業戦、延長13回、鬼頭 天からサヨナラホームランを放っているIQ王子、大場翔真!!!》
夏井(でもここで抑えれば次の回は鬼頭の前にランナーを出さずに鬼頭を迎えられる。ここ、切り抜けよう。)
《今日大場は6回に再登板した青馬からタイムリーを放っています。》
夏井(副島に打たれた以上ストレートごり押しはやめよう。ましてや上位打線。)
青馬(インコースへのカットボール。オッケー。)
《さあ初球!!》
ビュュゥゥゥッッッゥッッ!!!!!
大場(インコース続けてきた!!!)
カァァカクッ!!
大場(!!!)
コーン!!!
《これは詰まらせた!!!しかしピッチャー返し!!!》
バスッ…
夏井『な!?』
青馬『くそっ!!』
大場(よし!!)
《ピッチャー青馬弾いた!!!そして弾いたところがいい!!面白い打球だ!!!セカンド伊藤!!さっきも同じような打球があったが!?今度はどうか!?》
伊藤『生かすか!!ボケ!!』
大場『うぉぉぉぉぉぉ!!!!』
《一塁へ大場はヘッドスライディング!!!!!!》
『セーフ!!!セーフ!!!』
《繋いだ!!!繋いだ!!!ここにきて連打!!!大場翔真の執念のヘッドスライディング!!!9回の裏ツーアウト一二塁!!!そして打席にはこの男!!》
『4番、セカンド、鬼頭くん。』
夏井『タイムお願いします。』
青馬『なんだよ?』
夏井『シバけ。ここで鬼頭を打ち取らず、いつ打ち取る?今までの猛練習の成果を見せ付けろ。』
青馬『熱いねぇ。熱いねぇ。』
夏井『は?』
青馬『当然っすよ。人生で最高のボール投げ込むわ。』
夏井『ふっ。任せたぜ。』
鬼頭(こいつらの強気さからして初球はストレート。恐らく最も自信のある組み立てで来るだろう。)
青馬(お前にだけは…打たせやしねぇ!!!)
ビュゴォォウゥッッッーーッッ!!!!
カキィィィーーーッッンッッ!!!!
鬼頭(…!?)
《初球はストレート!!しかし振り遅れてファール!!!!》
≪149km/h≫
鬼頭(なんだ?今の感覚は…?)
《さあ2球目!!!》
ビュゴォォウゥッッッーーッッ!!!!
カァァァクゥゥッッッ!!!!
ブンッッッ!!!
鬼頭(くっ!?)
《2球目は縦のスライダー!!!またまた2球で追い込んだ!!!》
鬼頭(なんだこの痛み…。まさか…。)
夏井(次の球はボールでもいい。ただし絶対に浮かせるな。ワンバウンドでいいからな。絶対止めてやっから。)
青馬(頼もしいねぇ。日向。)
鬼頭(簡単に主導権を握られた…。くそ…さすがにこのレベルの投手になると球種が見抜けない…。)
青馬(鬼頭博行…。お前にだけは…)
“俺は負けたくねぇんだよ!!!!”
ビュュゥゥゥッッッゥッッ!!!!!
スッッッ…
鬼頭(外角低めへのチェンジアップ!!マズイ!!体勢が崩れた!!!…でも…右手で拾ってカットできる!!)
ズキィィィ!!!
鬼頭(うっ!!!)
ズッッバァァァァーーーーッッンッ!!
夏井(よし。)
青馬(おっしゃぁ…。)
“どんなもんじゃい!!!!!”
《空振りの三振!!!邦南高校、9回の裏、サヨナラのチャンスでしたが4番の鬼頭、外のストライクからボールになるチェンジアップに空振り三振!!!!》
鬼頭(嘘や…嘘や…。ウソや!!!)
“右肘が…”