No.266:懲罰降板
夏井『おい大輔。この回、ギア全開で頼むわ。』
青馬『あいよ。先制点取った後、0でいくのは大事だもんな。』
夏井『全力のお前なら三者凡退は余裕だろう。ただ、圧倒的な三者凡退にするぞ。』
青馬『おっけ。任せちゃって。』
風岡『さあ見せてやろう。邦南高校の皆さん。完全なる実力差をね。』
小宮『さあ…この回は簡単に終わるわけには…』
ビュゴゥゥゥゥッッッッッ!!!!!!
小宮『いかないよ!』
ズッッッバァァァーーーッッーーーッッーッンッッ!!!!
≪148km/h≫
小宮(自己最速…タイか…。そーゆーことね…。)
青馬(いい目付きだ。だけど…打てないよ。)
ズッッッバァァァーーーッッーーーッッーッンッッ!!!!
≪148km/h≫
『ストライーク!!ツー!!』
《アウトローに2球続けてきた!!抜群の制球力!!これが播磨の精密機械こと、青馬大輔!!》
小宮(ストレートも球速以上に伸びてくる…。コントロールも抜群…。そりゃぁ…ドラフト1位確実ってのはあるね…。)
ビュゴゥゥゥゥッッッッッ!!!!!!
小宮(3球続けてアウトロー!!簡単に撃ち取られないよ!!)
カァァクゥゥッッ!!!
ズバァァーーーッンッッ!!!
小宮(!?!?)
《空振りの三振!!この回、完全にギアを入れ換えてきました!!青馬大輔!!最後は得意の縦スライダー!!》
小宮(ボールが消えた…。こんなことって…あるんだね…。ホントに…。)
『2番、ライト、副島くん。』
ズッッッバァァァーーーッッーーーッッーッンッッ!!!!
『ストライーク!バッターアウッ!!!』
《見逃しの三振!!!これもアウトローギリギリの所!!!バッター副島、手が出ません!!》
『3番、ピッチャー、大場くん。』
青馬(なーんか簡単すぎるねぇ…。ちょっとつまんない。)
夏井(初球はアウトローギリギリのストレート。)
青馬(アウトローなんて狙わなくても…撃ち取れるよ。)
ビュゴゥゥゥゥッッッッッ!!!!!!
夏井(チィッ…。)
カーン!!
《これは真ん中の直球。しかし振り遅れてファール!!》
夏井『…。』
青馬『ごめんごめん。次は指示に従うから。球ちょうだい。』
ビュゴゥゥゥゥッッッッッ!!!!!!
キャッチャーの夏井がピッチャーの青馬に向かって全力でボールを返球する。
青馬『え…?』
“このクソ大事な場面で…なぜ俺の指示に従わない!?”
吉峰『フォッフォッフォ…。まあ夏井が怒るのも当然じゃな。青馬は減点じゃな。』
夏井(甲子園準決勝だぞ?ここまできた相手が弱いわけがない。なめてかかるな。絶対に。)
青馬(はぁ…怒っちゃったよ。めんどくさいなぁ…。まあ…これ以上怒らせないためにも…指示に従うか…。)
ビュゴゥゥゥゥッッッッッ!!!!!!
ズッッッバァァァーーーッッーーーッッーッンッッ!!!!
《今度はインハイへのストレート!!空振りでツーストライク!!》
夏井(最後はアウトロー。)
青馬(あいよ。)
ズッッッバァァァーーーッッーーーッッーッンッッ!!!
『ストライク!!バッターアウッ!!』
《3番大場も見逃し三振!!!4回表の邦南高校、1番からの好打順でしたが、3者連続3球三振に仕留められました!!!》
風岡『…。』
青馬『どうよ?キャプテン。』
ボコッ…
風岡が青馬の腹を殴る
青馬『う…、…。』
風岡『これだから嫌いなんだよ。ピッチャーってのは。』
山縣『おいキャプテン…。そこまでしなくても…。』
風岡『おい青馬。お前…下手したら死んで償うつもりだったんだよな?』
青馬『へ?』
風岡『今までの俺たちの猛練習を…台無しにする覚悟があったってことだよな?』
青馬『そんなことあるわけ…』
““この戯け者がぁぁ!!!!!お前は野球を何だと思ってる!?!?なぁ!?チームでやってる以上、個々が責任感を持って役割を全うする!!そうしてはじめて成り立つスポーツなんだよ!!!野球ってのはよぉ!!!!それをてめぇは…自惚れやがって…。ドラ1確実と言われて調子に乗ったか。””
青馬『キャプテン…。』
風岡『失望したよ。青馬。』
吉峰『ピッチャー交代じゃ。青馬。』
青馬『…え?』
吉峰『さっきの一球を投げた時点で、ブルペンの用意は始めておる。次の回からお前はライトに入れ。ピッチャーは三宅でいく。』
青馬『…。はい…。』
夏井『1回マウンドを降りて頭を冷やせ。』
カキィィーーーッンッ!!!
《いい当たりですがこれはライトライナー!!スリーアウトチェンジ。この回の打者も全員がいい打球を打ちましたが、ヒットには繋がりませんでした。》
鬼頭『ナイピッチ。』
大場『守りは大体リズムつかめてます。あとは青馬をどうやって打ち崩すか…。』
『北頼高校、シートの変更をお知らせします。』
守備位置の変更↓↓
青馬:1→9
田中→三宅:9→1
《北頼高校、ピッチャー、三宅くん。》
鬼頭『え…?』
大場『これは…思ってもみないチャンスだね。』
《なんとここで北頼高校ピッチャーを代えます。背番号11をつけたサウスポー、三宅がマウンドに上がります。》
余語『春のセンバツ決勝の俺らとの試合の時に先発したやつだよな。』
桜沢『こいつって、どんなんだっけ?』
北峰『左の速球派で、スライダーもいい。大型サウスポー。三宅 淳弥コントロールもわりといい方だ。センバツ決勝でも俺らも手こずった。決して楽に打てるピッチャーじゃない。』
余語『だな。7回までは散発2安打に抑えられて…8回にサクの2ランで2点取ったが俺ら相手に8回、被安打4、失点2、奪三振12の投球だった。』
鬼頭(左の三宅か。最速153km/hの速球派サウスポー。今年の夏の甲子園こそ青馬と背番号10の本田の好投の影響で初登板だが、センバツ決勝で享神を相手に力投してたしな。一筋縄にはいかない相手だ。さすがの選手層だな…北頼。)