No.264:不運
ズバァァーーーッンッッ!!!
『ボール!!フォア!!!』
伊藤『シャア!!!』
西口『くっ…。』
小宮『ふぅ…。』
《見た!!2番の伊藤が粘って最後も際どいコースをよく見送りました。フォアボールでツーアウトフルベース!!ここで打席には3番の球帝・風岡蓮太郎!!!邦南はこの試合最初の山場!!》
西口(哲都の調子は決して悪くない…。むしろいつもより良いくらいだ…。それなのに、今までこの夏、どのチームにも圧巻の投球をしてきたお前の球を簡単に捉えてくる、見極めてくる…。)
‘改めてえげつないチームだよ…。北頼さんよ…。’
風岡『この試合、先取点を取れば勝てる率は大きく変わる。』
青馬『頼みまっせ。キャプテン。』
風岡『もう打ち損じは、しんぞ。貴様ら。』
西口(怖ぇー…。)
小宮(威圧感…抜群ダネ…。)
西口(つかさっきの打ち損じか…?むしろジャストミートだったような…。)
小宮(この人にとっては打ち損じなんだよ…。きっと…。)
西口『タイムお願いします。』
《さあ邦南高校、この試合一回目の守備のタイムです。》
木村『小宮はこいつさえ抑えれば今日はピッチャーとしてはお役御免だ。全力を尽くそう。』
小宮『はい。』
西口『哲都。』
小宮『ん?』
西口『やっちまえ。あいつを2打席連続で抑えてみろ。こりゃもうこっちの流れだぜ。試合を決めるつもりでいっちまえ。』
小宮『おーけー。任せて。』
風岡(初球は何でくる?さぁ…感じろ。)
西口(ここは強気に行く。全球勝負球だぜ。)
小宮(オーバースローからの…。)
西口(渾身のインハイ直球をぶちこめ!!!)
ビュゴゥゥゥゥッッッッッ!!!!!!
風岡『間抜けが。』
カッキィィィーーーッッッーーーッンッッ!!!
《引っ張ったぁぁ!!!これは大きい!!先制グランドスラムかぁ!?!?》
『ファール!!ファール!!』
小宮『ふぅ…。打ちますか…。今のを…。』
≪147km/h≫
風岡『度胸は認めよう。そしてこの場面で躊躇なくインコース高めギリギリのコーナーを突ける君達のレベルも認めよう。しかしね…』
『1打席たまたま抑えたからといって、調子に乗るなよ。』
西口『まだまだ1年生なんでね、ガキっぽくてすいませんね。でも、』
『打たれたくないんだから、調子に乗るに決まってるでしょ。』
風岡『文句があるなら打てと…。なるほどな。確かにその通りだ。』
西口『そーゆーことっすよ。まだ打ってもないのに調子に乗ってるのは貴方でしょ。』
ビュゴゥゥゥゥッッッッッ!!!!!!
ブワァァァッッッ!!!
西口(今度は…ライジングスライダー!!!!)
風岡『…この程度か…。』
カァァァキィィィィーーーーーッッーーーッッーーッンッ!!!
風岡『大口叩く割に…失望したよ。』
西口(今スイングした!?)
小宮(打球は!?)
ガーーーッンッ!!!
『うわっっ!!』
風岡『なんたることか…。』
《風岡の物凄い打球はなんと二塁ベース手前にいた二塁塁審にライナーで直撃した!!!ボールはセカンド鬼頭の元へ転がる!!セカンドフォースアウト!!!スリーアウトチェンジです!!!いやぁ…これは不運としか言いようがありません…。》
西口『打球が速すぎて…見えんかった…。』
鬼頭『…まあ、あの打球を避けれる審判がいるほうが怪しいな。ラッキーだったわ…。』
《いやぁ、風岡としては悔しいでしょうねぇ。せっかくの先制タイムリーが審判に打球が当たってセカンドごろですからね…。しかしその痛烈な打球が当たってしまった二塁塁審・山井はどうでしょうか?大丈夫でしょうか?》
青馬『ド…ドンマイ。』
風岡『こーゆー時もある。これを引きずることさえしなければ、自ずとチャンスはまたやって来る。切り替えていこう。』
田口(一塁塁審)『だいじょうぶかね。山井くん。』
濱口(三塁塁審)『とてつもない打球だったですが。』
大池(球審)『代わるかね?大丈夫か?』
山井(二塁塁審)『なんとか…大丈夫ですが…なんていう打球…。気付いたときにはもう当たってたんで…。』
…
カキーン
《これはピッチャーゴロ。この回も5球で仕留めてスリーアウト。》
藤武『打ち頃の球が来たと思ったからつい…。』
『邦南高校、シートの変更をお知らせします。』
守備位置の変更↓↓
小宮:1→6
島谷倫:6→5
松坂:5→3
大場:3→1
『邦南高校、ピッチャー、大場くん。』
風岡『あの、1年坊主には、逃げられたか。』
すみませんが次は二週間後です