No.277:S・9のアビリティ
大学受験終わりました
『4番、ピッチャー、青馬くん。』
鬼頭(くっそ…。一球で同点に持ってかれちまった…。小宮、翔真とでせっかく踏ん張ってくれてたのに…。初球いきなりど真ん中かよ…。緻密さを欠いちまった…。)
青馬(キャプテンよー飛ばしたなぁ。)
西口(っつってもまだまだ油断できない打線…。次は4番の青馬、そん次は今日翔真先輩の下村フォークを初見でタイムリーしてる安西。そんで今大会2本塁打の6番桑原。)
鬼頭(でもどんだけ飛ばしてもホームランはホームラン。まだ同点になっただけ。ここで一気に自分を見失っちゃあそれまでよ。ピッチャーってのは試合を壊すのは簡単だよ。ここで切り換えないとこの打線だし、一気に試合が決まりかねない。次からはもっと丁寧にコーナーを突く。大事なのは丁寧に投げることを忘れないこと。)
“同じことは、もう、繰り返さない。”
青馬(俺がもう一発お見舞いして勝ち越して、俺があと3イニング抑え込む。これで俺は鬼頭に勝ったことになる。来たぜこの時が。ぜってえ逃さねえぞ鬼頭。)
赤嶋『ま、これでこの回の追加点は見込めないな。』
栄『なんで?むしろあんな特大ホームラン打たれたんだから、ピッチャーなら一気に崩れてもおかしくないんじゃない?』
赤嶋『あんな打球を打たれたからこそだよ。博行は。一本やられたあとのもう一本は絶対に許さない、ってのが長年アイツを1番近くで見てきた俺からの一言。』
栄『へぇ。そーゆーピッチャー、やっぱいるんかね。』
赤嶋『博行は素質も素晴らしいがなにより投手としてのメンタルが他を超越してるんだよ。だからこそ毎試合必ずゲームを作ることができた。まぁ、今は怪我による投げ込み不足でリリーフだけどね。』
青馬(初球を叩く。ゆっても最速は156km/h。楽に打てるとは言わないが苦戦する球でもないはず。)
鬼頭(同点で食い止める。もうこれ以上打たせるものか。)
“オラァァァッ!!”
ビュゴォォゥゥゥゥーーーッッーッ!!!!!
青馬(!?!?)
ズッバァァーーーーッッッーーッンッッ!!!
≪156km/h≫
《ま、また出ました156km/h!!!!しかもアウトコース低めギリギリ!!!これは手が出ません!!》
青馬(おいおい…。俺が目標としてた鬼頭博行って男の球はこんなんなのかよ…。マジ半端ねーな…。)
“最高じゃねーか。燃えるぜ。”
《さあ注目の第二球!!!》
ビュゴォォゥゥゥゥーーーッッーッ!!!!!
カァァクゥゥッッッッ!!!!!
ブンッッッ!!!
≪137km/h≫
《二球目は縦のスライダー!!!空振り!!!これもナイスボール!!!!》
青馬(ぜってー負けねーよ?鬼頭。)
西口(青馬もまだ食らいつこうとする意思が見える。油断は禁物。鬼頭先輩、あれでいきましょ。)
鬼頭(当然だ。)
《第三球目はどーなるか!?》
ビュワァァーーーッッーッ!!!!
青馬(初球と同じストレート!!!!)
ガクゥゥゥッッッ!!!!
ズッバァァーーーーッッッーーッンッッ!!!
≪151km/h≫
青馬(クソ…マジ半端ねえ…。)
《空振り三振!!!最後は151km/hの超高速シュート!!!!4番の青馬は空振りの三振!!鬼頭は風岡の特大アーチにまったく動じておりません!!!》
…
ズッバァァーーーーッッッーーッンッッ!!!
≪155km/h≫
《見逃し三振!!!5番安西もアウトローへの155km/hの渾身の直球にバット動かず!!!この豪速球を自由自在にコントロールする鬼頭の貫禄の制球力!!!》
…
ズッバァァーーーーッッッーーッンッッ!!!
≪156km/h≫
《これも見逃しの三振!!!!インコースいっぱいいっぱい!!!!桑原も156km/hの豪速球に全く手が出ません!!!!これがS・9だ!!これが至高の9人組のエース、鬼頭博行!!!!全く崩れる気配無し!!!7回表の北頼高校の攻撃終了です。》
川越『S・9のやつらの能力の凄さが凝縮されたイニングだったな。マジですげー。』
野中『ホントだよまったく…。高3とは思えんね…。』
青馬(甲子園準決勝、同点の終盤、そして俺が投げ合う相手は鬼頭。)
“サイッコーだぜ!!俺だって負けてらんねーよ!”
夏井(さて、青馬も球数温存からギアを二段くらいはあげさせてもらうよ。邦南高校の皆さん。)